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日記13

有史以来、人種による対立や支配、戦争や飢餓や疫病、様々な厄災に直面しては乗り越えてきた人類はその度新たな発見や発明をし発展していった。

養殖や品種改良を繰り返し人類にとって良い品質を突き詰めた結果、米は一粒で成人男性が1日に必要な栄養素を全て兼ね備えたパーフェクト米が生まれた。
養殖マグロは効率的なゲノム編集の末、産卵から一夜明けると松方マグロ級まで育つパーフェクト松方マグロという足が生えたマグロが誕生した。
食料問題が死語になりつつあり世界規模で飽食の時代を迎えた人類は次々と最適化を目指し改良を続けていた。

植物は肥料や水、日光すら成長に必須ではなくなった。『玄関開けたら2秒で屋久杉』というCMフレーズが大流行し室温や照明、栄養等々の煩わしい管理が必要なくなった事で世界中に植物ブームが到来する。

サイボーグ化し今や194歳になった所ジョージが塊根植物を育て始めたのをきっかけに日本でもパキポディウムホロンベンセやアデニウムアラビカムを買い求める列が後を立たず115年ぶりに転売ヤーが現れ流行語となった。
渋谷や原宿では塊根植物を肩に担いで歩くムーブメントが発生、それらを狩る『パキポディウムホロンベンセ狩り』『アデニウム・アラビカム狩り』が社会問題になった。

『パキポディウムホロンベンセ狩り』『アデニウム・アラビカム狩り』が毎日紙面を飾ることで新聞の内容が薄まったとミヤネ屋が毎日報道した事で市民運動に発展、天皇を巻き込むレベルで問題視され結果として各新聞社が『パキポディウムホロンベンセ狩り』『アデニウム・アラビカム狩り』を紙面に載せた際は【三つ葉のクローバーを四つ葉のクローバーに変えていく】と宣言し事態は収束する。


それから15年後、塊根植物ブームは陰りを知らず世界中の殆どの三つ葉のクローバーが四つ葉のクローバーに変わったであろう時期に1人の女性が命を絶った。
そう、恵子ちゃんである。
恵子ちゃんは四つ葉のクローバーの声が聞こえる為どこに行っても爆音で四つ葉のクローバーの声が聞こえてしまう。

恵子ちゃんの今際の言葉は『メタリカのライブDVDがテレビの出せる最大音量で流れてて、それが終わらない。大体そんな感じよ』だった。
たむらけんじ『現実は心によって創造される。私たちは心を変えることによって現実を変えることができる』

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