オポチャさん シナリオ


私は「らい」。とある田舎在住。今年大学受験に失敗してしまい、地元で宅浪している18歳だ。

今日は、いつも自習室を利用している図書館が閉館日のため、気分転換も兼ねてカフェで勉強。
らいがカフェラテを飲みながら勉強をしていると、近くに座っている同年代くらいの女の子二人組の会話が聞こえてくる。

「ねぇねぇ、“オポチャさん”って知ってる?」

「何それー?」

「なんかね、10代後半から20代前半の女の子がね、人気のない道を歩いていると、『ポチャポチャ』っていう声が聞こえてくるらしいの。でもね、その”声“に絶対に反応したり、返事したりしちゃいけないんだって」

「何それ(笑)都市伝説的な何か?」

「ううん、実際私の友達が『ポチャポチャ、オバタン、ちゅち』って声を聞いたんだって!その子は走ってその場から逃げたらしいけど。ほんと怖いよ」

「えーなにそれ(笑)それで、その声に反応したらどうなっちゃうの?」

「うん、それがね、噂によるとオポチャさんが付き纏ってきたり、最悪“コーポ”っていう、どういう意味なのかはわからないけど201って書かれた青い扉の部屋に連れていかれるらしいよ。その部屋は“あの世”に繋がってるんだって。」

「えーやばいね(笑)でも私はそんな話信じないけど!(笑)」

「あとね、ショッピングモールで誰もいないフードコートで“オポチャさん”が変な動きしながら歌ってたって目撃情報もあるんだよ!」


”オポチャさん“の話は、らいも今まで何度か聞いたことはあった。この地域で有名な怪談話のようなものだ。
その時は、特にらいは気にせず勉強を続け、家に帰ることにした。
らいの家に門限は特にないが、18時くらいまでに帰らないと、母親に夕飯のことで小言を言われるのが面倒なので、いつも18時頃には帰宅している。

夕食どき、母がらいに話しかける。
「らい、あんた最近の勉強の調子はどう?」

「うん、まあまあ順調だよ」

「それならいいけどね。あんたさ、図書館から帰ってくる時、いつもあの人気のない道通ってきてるでしょ?
あの道やめて大通り通って帰ってきなさいね」

図書館から、らいの家に帰るには人気のない道を通る方が早いのだ。その道は夕方以降は人通りが極端に少なく、街頭もあまりないので少し嫌な雰囲気がある。

「なんで?」
らいは母親に聞き返した。

「あんた、“オポチャさん”って知ってる?」

「やだ、お母さん、そんな噂信じてるの?!」
らいは笑った。

「お母さんだって、信じてるわけじゃないけど、この近くに住んでる女の子がね、『ポチャポチャ』って声を聞いたらしいのよ。まあ、そんな都市伝説みたいなことじゃなくて、ここら辺は元々人通りが少なくて不審者の目撃情報もたまーにあるんだから、お母さんはあんたに危ない目にあって欲しくないのよ。とにかく、できるだけ大通りを通って帰ってきなさいね。」

「お母さんは心配性だなあ。わかったよ、明日からそうする。」

らいは夕食を終え、自室に戻り勉強をしてから眠りについた。

数日後

その日、らいは昼過ぎから図書館の自習室で勉強をしていた。

前日寝付きが悪く、あまり眠れなかったため、勉強に身が入らなかった。

(全然集中できないから少し仮眠をしよう)

らいは自習室の机でうとうとしていると、そのまま眠ってしまった。


ヴー、ヴー。

どれくらいの時間が経っただろう。らいは携帯電話の通知の音で目が覚めた。母親からメッセージだ。

『何時に帰ってくるの?夕飯食べるのかいらないのかわかんないから早く返信してね』

ふと時計をみると、18時半をすぎていた。

(やば!)

らいは急いで『今から帰る!夜ご飯は食べるから準備しておいて』と母に返信し、急いで自習室をあとにした。


あの日以来、母の言いつけを守り、大通りを通って帰っていたが、今日は人通りの少ない近道を通って帰ることにした。
多少の後ろめたさはあったが、急いでいるので仕方ない。

その日に限って、いつも人通りが少ない道だが、やけに人通りが少なかった。

らいは、急いで坂道を下っていると、勢い余って携帯電話を落としてしまった。

「あーーー!」

らいは携帯電話を拾うために、立ち止まった。



「ポチャァ....」



らいはピタッと動きをとめた。

そして余りの恐怖に、声のする方に振り返ってしまった。





「ポチャポチャ!」




「きゃーーーーー!!!!!!」

らいは大声で叫んで家まで走った。

一度も振り返らず、家まで走り急いで玄関の扉を開けた。

「お母さんごめん、やっぱりご飯いらない!」

らいは自分の部屋に駆け込むと、布団を被って、

「今日見たものは見間違い。私が寝ぼけていただけ。オポチャさんなんて存在しない。」
と呟き、震える体を落ち着かせ、

もう今日は疲れているから寝よう。そして今日のことは忘れよう。

そう思い、パジャマに着替え、布団に入って電気を消した。





「オバタン、ちゅちー」






オポチャさんの原案、シナリオです。
誰か漫画化して。

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