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アセスメントの結果を基にした時間の構造化

支援方法を考えるためのアセスメント」で書かせていただいたアセスメントの結果を基に、時間的・物理的な構造化を行っていきます。

今回は時間の構造化について書きます。アセスメントの結果を基に対象者の強みや弱み、理解の方法などの仮説を立てます。それを基に具体的な構造化の方法をたてます。その方法で支援を行い記録して、記録から仮説を検証してより良い方法を考えていきます。

支援チームは対応の方法などを統一しておく。そうしないと、しっかりとした仮説の検証を行うことができません。

今回は時間の構造化について書きます

一日の流れやどのように活動した良いのかが分かることで、予期不安の解消となります。
(ただし、一日の流れを紙に書いたらいいというわけではありません。)

構造化するうえでの注意点として、

①いつ、②どこで、③何を、④どのくらい、⑤どのように、⑥終わった後は何をする、を必ず伝えるようにします。⑥が抜けてしまうことがありますが、気を付けて抜けないようにしましょう。
(ちなみに、①と②がスケジュールになります。③~⑥がワークシステムになります)

対象者にとってどの時間の流れの方向が分かりやすいかを知っておく(アセスメントしておく)ことが必要です。
(縦方向が伝わりやすいのか、横方向が理解しやすいのか・・・)

伝える内容をどのように表示するのがいいのか、アセスメントの結果から知っておく。
(具体的な”もの”が必要なのか、写真でもいいのか、汎化されているイラストやシンボルでもいいのか・・・、など)
色も重要になります。カラーだと色に意識が向かってしまい伝わらない、そういう人には白黒にする必要があります。
文字で伝わる人でも、字体や文字の色などによっては伝わらないこともあるため、注意が必要です。

対象者によっては、一度に多くの量が表示されていると、色々なところに意識が向かってしまい伝わらない人もいます。対象者が、どのくらいの量なら理解できるのか、によって表示量を調整する必要があります。

対象者によっては時間の流れを理解できない人もいます。
そういった人の場合は、活動を開始する時に、何の活動なのかを理解するための手がかりを示します。
そうやって、活動がうまく伝わる手がかりを見つけ、それによって対象者に行ってもらいたい活動が伝わるようになったら、手がかりを2つ並べてAの活動が終わったらBの活動、というように時間の流れを伝えていきます。
(長期間かかることもあるため、根気よく行う)

終わった行動をどう示すか。
(終わっているか、終わっていないのか、分からなくなる人もいます。終わったら終わりマークを貼ったり、表示を消したり、などどのような方法がいいのか)


スケジュールやワークシステムを作るうえでの注意点

紙にペンで記入する(PCで作り印刷する)のではなく、ホワイトボードにマグネットなどを使用することで、動かすことができるようにする。こうすることで、変更の必要が出来たときに動かして変更することができる。これによって、予定は変更となることもある、と理解してもらう。
(直接記入したり印刷だと、変更に対応できなくなる危険性も出てくる)

変更があるときは、本人の前で変更があることを伝えて、理解をもらってから貼りかえる。
(本人が知らないところで予定変更があるのでは、スケジュールの意味がなくなるため)

スケジュールやワークシステムに貼ってあるカードなどを、コミュニケーションツールとして利用しないように気をつける。
(貼ってあるものを持ってきて、要求を伝える場合はそれを使ってのコミュニケーションをしないように統一した対応を行う)

時間の構造化を行って、支援者側が満足しないように気を付けましょう。
作ってすぐに、スケジュールやワークシステムが使えるようになる人は、多くありません。
最初は、それが何を示しているのか、を丁寧に伝えていきます。
伝えるときに、こうすれば自分はできる、と感じてもらえるような工夫を行う。
最終目標は、スケジュールやワークシステムを自分で使えるようになることです。
対象者が、スケジュールななどをうまく使えていないときは、なぜ使えていないのかをアセスメントして、伝える方法を見直す必要もあります。

支援者が対象者に、こうなってほしい、という理想でスケジュールを組立てると、対象者に無理を強いてしまうことがあります。そうなると、スケジュール=無理をさせられる、と理解てしまいます。
長年、時間的な構造化が行われていない環境で生活してきた人に時間的構造化を行うと受け入れに時間がかかります。そこに無理を強いてしまうと、さらに受け入れられなくなることもあります。
ここでもスモールステップを心がけていければいいなぁ、と思います。

この本でいろいろと勉強させてもらいました。すべてを実践に生かすのは難しいですが、支援を行う上で基本的な考え方になると思います。


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