おはよう。(小説)
やっちゃん、
やっちゃん、
やっちゃん、おはよう。
パンを 焼いてるよ
今日は 寒いね コーヒーを 入れようか
こたつ 入ってていいよ 本当に 今日は 寒いね
あ 鼻 かみたいの
ごめんね 昨日 新しいの 出し忘れてた
それと どうしたの 寝癖
どんな 夢を 見たの
私は 今日ね パパの 夢を 見たよ
あ 見て
窓の 外 雪 だよ
去年は 降ら なかった のにね
今年は 積もる かなあ
3年前の お正月に おばちゃんの おうちに
行った ときには たくさん 積もってたね
雪合戦 したね
やっちゃんケラケラ笑ってて
冷たい冷たい って言いながら 一生懸命
手 痛くなって すぐ 帰った んだっけ
そのあとは あ
おばちゃんの家の蔵から蓄音機見つけたんだ
すごく埃被ってて
眞玉のおじちゃんからレコードを借りて
蔵の中で二人で聞いたよね
なんだっけ、あの
そうだ、「ASTRONOMY DOMINE」だ。
響くから、宇宙と繋がったのかと思っちゃった
あれからだよね。
やっちゃんがレコードにハマったの
もう家に一体何枚あるんだろうね
ううん なんでもない
やっちゃん おいで
寒いね
トントン。
トントン。
トントン。
痛っ、
どうしたの、
どうしたの .
うん わかった
ごめんね
私も こたつに 入ろうかな
ん。なに .
あぁ あれはね 友だちに 貰ったんだよ
見てみる . あ お湯が 沸いた みたい
コーヒー 入れてくる から 好きに見てて
やっちゃん、
やっちゃん、
持ってくるね .
わっ、 焦げちゃった
ごめんね
イチゴジャムと バター どっちにする
うん じゃあ 私も