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【年下彼氏】わたしたちの遠恋事情。

うわ、もう5時だし。
今日の夜、イチゴさんが帰って来る。

長い一週間が終わる。

3月から転勤で、ここから車で2時間ほど離れた街に住んでいるイチゴさん。
週末には帰って来る。


去年、2021年の夏、会社からある資格を取るように言われたイチゴさん。
その資格を無事に取れたら、今回の栄転が決まるわけだけど、
その話を聞いたときにわたしが思ったのは、

「じゃあ、わたしたちの関係も来年の春までだな」

だった。

だって、遠恋なんて無理。
共通の趣味もない、性格も合わない。
たまに変なところがピッタリ合っちゃったりはするんだけど。


わたしは、彼を信用できないと思った。
そばにいて、温度を確認できる関係じゃないと、ぜったいに無理だなって。

きっと遠恋なんかしたら、わたしは毎日彼のSNSをこっそりチェックして、少しのことで不安になって、泣いて、大したことないのに大袈裟に騒ぎ立ててしまう。

そんなの、彼にとっても、わたしにとっても良いわけない。


だから、新しい街で新しい、同世代の女の子を探したらって思ってた。
ずっとそんな気持ちを抱きながら、彼が資格を取るために勉強するのを応援していた。

今まで何度もその資格にトライしては、まったく勉強しないで受験料だけを無駄にしていたイチゴさん。
わたしと付き合うようになってから、綺麗な制服で出勤するようになった。コンビニ弁当じゃなく、手作りのお弁当を持っていくようになった。無茶なお酒の飲み方もしなくなった。
ずっとずっと、変な言い方かもしれないけど、社会人として立派になった。

会社に言われた資格も、今回は頑張って、無事に合格した。

だから、きっと同世代の素敵な女の子を探せるよって、わたしは思ってた。


合格した瞬間に、
「これで転勤が決まった」
って言われて、
その時に初めて、
「じゃあ、それまでだね」
って言った。


いま思えば、どんな気持ちだったんだろう。
わたしがどんな気持ちで資格取得を応援してただろうって考えたかな。

当たり前だ。
そんな、ちっぽけな温度にすがるより、好きな人の成功を応援したいに決まってる。


ただ、最初にその話を聞いたときより、合格する頃にはわたしたちの関係も変わっていってた。
わたしは、イチゴさんの気持ちを信用できるようになっていた。

信用できるようになったというより、
「こんなに想ってくれる気持ちを信じないのは、失礼だ」
と感じるようになったというか。

2021年の10月、付き合って1年の記念に贈られたペアリングも、かなり精神の安定に貢献してるかも。


遠恋は無理だと告げた時、イチゴさんは、
「最終的に決めるのはサクラだから、サクラが無理だと思うなら仕方ないけど、
俺はこれからも2人で頑張りたいし、家に帰ってきてサクラが居ないと思うと悲しくなる」
と、言った。


頑張れるのは、サクラが居るからだって言った。


これは、「依存」になるんだろうかね。
わたしが居なきゃこの人は生きていけない、なんて、
ダメな男に引っかかる女の定型句としか思ってなかった。


「付いてきてほしい」
「そばに居てほしい」

イチゴさんの気持ちは全くブレなかった。

わたしは、仕事を辞めて付いていくことになる。今のキャリアも捨てることになる。
もし仕事が見つからなかったら、
わたしはまた不安定になるかもしれないけど、それでもいいの?
とか、色々聞いたけど、
最初から最後まで、
「これからも2人で頑張りたい」
って
イチゴさんの気持ちが変わらないから、

じゃあ、付いていく、と、言った。

ただわたしも仕事の都合があるから、4月いっぱいは辞められないということで、
2か月間の遠恋が始まった。


わたしは完全週休二日で、イチゴさんの土曜休みは隔週。
イチゴさんが土曜日仕事の日は、わたしは金曜日の仕事が終わってから、イチゴさんの住む街へ行く。

行ったところで夜も遅いから、一緒にゴハンを食べて寝るだけだし、次の日もイチゴさんは仕事だから、わたしは慣れない部屋で時間を潰す。


3月の最初の週末なんてね、
わたしが行ったら、イチゴさんの態度がものすごくそっけなくて、何なんだよってなって、
変なアカウントも見つけちゃうし、
たった一週間でこんなの、やっぱり無理だと思った。


変なアカウントの件はまた書くけどさ、
そっけなかった理由が……
何て言ったと思う?!笑

「照れた」

だって。笑

「こっちに来てくれたのが嬉しくて」
「久しぶりに見たらサクラがあまりにも可愛くて」
照れたんだって。

これを素直に信じていいのか……。笑


でも、たぶん、たった1日でも早く会いたいのだと思う。

そういえば前に、朝、ひとりで起きて仕事へ行くのは本当に虚しいと言っていた。

一緒に住んでる時、ケンカした次の日の3回くらいを除いては、わたしも毎日起きて、
(わたしの方が出勤は2時間ほど後なんだけどね)
行ってらっしゃいのキスとハグをして、
見送っていた。


イチゴさんにとっては、それが、
頑張るために必要なことだと、思っていいんだろうか……多分ね。

今の、遠恋状態下においては、
たった1日でも早く、そうすることが必要な精神状態ということか。


3月の末、イチゴさんが土曜日仕事、つまりわたしは金曜日の仕事が終わったらイチゴさんの住む街へ行く週、
わたしは火曜日から金曜日まで出張で、
家に帰ってきたのは金曜日の午前で、それからまた出勤して……みたいな日があった。

普段なら、
疲れてるならいいよって、言いそうなものなのに、
「来なくていいよって思わなかったの?」
ってきいたら、
「思うわけないでしょ。来てくれないと困るもん。」
って言ってた。


そしてわたしは、
一人暮らしの自由の中で、寂しさを感じていることを自覚し始めていた。


やっぱり、遠恋には期限がないとだめだね。

ちゃんと話し合って、その先どうするかって決めて、期限も決める。

ただ漫然と離れた日々が続くのは、
わたしにとっても、イチゴさんにとっても無理なんだ。

3月の中頃、「今日、退職届けを出したよ」って言ったら、
「ありがとう」って言われた。

うん。
イチゴさんの気持ちはきっと変わってない。


遠恋をする前は、
気持ちが変わらないことを証明しろなんて無茶を言いかけて、
そんなの無理だと悟った。


先のことなんて分からないから、
ただ、1日1日、想い合っていることを確かめるしかないんだね。


イチゴさんが土日休みの週の金曜日は、
わたしはご馳走を作って家で待ってる。

今日はその日。

今週は和食を食べたいと言っていたから、今夜に向けて、いっぱい作った。

早く、無事に、帰ってきてね。



また書きます。

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