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飛ぶ夢

不眠症の片瀬と催眠人形の真砂の話。創作です。 少しずつ書き進めていたものをpixivに公開しました。 12月の文学フリマ東京にて委託頒布の予定です。 冒頭のみnote内に公開しています。

      • 九月

        明るい日差しに取り囲まれて、少し翳りゆく時の、物体に当たる影の形、その床に伸びた影の形。 俺は日差しの角度が少し変わったことに気づいていた。茹だるような夏は永遠に続くように思っていたけれど、祭りに終わりがあるように、やはり秋は来る。 秋は祈りの季節だ。収穫物に感謝を捧げ、豊作を願う。

        • 一次創作用のBlueskyアカウントを作りました。 文学フリマに向けての創作物の進捗や告知をしています。 発言はややオタク向けなものも含みます。悪しからず https://bsky.app/profile/lovesick1010.bsky.social

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        • 2019-05-07〜|詩のまとめ
          105本

        記事

          ひとりきり 夜に向かって口笛を 吹く風辿る 春の夜の闇

          ひとりきり 夜に向かって口笛を 吹く風辿る 春の夜の闇

          忘却

          闇の中に 朧げに赤い光が連なって揺れている 手を伸ばせば 触れているともいないともつかぬ ただ内側から闇に潜み 花開いて潤んでいく肌の温もりがある 夜の闇に心を奪われ 戯れているうちに 今あるこの気配すら 忘れてしまっている

          暖かな陽だまりを歩いていく 翳りゆく 未来に向かって

          暖かな陽だまりを歩いていく 翳りゆく 未来に向かって

          ブリガドーン

          地の底を這うような音が聞こえる。それから乾いた音で鐘が鳴る。 ふとそれが、滅びの歌のように聴こえる。 風が地を這い、唸りをあげて地面を撫でるような。 まるで地鳴りのような。 僕は全ての神々について思った。 それらに仇なす人々が、命と引き換えに怒られるんだと思っていた。 でもそれが何故だか少し、嬉しかった。

          ブリガドーン

          夜の天使

          公園のブランコではしゃぐ 夜の子供たち 闇の中で翼を広げる 夜に飛ぶ天使 キスは甘く柔らかく 肺の中に血を広げる 鉄錆の匂いをさせて ふくらはぎの辺りまで 甘く痺れて 恍惚としてくる

          心には棘などない。ただひたすらに愛しい

          心には棘などない。ただひたすらに愛しい

          環天頂アーク

          駅前のホールにいた。 空間の中にぽつんと置かれたピアノ。その前に一人の人が座り、ピアノを弾いている。鍵盤から放たれる、宗教的な調べ。祈りと光とを合わせ持って、生まれ出る闇を柔らかく拭い去るような。 光は天から落ちてくる。速度を緩めて、今また柔らかく翻り、飛翔していく。 光の翼になって。 波のさざめきを聞いていた。きらめく光は、虹色になって消えた。 海は遠かった。

          環天頂アーク

          星のクズ

          日の暮れ近く 夏の過ごし方を思い出す 宵闇を月が明るく照らす 昼間のうちに見る夢で 白昼堂々やって来た遠雷は トタンの屋根を激しく叩いた 宵闇 月明かりの中 真昼の夢は背後に隠れた 二人を明るく照らすのは 降り注ぐ一粒一粒の雨 それらのすべてが星になり 流れて 宇宙の塵になる

          今また季節も翻って 柔らかい風になる

          今また季節も翻って 柔らかい風になる

          胸の奥で視線が彷徨えば 闇の中で火花散る

          胸の奥で視線が彷徨えば 闇の中で火花散る

          あおぞら

          手放す時の空は明るい 手を離した空は青い 夜はただ 青くて 冷たくて 張り詰めていて 美しい