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「ひ・よみ」…第3回2-3スサノオ2-4クニトコタチとトヨクモヌ2-5イザナギとイザナミ

2-3スサノオ

スサノオは、ヤマタノオロチのお話が、暴れる川を治めた話として広く知られているように、まず治水の神といえます。

大祓祝詞で天津罪とされ、アマテラスが天岩戸に隠れるきっかけとなった「畦放(あはなち)、溝埋(みぞうめ)・樋放(ひはなち)、頻蒔(しきまき)、串刺(くしさし)、生剥(いきはぎ)・逆剥(さかはぎ)、屎戸(くそへ)」も、スサノオの行う事柄として考えてみれば、「区画整理、水路改修、補植、土砂の流出防止もしくはモグラなどの害獣除け、樹皮の剥ぎ方、施肥」のことと推測されます。近年でいえば「農業構造改善事業」というところです。
つまり農業関連の新技術を導入したのに、守旧派から受け入れられなかったのではないかと思えるのです。糞尿をまき散らしたという話も、田畑への施肥が悪意を持って広められたものと考えられます。

こう考えると、スサノオは実際には何一つ悪い事はしていないのです。

今でも最新技術を導入しようとしても「環境破壊だ」と反対にあうのはよくあることです。
慣習にそぐわない、ということはいくらでもあったと言えます。

このようにスサノオは農業・土木の神でもあったのです。

このことが想定される理由として、相模国一宮の寒川神社と武蔵国一宮の氷川神社の比較が面白いと思います。

「むさ」(※)の上(かみ)が寒川で、下(しも)が氷川ということは、河川が氷結するかどうかで上下(かみしも)を分けたとも思われます。

2018年1月26日にさいたま市で-9.8℃を記録し、水道管の凍結騒ぎがあった時に、このことを思いつきました。よく氷川は出雲の簸川からといわれますが、素直に氷の川とすれば、氷川神社とスサノオの組み合わせは適神(材)適所です。

※ 相模と武蔵は「むさ上」と「むさ下」からそれぞれ一字落ちた形で、律令以前には「むさ」の国として一括だったという説があります。上野(こうづけ)・下野(しもつけ)が「上毛野(かみつけの)」「下毛野(しもつけの)」から来ているのと同様に考えれば理解しやすいと思います。

2-4クニトコタチとトヨクモヌ

まず、地の神としてスサノオとよく混同されている、クニトコタチについて説明しておきます。

双方とも地の神ではありますが、地学的に言うと、スサノオは「土壌圏・水圏」の神、この水圏の中には海も含まれます。
クニトコタチは「岩石圏」の神ということになります。
大規模建築を建設するときには、杭を打ち込んで岩盤に届いてから、その上に建設します。
まさに常立(とこたち)です。
古代の出雲大社を建てた人々はこのことを知っていたと思います。

艮(うしとら)の金神とされるのは易の八卦の艮(ごん)卦☶が「山」を表していて、クニトコタチは岩石圏の神だからです。
ただし氷河のない日本で、土壌のない岩山というのは急峻な高山または火山のみとなります。
中国由来なので、五岳が本来のイメージかとも思います。

ここで「艮(うしとら)の金神の世」とは何を表しているのでしょうか。
「金」と「艮」を合わせると「銀」となります。
つまり「シルバー」、「高齢者」のこととなります。
結果、「艮の金神の世」の到来とは「高齢者社会」の到来ということになります。
我が強くて荒ぶる神、皆さん高齢者を大切に。

クニトコタチと併記されることの多いトヨクモヌは漢字で豊雲野と書くように「対流圏」の神様です。
坤(ひつじさる)の金神とされるのですが、八卦の坤(こん)卦☷は「地」を表します。
スサノオとクニトコタチがいるのに、またトヨクモヌが「地」というのには違和感がありましたが、坤卦☷の形を見ていて気付きました。
坤の金神とされるのは、対流圏と地がつながる猛威。台風のことです。
坤卦☷は台風を横から見た姿です、中央の縦の空白が「台風の目」に当たります。
坤の方角の西南は台風の来る方角です。
「天」に対して見れば、対流圏も「地(地球に属するもの)」の範疇であるということです。

・易について

艮卦☶、坤卦☷の話が出たので、易について少しお話ししておきます。
基本は八卦(卦の文字は一般的には「け」と読まれていますが、学問的には「か」と読みます。したがって八卦は「はっか」と読みます)と、それをふたつ重ねた六十四卦。
構成単位の陰(― ―)陽(―――)の爻(こう)は、線の長さの基準が3なので、陰は3+0+3=6、陽は3+3+3=9となります。
重陽の節句の9月9日は、陽が重なって良すぎる、ということでお清めをする風習です。
おみくじで大吉は良すぎるので吉の方が縁起が良い、とするのと同じ発想です。

同様に666は坤卦☷を表すことがおわかりいただけるでしょう。

六十四卦は乾(けん)卦(下☰天上☰天)で始まり、未済(びせい)(下☵水上☲火)で終わります。それぞれの卦を分解すると「一二三」で始まり、「火水(かみ)」で終わります。

「ひふみのかみ」の中にすべての卦が収まっている、ということです。

2-5イザナギとイザナミ

通常、「イザ│ナ│ギ」「イザ│ナ│ミ」と名称を分割して、「イザ」は接頭辞、「ギ・ミ」を接尾辞の男性形・女性系とされていますが、これでは「ナ」の意味がわかりません。
区切りを「イザ│ナギ(凪)」「イザ│ナミ(波)」とすれば名称の対立がはっきりします。

イザナギは直線的、振動の収束作用を、イザナミは波形、振動の増幅作用を表します。
また直線と波形が組み合わさると、パルス波(鼓動)となり、生命の誕生ということになります。

イザナギの振動の収束作用が騒動の終息・平定の意味となり、イザナミの振動の増幅作用が情報の拡散を意味するとすれば、黄泉の国での会話も納得がいきます。
イザナギ単独でお祀りする神社が存在するのも、騒動の終息を願うことが目的と推測されます。

アマテラスの後見という意味ではイザナギが静「月」、イザナミが動「日」となります。

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