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大きな達成感〜大型読み聞かせ本番〜


 1月のある日、読み聞かせボランティアをしている小学校で、全児童一斉に、大型読み聞かせをした。読んだ本は、『ぼくのジィちゃん』くすのきしげのり作、吉田尚令(ひさのり)絵、佼成出版社のもの。絵本の映像をプロジェクターで、スクリーンに映しながら、音響もつけ、読み聞かせするのだ。メンバーは11人。ナレーション1人、セリフ担当6人、音響2人、映像1人、全体を補助するなんでもやさんの方が1人。わたしは、セリフ担当、キャプテン役だ。



 10月末の開催予定だったのが、風邪の大流行で延期になった。年明けでも、風邪は相変わらず流行っている。ちゃんと、本番を迎えられるか、ずっと心配だったが、ありがたいことに、小学校での風邪の流行はおさまってくれた。


 会場である体育館に9時集合。本番は、13時50分から。それまで、時間がある限り、練習重ねる。予想していたが、寒い。息が白くなる。外気温は5℃ほど。建物内とはいえ、暗幕で囲まれた体育館、かなり底冷えする。

 わたしは、寒さにはわりと強いが、念のため紺のセーターの下にヒートテックを着ていった。あったか黒ズボンとその下にもヒートテック、上着は息子の黒のベンチコートだ。黒子だから目立たないように。足元は、もふもふのスリッパを履いた。動いていたら、汗をかいてきた。慌てて、コートを脱ぐ。しばらくしたら、また寒い。慌ててコートを羽織る。

 機材を設置して、それぞれが舞台袖にスタンバイ。暗いため、ランタンの明かりで台本を見る。練習を通しで一回、改善した方がいいところを、みんなで話し合い、ピンポイントで練習を重ねる。手先がかじかむから、カイロで温めながら、台本をめくる。

 それでも、9時から2時間ほど、ずっと体育館にいたら、体が冷え切ってしまった。一区切りついたとき、エアコンのあるパソコン室で、お昼休憩を取らせてもらう。パソコン室は、現在ほとんど使われていないようだ。児童それぞれにノートパソコンが用意されるようになったからだろうか。部屋は、事前に先生が暖めてくださっていた。ありがたい。暖かいと、ホッとする。メンバーで輪になって座り、おしゃべりしながら、お弁当を食べ、お菓子交換をし、それも食べ、またしゃべる。

 休憩を終え、時刻は12時半。体育館に戻り、不安要素のある場面をまた練習する。13時になり、最終練習を行う。だんだん、みんなのテンションが高くなっていく。わたしもそうだ。「失敗したらどうしよう」なんて声も出てくる。でも、それをみんなで、「大丈夫、大丈夫」「なんとかなるよ」と、肩をたたいて励まし合った。

 わたしは、今回で、5年ぶり6回目の大型読み聞かせだ。けれど、身体が覚えているみたい。緊張はまろやかだ。昔は、励ましてもらっていたが、今は励ますほうになったなぁ。何度もみんなで練習した。だから、大丈夫。予想外のことは、毎回起こるけれど、それもなんとかなる。臨機応変に、その時のベストを選べばいい。

 本番前、舞台袖の幕の中に3人で控えていたら、おひとりが、「口角上げていきましょ」とにこやかに言ってくれた。「うん」と、わたしも笑顔で返す。ふと、隣を見ると、もうおひとりは、ボクシングの構えで、拳を交互に突き出している。なぜ、今ここでジャブなの?そう思ったら、笑いがこみあげてきた。いや、声に出して笑ったらダメ。く、苦しい…緊張感が飛んでいった。子どもたちが入場して来る。一年生が一番前、順に並んで、一番後ろは六年生。

 始まったら、本番の20分間は、あっという間だった。

 子どもたちは、こちらが意図しない場面でも爆笑したり、喜んだりしている。やはり、反応があるのはいい。読みやすい。ナレーションもセリフも、みんな、練習のときより、言葉に熱がこもっている。本番は楽しい。あっ、またわたしの番。すらすらと言えた。低い声で、想いもこめて、ばっちりと声を出せた。

 それからも子どもたちは、素直に笑ったり、応援したり、拍手したり…姿は見えないが、子どもたちが楽しんでくれている様子が、しっかりと伝わってくる。読み聞かせしているこちらと、見ているあちらが、ひとつになっている感じがした。最後の場面、わたしを含む数人が、スクリーンの横に走りでて、紙吹雪を撒いた。ひらひらと舞う紙吹雪。

 場面が変わり、拍手の中、幕が閉じていく。気がついたら、わたしたちもみんな、拍手していた。その後、閉まった幕の前にメンバーみんなで並び、教頭先生からあらためて紹介していただく。また、子どもたちからたくさんの拍手をもらった。あぁ、胸がいっぱいだ。

 今回、準備段階から本番まで、先生方にたくさん助けていただいた。そのお気遣いがありがたく、うれしい。先生から「絵が動く場面、子どもたちは盛り上がっていたよ」とお言葉もいただく。大変だったけれど、映像の加工もやってよかった。

 子どもたちが退場後、手分けして片付けを素早く済ませた。その後、校長室にお呼ばれして、お疲れさま会をしていただく。温かなコーヒーとお菓子、そしてまたおしゃべり。高揚感の中、たのしい会話が続く。笑いが絶えない。子どもたちの下校時間が近づいて、慌てて解散になる。

 15時半ころに、へとへとで、うちにたどり着いた。そして、その日眠りにつくまで、大きな達成感にふんわりと包まれていた。

 これだから、やめられないんだよなぁ。



※わかりにくい部分があったので、冒頭部分を修正しました。みらいさん、気づきをいただきました。ありがとうございました♪

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