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私の青春は六大学野球だった話

高校時代、部活が嫌いだから、部長になった。

中1の時に望んで入部して望んで選んだトロンボーンのはずが、いつからか苦痛で仕方なかった。ずっと辞めたかったけれど、辞める勇気のなかった私が選んだ道が、大役を背負って部にいる意味を作り出し、部に自分を縛り付けることだった。

高1の夏、そう決めた15歳の自分を今振り返れば、なんて不器用なんだと思える程には大人になったらしい。まあ結果的にその役割は案外自分に合っていた。経営を学びたいと思ったのもそれがきっかけだったし、普通の高校生より遥かに人生勉強をした自負もある。


中高時代に悔いはないが、ひとつ心残りがあるとすれば、いわゆる青春っぽい青春を体験できなかったことだった。

中学でも学年別アンサンブルの責任者をやって死ぬほど苦しんだから、私の中高時代は「好きではない部活で仕事をし続けた」思い出… というより記憶が大半なのだ。やっぱり共学に行って野球部のマネージャーしたかったな、なんて思う気持ちは、今でも多少捨てられない。  


だから私の大学受験における進路選択の一番の軸は、スポーツが盛んな大学。これだった。野球が強くて、できれば六大学、あと駅伝が強いもマスト。

……もう3つしか選択肢ねーじゃん。



陳腐な理由ではあったが、希望した場所での、極めて希望通りの大学生活ももうすぐ終わる。

駅伝とは少し距離があったけど六大学野球は死ぬほど見た。なんてったって、早慶戦だけでも神宮で19回見たんだ(1春①②、1秋①②③、2春①②、2秋①②、3春①②③、3秋①②③、4春①③、4秋①②)。常人のやることではない。

まあ結果としては、4年間で一度も優勝しない予想外オブ予想外の展開だった。KMHRの優勝を見て、Tの勝ち点も見て、Wの優勝は見れずに最下位を見た。多分だけど、こんなに4年間は90年超の歴史を振り返っても一度もないだろう(そもそも最下位が70年ぶりなんだわ)。

そう考えると、大学スポーツらしいロマンの詰まった4年間を半当事者として(?)見れて、ある意味ラッキーだったなとも思う。


それと、同級生にあたる選手たちが本当に面白かった。特に森下暢仁、田中誠也、高橋佑樹の3人は、敵ながら毎回見るのが楽しみだった。自分の学校とは全然関係ないけど、最後の森下vs田中誠を見るためだけにわざわざ神宮行ったもんなあ。まあ、せいやさん1回5失点で降板したんですけどね。今秋で一番楽しみにしてたのに、まったく。


先日の明治神宮大会決勝。郡司がホームランを打てば、ボンバーは快投し、日本一になった。

私はエンジにまみれた家で生きてきたので(実は父の影響というよりは、なぜかワセ女でもインカレ女子だったわけでもない母がめちゃくちゃアンチ慶應なのだ。謎)、ボンバー好きだなんてマジで一回も思ったことないけど、この時だけは「有終の美を飾れてよかったな、ボンバー」と思った。なんかよく分からないけど。

でも森下も誠也も既に日本一を経験していたから、最後にボンバーもできてよかったなぁと素直に思った。あとはこの4年間は間違いなく慶應がずっと強かったし、その分早慶戦で勝った時は嬉しかった。だからなんだかんだ強い慶應の日本一をどこかで願っていたのかもしれない。敵ながらボンバー郡司のバッテリー、最高だったよな。


いろいろ言ってもやっぱり優勝は見たかったし、号外出したかったなと思うし、加藤檜村福岡小藤にだってめっちゃめちゃ思い入れはあるのだけど、それ以上に六大学野球を常に楽しめる環境にあったことは幸せだったなと思うのです。


例えば高校球児だった父は「俺は立浪・片岡世代だ」と高3の時に優勝したPL学園の話をよくしていた。小さい頃の私はそんなに何度も話したくなる意味がよく分からなかったけれど、正直今ならすごい分かる。

もし来年は社会人に進む選手たちもいずれプロ入りするとするじゃん。で、もし万が一私も世界のどこかにいる誰かと結婚できて、億が一子供ができたりしたら「ママが大学生の時は森下も誠也もボンバーも加藤もみんな同学年にいたのよ!彼らの大学時代の試合ほとんど見たんだから!」って多分絶対言う。

うわーー。絶対言うわ。で、結局去年の早慶戦の話にたどりつき小島さんについて語るところまで見える。はー、ウケる。まあこれ億が一の話なんですけど。


別に私がプレーしていたわけでもないし、部の人だったわけでもない。

でも私にとって六大学野球は、間違いなく高校で経験できなかった分、遅れてやってきた青春なのだ。たくさんの思い出も、喜怒哀楽も、一生涯の(になるであろう)友も、六大学野球を通じて得たものがたくさんあるわけだから。ありがとう六大学野球って感じだ。


縁あって来年からも神宮周辺にお世話になる。ここまで来ると呪縛?とも思うけど、とりあえず優勝するまでは見に行こう。ね、みんな。

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