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blackbird gift card

先月初めに、blackbird books専用の図書カード「blackbird gift card」の完成を受けて、その制作の経緯がblackさんのブログに公開された。以下に、その発案から制作の一部を請け負った微花としての追記を書いてみたいと思う。

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今年の初めから、今も続いている危機にあって確かめたのは、普段何心なく通っている本屋のかけがえのなさであった。これまでも折々本に救われてきた身としては、すでに家にある本を読むことでも何とか凌げるか、と思っていたところが、実は本それ自体よりまして、本屋という空間にひととき身を置くことで救われてきたことに、あらためて気付いたのだった。そうして、いつしか自分でも本をつくるようになってからは、一客、一読者としてのみならず、本屋の一部としての自分という意識もあったことから、この危機に対して、何かできることはないかと考えていたところへ、ふと閃いたのが図書カードだった。

図書カードといえば、普通は全国の本屋で共通して使えるプリペイドカードを指すけれど、たとえば本屋それぞれに独自のものがあれば、懇意のお店に今は行けないけど通販で本を買って応援をする、といったこととは別の仕方で、予めカードを買っておいて、贈るもよし、自分で使うもよし、使わない間は (あるいは使った後も) 飾れるようなものがあれば良いだろうと思い付いたのだ。

そこで調べてみると、例えばカナダでは、日本のように全国共通の図書カードがない代わりに、本屋それぞれに専用のギフトカードがあるということがわかった。また一般的に、それらは本屋の名前を冠して「〜books gift card」と名づけられていることも。そこでgift cardの頭にblackbird booksと付けてみて、音の良さからbooksをとって「blackbird gift card」——bird、card、とつい口ずさみたくなるような名前になった。

ここで、様々な本屋にお世話になっている身として、どうして最初にblackbird booksに声を掛けたかということについては、明確な理由があったわけではない。だが、物が出来た今となっては、blackbird booksにおいてしかあり得ないような物になったと思っている。というのも、このblackbird gift cardの特徴は、blackbird booksで不定期に開かれる花屋noteの、営業するなかでどうしても出てしまう、売り物にはならないが、なお捨てがたい植物片をあしらって完成される一点物であるから。

そうしていま思い返せば、この花をあしらった本のためのギフトカードという着想は、4月23日の、花と本を贈りあうサンジョルディの日に花の本を贈るということから創刊された微花が、以後も毎年続けて開いてきた花と本のお店「Sant Jordi」の——そうして唯一、この春だけは開催のかなわなかった花と本にまつわる営みの——ひとつの昇華であったかもしれない。

「blackbird gift card」

花を贈るように花のカードを、本を贈るひとつとして本を選ぶひとときを贈るギフトカードを、日々のふとした拍子に、贈りたいと思ったその時々に、ぜひお楽しみください。

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