私がスーパーマーケットで学んだコト<22>「ユニットプライス」

昨年から今年にかけて、モノみな上がる状況の中で、売る側も商品の仕入れに力を入れるだけではなく、安く見える工夫も凝らしている。そうした取り組みが進めば進むほど、消費者サイドにしても、本当は何が安いのか気をつけなければいけなくなっている。
そういう時、役立つのが「ユニットプライス」という考え方。これは商品の価格を100g単位で比較すること。200g-300円と250g-350円の同一内容の商品があったとすれば、100gにすると150円と140円になり、250g-350円の商品のほうが割安になる。
日本では生鮮食品、精肉ではこのユニットプライスの考え方が浸透しており、かなりのお客が100g当たりの価格も、商品選択の助けにしている。つまり、比較する基準を明確にすることで、絶対価格を求めることが出来るのだ。
しかし、日本ではこの「ユニットプライス」の考え方は、ヨーロッパほどには浸透しているとは言い難い。なぜなら、日本の場合、食品一つをとっても、100g単価で割り切れない「味」であったり「食感」が微妙に影響しているからだ。

青果や鮮魚は個店の差が大きい

「ユニットプライス」がうまく機能しないカテゴリ―は、生鮮食品であれば、青果や鮮魚だ。例えば青果でいえば、タマネギの相場が高い時、正直にユニットプライスを表示しても、安くは見えない。それよりも「普段は200円で詰め放題のところ、今日は300円で詰め放題」とした方が、お客に取っては、うれしい販促になる。
それは鮮魚でも同じ。アジを販促品にしているスーパーが2店舗あったとして、ユニット単価100円で大サービスといわれてもピンとこない。それよりも、見た目もいい房総沖のアジ1尾150円とした方が、鮮度の良さやおいしさは伝わる。
これは惣菜でも同じ。例えばから揚げにしても、全国共通のレシピがあるわけではなく、それぞれの店舗は独自のつくり方をアピールしている。そういうトレンドのなかで、味付けや揚げ方で手抜きし、ユニット単価の安さを強してもも「味が落ちた」「肉質が落ちた」といった評価ダウンを招きかねない。

ワンパックの価格で安さを打ち出す

このように考えると、日本の場合、やはりワンパックの価格が安く感じられるような価格設定が、より重要になる。その際、大事にしたいのはワンパック当たりの値ごろ感だ。それぞれの商品にはいくらぐらいという価格があり、それを外すと、売上は上がらない。
ただ、気候変動要因などで、急に漁獲量が減少したとか、暑すぎて夏野菜の収量減などがあるとステルス値上げといイメージを与えてしまう。その一例が、チリメンジャコの不漁による値上がり。最近のチリメンジャコのパックは、神業にような薄さでパッケージしており、業者の苦労がしのばれる。しかしチリメンジャコがワンパック980円とか1080円もすると、とても手が出ない人もいるから難しい。
これからは、リテイルにとって、ワンパック価格の値ごろ感はますます重要になる。ミートのように、ユニットプライスが商品シールに入っている場合はいいが、そうでない場合、青果の玉ねぎやジャガイモ、ニンジンなどでは、相場で価格変動はあるが、試験的にユニットプライスを併記して、少しずつ100gの価格に慣れてもらうようにするのも、今後重要なポイントになりそうだ。


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