KAISUUKEN 甲斐芻拳

回数券について意見を聞かせてほしいとご希望がありましたので私見をまとめてみました🎫

※ 以下、あくまで僕個人の意見です。



僕たちの業界では回数券は当たり前の存在であり、特に整骨院では回数券を導入しない方が悪であるとされる風潮まであります。
先に言っておくと、回数券については賛否両論ありますがどちらも正解でありどちらも間違いではないと思います。状況次第とも言えますし、経営者のコンセプト次第だと思います。

回数券を導入するか否かについて決める場合、一番最初に考えるべきは自分の性質に対して回数券のシステムが相性が合うかどうかだと思います。
どういうことかというと、現実的に回数券が売り上げアップに貢献してくれるかどうかよりも、経営者ひいては施術者自身が気持ちよくお金をいただけるかどうかの方が重要だからです。

よく治療院業界で回数券のメリットとして挙げられるのは

①5回券、10回券を買わせることによって初診時の治療効果が出なかったとしても半強制的に複数回通わせることができる。離脱の確率を下げることによって改善させてあげられる確率も上がるし、売り上げを損なうリスクも下げることができる。

②先に大金が手に入る。

③患者さんにとっても料金が少しお得になったりするので懐に優しい。

回数券のデメリット

①患者さんにとっては1度に大きなお金が懐から出て行くので「うっ」と思われやすい。そうすると必然的に「この人は売りつけるつもりか?」と勘繰られてしまうので話し方によっては逆にリピート率が下がってしまう。

②当たり前だが回数券を消化するまでは次の売り上げが入ってこない。

③初診時に患者さんに回数券を買わせないといけないわけだから、治療の手ごたえや説得力を与える治療技術やクロージングのテクニックなどが問われる。

簡単に書くとこれらのメリットデメリットがあるわけですが、もちろんそれを踏まえた上であくまで「当院は一応回数券も用意してますので、回数券をお求めの方はおっしゃってください」というスタンスでいるべきです。強制すべきものではないと思います。

最初にいましたが、大切なのは回数券のシステムが自分にとって相性が良いかどうかを知ることです。そして特に熟考するべきは「相性が悪くないかどうか」です。なぜなら、患者さんに回数券を売るのが無意識に自分の精神にとって負担になっていたら楽しいはずの経営も楽しくなくなってくるし、それによって疲弊し治療自体にも支障をきたしてしまうからです。

上に書いたデメリットで考えれば自分にとって回数券が相性が悪くないかどうかが判断しやすいと思います。

デメリット①でいうと、まずいきなり大きな金額を提示するよりも、単回ごとにお支払いいただいた方が無理なく現実的です。必然的に受け取る側もお金を胸を張って受け取りやすくなります。また、患者さんにも猜疑心を持たれずにお金を支払っていただけます。
デメリット②の回数券を消化するまで治療ごとにお金をいただけないことも相性が合わなければ最悪の結果となります。もちろん1番最初に全回分のお金はいただいているわけですが、それ以後はこちら側としては「回数券を消化するために治療こなす」ことになってしまい、毎回の治療に気が入らなくなります。一回ごとにきちんと施術代をいただいた方が治療に身が入るし、もしかすると患者さん側も毎回お金を支払う形の方が自分の体に投資している意識が強くなり回復力も継続率も変わってくるかもしれません。

そして③、回数券との相性が合わない先生は新患さんが来るたびに「売らなければ」という強迫観念にさいなまれるわけです。また当然新患さんだけではありません、回数券を消化したときにまた再び次の回数券を売らなければならないという試練が訪れるわけです。無論、新患さんに回数券を買わせるよりも難易度が上がります。1回目の回数券を全て消化するまでの間に、こちら側のボロが出てしまうことが多いからです。つまり実力を測られてまうわけですね。2回目以降の回数券、3回目以降の回数券、となるために鍼灸師としての実力を問われるわけです。それに比例して精神的負担も大きくなります。ですし、単純に次の回数券を買ってもらうたびに再び患者さんから大きなお金を財布から出させないといけないわけですから回数券との相性が悪い先生とっては最悪です。

そして実は、リピート率という観点から見ても回数券を再び買ってもらうときのタイミングが実は患者さんにとっては「通院の辞めどき」になってしまっていることも多いのです。技術ありきで勝負できていない状態で回数券だけ買わせただけでは通院することを確約させただけに過ぎないからです。
卒業させるタイミングをみすみす与えてしまっているのです。
回数券=半強制的にリピートさせ続けることができるイメージがありますが、実力がある鍼灸師にとっては実は逆なのです。

治す力がない治療家にとっては回数券で10回通わせて、次のタイミングで回数券を買わずに来なくなってしまう患者さんが多いので次々と新規の患者さんを集客し続ける必要があります。この経営方針が僕たちの業界では1番多いのです。技術がしっかりある先生方にとってはこれは当てはまりません。1ヵ月に10人も20人も集客しなくてもいいんです。1ヵ月に3人でもいいから新患さんに治療に来てもらい、そのうちの1人でもいいから定期的に長く真剣に治すために通ってくれる患者さんをコツコツ集める方が良いのです。
回数券ではなく、単回ごとにお金をいただいた方が患者さんに良い意味で「今まで針治療に全額いくら使ったか」をわからなくさせた方が30回も40回も継続して通院させることができてしまうわけです。

もう一度言いますが、この方法は治療技術ありきの戦略であり、だからこそ実現できる方法です。

ですので、これを読んだ上で自分の回数券に対しての考え方や相性をもう一度見つめ直してみて、どのようなスタイルで経営するか考えてみて下さい^_^

自信がないなら回数券に頼るのもあり、自信があるなら回数券制度を廃止するのもあり。

自信はあるが患者さんの為にも「基本的には単回ごとにお金をいただくスタイルだが一応回数券制度も用意する」のもあり。

治療を極めていけばトークスクリプトや丁寧な接客説明説得をしなくても患者さん自身の体でルート治療の必要性を感じてくれて回数券に頼らなくてもリピートさせる確率は格段に上げることができます。もちろんその確率は治療の技術に比例します。自信がつくまでの間という条件付きで期間限定で回数券に頼るのもありだし、
自信や実力がないうちから修行するつもりであえて回数券制度を設けずに経営するのもカッコいいと思います。

もちろん回数券を売った時にガッポリお金が入る方が快感だという人もいるでしょう。なので基本的にはどちらも自由だと思います^_^

最初にいましたが大切なのは自分にとって精神的に負担のない経営ができてるかどうか、が大切だと考えます。少しでも参考になれば幸いです^_^

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?