【施術料について考えてみた】〜幸せな働き方とは〜



ちょっと真面目に書いてみました。長文ですがご容赦を🙏

私たち鍼灸や整体業界は自費で施術料をいただくことができる業種です。もちろん、1回の施術で受け取る金額は特に定められておらず施術者が自由に決めることができます。控えめな金額設定にすることもできれば強気な金額設定にすることもできます。

実はこの仕組みが厄介で、鍼灸院や整体のオーナーを苦しめます。保険治療から実費に移行することに苦戦を強いられている人が多いことから見てとれるように、高い金額を受け取ることに対して申し訳なさや自信の無さや、日本人ならではの清貧、慎ましさなどが先行してしまうのかもしれません。
保険治療から自費に移行するケースにおいては今来てくれている患者さんたちに今更高い金額をふっかけることができないという思考が邪魔をするのかもしれませんが、万人受けを狙っていては本当の意味で自分のしたい仕事が一生できないまま終わってしまいます。自分の価値を提示して、その上で来てくれる患者さんが本当にあなたが診たい患者さんなのではないでしょうか?媚を売った金額で来てくれている患者さんは安いから来てくれているだけです。

では、今から自分で開業するという場合はどうでしょうか?
「自分の施術は1回で幾らいただくことができるか?」
お店の準備をすると同時にここを熟考するのではないでしょうか。

僕の話ではありますが、整骨院勤めから卒業して自分の鍼灸院を開業したときに保険治療に慣れてしまっていたせいか300円以上現金でもらうことができませんでした。それに加え、自分の治療に300円以上の価値があると思えなかったのです。効果があまり出てなかったですからね(笑

その後、1500円を取るようにしましたが毎回ドキドキと申し訳なさでいっぱいになっていました。
3年後、やっと鍼灸治療の大体の相場である1回5000円をいただくことにしました。しかし施術時間を決めていなかったため、1時間も2時間も治療をやってしまい1日の売り上げはそんなに上がりませんでした。今考えると、患者さんが30分で5000円を支払ってもらうほど価値を感じてくれていないかもしれないという心理からこのような行為に至ってしまっていたのかもしれません。(実は長時間やると患者は鬱陶しがる人も少なくないです。笑。短過ぎず、長過ぎず、スマートに手応えを与えるのがベストです。)
その後も、30分5000円、1時間10,000円というメニューを設けはしたものの結局1時間やっても5000円にサービスしてしまったりしていました。
そしてその数年後やっと、平均1人10,000円をいただくことになったのですが、ここまで来るのに約7年。自信に裏付けされた施術の提供であったり、お金の感覚に対しての自己改革であったり、すぐにはたどり着けなかったと思います。
最近スタッフさんに施術に入ってもらうことが増えてきましたが、その時に彼女たちのことを羨ましく思いました。僕が10,000円受け取るまでにここまで年月を必要とし、お金や経営について意識改革を繰り返し行ってきたのに、スタッフさん達は院の設定している金額だから気が引けることなく、遠慮なく?患者さんからお金を受け取ることができるんです。
もちろんそのお金が全て自分の手元に来るわけでは無いからプレッシャー無く受け取れるのかもしれませんが、少なくとも「自分の施術で10,000円いただいたとしてもこうやってまた繰り返し来院してくれるんだ」という貴重な経験を初期の段階で積むことができているのです。これはかなり貴重な体験です。
スタッフさんが開業したりして責任者になった時に、もうその体験をしているからこれ以上安い金額で治療する必要がなくなるからです。患者さんに納得してもらえるような治療技術を早い段階から身に付けていることももちろんありますが、これはかなりショートカットできていると言えるでしょう。
そういう意味では自費治療でしっかり患者さんに喜んでもらっていて経営もうまくいっている治療院で数年間雇われることはかなり勉強になるのかもしれませんね。

しかし、まだ技術が伴っていないはじめの段階から高額商品を提供したくさんの患者さんをつかむことに成功してしまう人もいます。
もちろん悪いことではないですが、メリットとデメリットという視点で見ると議論が生じると思います。高いお金を受け取れないという貧乏思考やお金に対してのマイナスイメージを早い段階で払拭出来ている点においてはかなり有利性がありますが、デメリットは「本当にその提供している商品にその金額に見合う価値があるのか」という考えが頭をもたげることです。

ここで2つのタイプに分かれます。金額に見合った価値を提供できていないことに苦心して金額に負けないように追いつこうと努力する人と、「これでうまくいってしまうんだ」とその状況にあぐらをかいてしまう人です。手応えを提供することと、現実的にきちんとクライアントの悩みを解決していることとは全く別物ですが、実際は手ごたえを提供するだけでも高額商品でも充分リピートしてくれます。
そういった意味ではうまくいっているうまくいってないは人によって定義が違うと思うのですが、1番よろしくないのは手応えも治療効果も提供することができておらず高額商品になってしまっているが故に、口が上手くなったり、マーケティングを駆使して新規集客を常に行わなければならない状況に陥ってしまったすることです。

こうなってくると治療院をスタートするときの施術料の適正価格はどれくらいなのか、難しいと感じるかもしれませんが僕の答えは「中庸」だと考えます。安すぎず高すぎず。これが1番通ってもらいやすく、自分を卑下することもありません。本来、重症な人の体を治すという事は1回や2回で終わることが少ないです。スポーツや勉強と同じで、適切な治療を必要な期間続けることによってやっと達成、克服できるものです。数十回通ってもらわないことには治るものも治らないのです。ある程度の期間通ってもらうことこそが、治るかどうかの道を分けると言っても過言ではありません。

今や治療院業界にもコンサルタントなる人たちがたくさんいて、高額商品を売るように勧められる人も多いようです。完全に治療がサービス化してしまっていることが見受けられるのですが、繰り返しになりますが治療技術が伴わないのに高額にしてもWin-Winの関係が全く成立していません。
コンサルタントのような方々に「白川先生は1回の治療で30,000円〜50,000円取るべきです」と何度も言われたことがあります。
自分の治療に対しての自負の念が強くなればなるほど、金額を上げていくべきなのかと考えたこともありましたが、やはりそこに真理はありませんでした。
それをやっても僕個人は成功するでしょうが、数十回通院することを断念する人たちも現れてくるからです。僕は人との出会いを大切にしています、自分と縁があった人を治療するべきだと考えているので金額のことで施術を受けることを諦められてしまうのは少し違うのではないかと思ったのです。
法外な値段で治療をしても、そんな簡単な患者ばかりではありませんし来院しなくなるのはもう治ってしまったからだと短絡的に判断してしまいやすくなります。治すのが目的ではなく金持ち相手に道楽がしたいという目的であるならば止めはしませんが、あなたは本当に治療したいと思っている本当に困った患者さんたちは富裕層には多くは居ません。身近にたくさん居ることを知っているはずです。
スタッフを多く抱えていない治療院であれば、100〜200万月商があれば充分。仮にそれ以上稼ぎたいのであれば、治療費以外のところで副業として収入を得るべきだという発想がなければならないと考えます。

これが5000円や10,000円だったら、お金に余裕がない患者さんでも切り詰めれば何とか通える。1ヵ月に2回位の通院ペースなら何とか通える。と判断してもらえるからです。
逆に2000円とか3000円などの安い金額にしてしまうと、こちらの覚悟の量に見合ってない患者さんも多く来院してしまうという現象が起こります。

ですので、その地域、その時代、の収入に見合った中庸の金額を提示するべきなのです。
ニューヨークだったらもっと高い金額になるでしょうし、カンボジアだったらもう少し安い金額になるであろうということです。

自分のことを必要以上に安売りしてしまったり、コンサルタントに言われるがままに分不相応な高い金額を設定してしまいそれが正解であると履き違えてしまい苦しんでいる人が多いように見受けられます。
自分のことを過大評価も過小評価もしない。これこそが治療家としての重要なスキルになるのですが、簡単なようで意外と難しいです。何度も何度も内観し、いろんな情報を集め冷静に自分を分析し慎重に働くスタイルを決定していかないと本当の幸せは手に入れることができません。

最後に私がこの10年間で到達した答えをお伝えします。安い金額を提示することは自分の提供する商品への自信のなさともう一つ、「患者さんが貧乏なのではないか?」という失礼極まりない深層心理があることが多いです。笑
治療以外のどんな商品でもそうですが、実は人というのは(特に女性)価値があるものに対してお金を支払いたいという本能があります。お金は汚いものでもなく、受け取る事が申し訳ないと感じるべきものでもありません。幸せを循環させる素晴らしい道具です。

あなた自身が価値を磨き、人々に対して価値あるものにお金を支払える環境を提供してあげること。技術が練り上げられ、中庸の金額設定ができることでこれを実現できます。
また、お坊さんがお布施をもらって回ることの真相をご存知ですか?仏陀は弟子たちに「お金に裕福ではない家庭を優先にお金を頂きに回りなさい。」と伝えました。お金がきちんと循環していない家庭にこそ、お金を支払う機会を与えてあげて生き金を支払うことの喜びとお金が循環するチャンスを与えるということです。
我々が自信を持って価値があると自負している商品を提供しているのに、お金をいただく時にそういった感情があればお互いによくありません。
おそらく鍼灸師や治療家として一生働くことになるでしょう。同じ働くなら、施術料に対してここまでしっかり考えておく必要があると断言します。


この記事を読んでもう一度俯瞰して冷静に自分がどうするべきかを考えてもらえたら嬉しいです^_^








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