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元カレという呪霊

ジムでのトレーニングが終わり、気持ちよくシャワーを浴びて、さっぱりとした軽快な気分でドライヤーに手をかけたその時。
Apple watchに表示された元カレからの「おひさしぶりです。元気してますか?」

一瞬にして気分が180度転換してゾワゾワした。おもむろに肩に呪霊がのっかってきたのが鏡越しに見えてたんじゃないだろうか。

なぜ、元カレは連絡してくるのか

わたしが付き合っている人と連絡をとるのは、付き合っているからだ。

例えば同じコミュニティの中にいたり、同じ趣味があったりして、うまいこと友達関係のような感じで繋がっているならともかく、そうでない場合(わたしは圧倒的にこちらが多い)連絡をとるということはまずない。

だって期待を持たせることは面倒を増やすばかりだし、こちらとしても友達としてでなく恋人として用事があったわけだから、その可能性が消滅したあかつきには、連絡をとる理由がない。

それなのに、元カレという存在はなぜか時折連絡を寄越す。

元気?の読み解きが難しすぎる

わたしはこの元カレからの連絡というのが好きじゃない。
その理由は「元気にしてる?」というメッセージには無限の可能性があって、読み解けないからだ。

読み解けないものにはリアクションが取りにくい。じゃあ返信しなければいいじゃん、というのはわからなくもないのだけれど、リアクションしないというリアクションもとりにくいのだ。

例えば何か相手の不義理があって別れた直後とか、直後でないにしても2-3年とかであれば、リアクション取らないというリアクションはとれる。
それは、「元気してる?」のメッセージを「よりをもどすチャンスはないかい?」と読み解けるかだ。この読み解きで正解率は高いと思う。

しかし。
他の人のことは知らないが、わたしの元カレの人たちは、数年どころかもう10年くらい経ってるのでは?みたいなタイミングでも何かしらのアクセスをしてくることがある。
それは読み解けない。

さらに、唐突な連絡をしてくる男なんて下心があるに決まっている、と言う決めつけをするほど自意識過剰にもなりたくないのが素直なところである。

結局謎のまま

さて、わたしは今回返してみることにした。
元カレというのは、寄りを戻す気は一切ない(最善を尽くしてうまくいかなかった結論は覆らない)のだけれど、二度と会わなくても大切な存在ではある。

どの元カレにしても、わたしのことを深く理解しようとしてくれた人であることは事実であるし、誰よりも大切だとわたしが思った期間があることも事実で、その上でしかし一緒に生きられないという苦しい決断を一緒に味わったのだから、その辺の友達たちよりも本来ずさんに扱うべきではないと存在のはずだと思っている。

もうひとつ、現在のわたしというものは少なからず元カレたちとの時間が構成したものも含まれるので、成長させてくれた感謝の気持ちもある。

それなので、安易な下心を感じた時は別として、その上で変に期待を持たせることはしないようにできるのであれば、わざわざ連絡をくれたのなら対話くらいして差し上げたい。それはわたしの人間としての矜持である。

今回このメッセージを送ってきた彼は、期待を持たせそうで長らくしかとし続けているのではあるが、どうやら今回はだいじょうぶな気がするという直感に従った。

そして3ターンくらい社交辞令のような、生存確認のような、味気があるんだかないんだかもわからないやりとりをした。以上。
結果何事もなくてよかったんだけど、ふむ、結局なんだったのか全くわからない。

1番怖いのは…

ところで、この恐怖の元カレからのメッセージは、だいたいの場合、自分が落ち込んでいる時や、今のパートナーとうまくいかずしんどくなっている時。

今回でいうと、今のパートナーが忙しくて数ヶ月に1度くらいしかまともに会えておらず、頭で理解してても不安がつきまとうというようなタイミング。

そう。1番怖いのは、例に漏れずこういうタイミングにバッチリはまってメッセージがくることだ。偶然なのか必然なのか、そう思い込んでるだけなのか。

もしかするとこのメッセージは、現在のその人が発してるメッセージじゃなくて、当時のその人の想いが時限式の呪いになって今のわたしにメッセージを送ってきてるんじゃないかという感覚に陥る。

それでも、心が成熟して強くなった今のわたしなら、自分に対しても、元カレに対しても、今のパートナーに対しても、誠実でいられる。
その自信が確信になっただけでも今回はよかったとしよう。

謎、でなかった(追記)

結局のところ、差し障りなく何事もなく終わったラリーから少し間を置いての「会いたい」だった。
なんだよやっぱりそれなのかよ。失望させないでくれ。

会うわけないので丁寧にきっぱりとお断りした。

なぜ10年も前に途絶えた気持ちをもう一度持てると思うのか甚だ疑問だが、もしかすると当時の彼が生み出した呪いじゃなくて、わたしがかけたつもりのない呪いをかけているのかもしれないね。

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