やすお#2

コピー機のところで、声をかけてきた男性の名は、
やすお。

どうやら、先月、隣の品質管理部に着任した派遣社員さんだったようだ。

この、やすおという男。
仕事は技術屋さんなので職人気質で黙々と取り組んでいる様子ではあるものの。
一方で、人懐っこい性格で、女性従業員らとも仲良くやっていけるキャラのよう。いってみれば、女子会にも違和感なく馴染んで参加できる男子！といったところだ。

ある時、自宅がお互いご近所だということを知り、地元の居酒屋さんを紹介してもらうことになった。

待ち合わせは、駅の構内にあるカフェ。
時間ぴったりに到着。
すると、
「あぁ、こんにちは！今日はありがとうございます！」
といって、読んでいた英語の雑誌をたたむ、やすお。

あー、ボク英語デキます的な？(^｡^)
スルーしとこーとも思ったけど、一応、社交辞令してこーか(^◇^;)

わぁ、英語の雑誌読まれてるんですか？

「あ、これ？いや、前いた会社で、全部取引先と英語だったから。でも、使わないと全然話せなくなっちゃうから、最近また、英会話行って勉強し直してるの」

そーなんだ！感心感心！すごいね！

じゃ、行こうか！

いつも通りすがりの見慣れた居酒屋🏮
中に入ると、こんなに広いんだ！

冷やしトマトと、漬物で乾杯！シブい🤣笑

ゆっくり飲みながら、唐揚げ、サラダ、だし巻き玉子と、美味しい定番メニューを堪能。

女子会かのように、美味しいお料理を囲みながら、たわいもない会話を楽しむ。

やすおは、高校時代、バイク事故に遭い、九死に一生を得たのだそう。
首の皮一枚という言葉がある通り、ほんとに奇跡的に快復し、今があるという。

まだ、その時の生々しい傷跡が残っているという。
タートルネックにスカーフを巻いているので、全く気づかなかったが、
「ほら、こんな感じ」とあっけらかんとした様子で傷跡をみせる、やすお。

少々、びっくりしたけれど、そんな過去を乗り越えてきたのね！と、ふだんからは想像できない一面をみせてもらえたようでした。

前職では、スイスの精密機器メーカーに勤務。
海外とのやりとりで、日本時間に関係なく、夜中まで仕事をして、家で仮眠を取り、また早朝出掛けてゆく、という激務だったのだそう。

ある日、フラフラになりながら、早朝出掛けてゆこうとする息子さんをお母様がとめて、離職を勧めたそうです。それでも、ネクタイをしめて、虚ろな目をして「行かなきゃ」といってきかない息子さんを力づくで止めたのがお母様だったそう。

色んなエピソードを伺いながら、時間もあっという間に過ぎた。