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ポストは赤い?

 日本のポストは赤いと相場が決まっているが、かつては違っていたらしい。日本に初めて郵便ポストが設置されたのは1871(明治4)年のことだが、今とは違って黒色で木製のものだったのだ。

 この「黒ポスト」は、約30年にわたって使用されていたが、1901(明治34)年を境に赤色へ変わっていく。それには、ある理由があったのだ。

 そのころ、郵便ポストの普及と時を同じくして、公衆便所の設置も全国各地に広がっていた。当時、郵便ポストは「郵便箱」、公衆便所は「垂便箱」と呼ばれていたそうだ。

 名前が似ていることもあってか、夜になると酔っ払いが公衆便所と間違えて郵便ポストに用を足すという事態が頻発してしまったのだ。

 せっかくの手紙を汚されてはたまらない。また、もともと黒いポストは夜になると見えにくかったということもあり、英国で採用されていた赤色の郵便ポストが日本にも登場することになったのだ。

 それに合わせて、赤いポストはこれまでのような木製ではなく、火事にも強い鉄製になったのだという。


 けれども、「ポストは赤でなければならない」という決まりはないようだ。だから、最近は観光地などでカラフルな郵便ポストを見かけることもある。

 以前、和歌山県の熊野本宮大社を訪れた際、境内には黒色のポストがあった。これは神の遣いである八咫烏(ヤタガラス)の色を基調としているのだそうだ。

 サッカー日本代表のシンボルにもなっている、あの八咫烏である。このポストの上でも、翼を堂々と広げている。

 もしも夜間にこれをトイレと間違えてしまったりすると、何らかの天罰が下るかもしれない。

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