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コントが始まる

 最近読んで印象に残った本に『佐久間宣行のずるい仕事術』(ダイヤモンド社)がある。
 昭和50年(1975年)生まれの佐久間氏は、テレビ東京のプロデューサーとして「ゴッドタン」「あちこちオードリー」「ピラメキーノ」などの人気番組を生み出し、現在は独立して演出家、作家、ラジオパーソナリティなどとして活躍中の人物だ。
 その佐久間氏本人が、ビジネスマンが抱える問題を6つのカテゴリーに分け、自らの体験を踏まえて対処法を解説したのが本書である。

ダイヤモンド社のホームページより

 ビジネスマン向けに書かれた本ではあるが、その内容の多くは人間関係を円滑にするためのノウハウで占められており、家族、友人、ご近所との付き合い方などにも応用できることが多い。
 特に、私が「すぐにでも実践したい」と思ったのは、「第2章の4」で述べられている【「コント:嫌いな人」でバトルを避ける】である。

 どうしても嫌いな人と仕事をするとき、おすすめの方法がある。
 僕が苦手な人と話さなければならないときに編み出した、相手とのやりとりを不毛なバトルに発展させないためのテクニックだ。
 その人と対面した瞬間、心の中でこう唱える。「コント:嫌いな人」
 そう、芸人がコントをはじめる前に言うタイトルコールだ。
「コント:性格の悪い人」
「コント:自己中クライアント」
「コント:メンツおじさん」

 コールを入れるだけで、自分と相手を客観的に眺められるし、「相変わらず理不尽! 後でどうやってネタにしよう」とおもしろがることもできる。
 そうすると余裕ができて、失礼な態度を取ることも応戦することもしなくなる。

同書71-72ページより(太字も原文のまま)

 たしかに、たとえ面倒なことに直面しても、「コントが始まる」と思ってしまえば、状況を客観的に見つめることができる。また、「後でどうやってネタにしよう」と考えることにより、相手よりも精神的に優位に立つことができるので、メンタルを削られることも減るだろう。
 仕事であれば、
「コント:パワハラ上司」
「コント:突然の残業命令」
「コント:悪質クレーマー」

 等々、「ネタ」はいくらでもある。
 また、仕事以外の人間関係でも、
「コント:妻の怒り」
「コント:待ち合わせに遅刻した友人」

 など、「脳内コント」をする機会は数多い。

 ただし、あくまでも「脳内」でコントをすることが重要である。
 間違っても、本人を前にして、
「コント:話の長い町内会長」
 などと声に出してはいけない。

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