「祭り」のあと
昨日(7月7日)に投開票が行われた東京都知事選は、現職の小池百合子氏の3期連続当選で幕を閉じた。
私が通勤で乗り降りしているJR中央線の武蔵小金井駅周辺は、今回の選挙戦で話題になった「ポスター枠の売買」や「ポスターの枠外掲示」とは無縁であった。
それどころか、朝夕の通勤時にかぎっての話ではあるが、17日間の選挙期間中に駅周辺で都知事選の候補者の姿を見かけたことは一度もなかった。
武蔵小金井駅がある東京都小金井市は、古くから都民のベッドタウンであり、立派な戸建ての住宅が多く並んでいることでも知られている。
それが「リスクを伴う変革」よりも「多少の不満はあっても現状維持」を選ぶ保守的な風土につながり、対立候補たちには票田としての魅力に乏しかったという可能性がある(部外者の的外れな意見に過ぎないのかもしれないが)。
再選された小池都知事だが、課題は山積だろう。とりわけ、神宮外苑をはじめとする巨額再開発事業と都庁職員の天下りの件をはじめ、「政治と金」の問題については十分な説明責任を果たしていただきたいものだ。
また、次点と「健闘」した石丸候補については、広島県安芸高田市長時代の革新的なイメージとSNSを活用した選挙戦略がプラスに作用したものと思われる。
しかし、市長時代にベテラン議員やマスコミと対峙する姿を積極的にSNS等で発信することによって支持を広げてきた手法が、今後も順調にいくかどうかは不明だ。
昨晩、石丸候補が出演した報道番組で垣間見られた「相手と議論を噛み合わせようとしない姿」を見て、違和感を覚えた人は少なくないだろうと思う。
今回の「追い風」と同じような風速の「向かい風」が吹く可能性は、けっして小さくないだろう。すでに、そうした兆候も見られている。
3位になった蓮舫候補に関していうと、個人的には「予想どおり」の結果である。既成の野党が浮動票を集められなかったということ以前に、彼女の早口で感情的な喋り方が苦手だという人は多いはずだ。
小池都知事、石丸候補、蓮舫候補のなかで、
「とりあえず、落ち着いて対話ができそうなのは誰か」
という視点で投票先を決めた人は、いったいどのくらいいたのだろうか? 案外、これが決め手だったという人も、かなりのパーセンテージでいるのではないかと思う。
もしかすると、主義主張や政策以前のところで、すでに選挙の勝敗は決していたのかもしれない。