Appleに関するウワサ話を実際に検証(下)

ウワサ話が実際の仕事で役立つことはほとんどありませんが、話の「つかみ」として出してみることはよくあります。営業トークの一環として「よくあたる星座占い」をするようなものです。

実際に日常的にプログラムを組んだりシステムを考えたりしていると、「Appleはこういう方向に製品を進化させたいんだろうな」という方向は見えてきます。

そうした、開発者ならではの嗅覚と経験をもとに巷に流れているウワサを検証してみましょう。

■ウワサの新製品①「iPhone SE2」

自分が望む製品が出るに違いない、という強い思い込みから一人歩きした「都市伝説」のようなウワサ話に見えます。たしかに小さいiPhone 5と同じサイズの小型のiPhoneへの根強いニーズがあることは否定しません。お客様にも、このサイズの新機種が出ないかと待ち焦がれている方が(たまに)いらっしゃいます。

これまでにも、何回かiPhone SE(の後継機種)については、iPhone新機種が発表されるころに何回かウワサ話が出ていましたが、現状ごらんのとおりです。何も出ていません。

開発者がサポートしなくてはならない画面構成が増えてしまうため、iPhone 5/5s/SEはいつかの時点でまとめてOSアップデートの対象外になるか、App Storeに受け入れる際の「必須要件」から外すこともありえると見ています。

また、iPhone自体の筐体の大きさが気になる場合でも、Apple Watchを併用することで直接手に持つ必要はなくなるはずです(たぶん)。

iPhone 7のサイズに慣れてしまったので、SE2が出ても出なくても関係ありません。個人的には「ない」と思っていますが、いまのAppleは一見、非合理的な判断も行うようなので、油断できないところです。

■ウワサの新製品②「ARM Mac」

これまでにも、Macでは68k→PowerPC、PowerPC→Intelと2度のCPUの移行がありました。「2度あることは3度ある」という言葉に思わず信じそうになっている噂でもあります。

MacのCPUがIntelから他のものに変わっても、よほどハードウェアに近い階層のソフトウェアを開発していないかぎり、「開発・動作確認用のハードウェアを新調させられる」以外の影響はないはずです。

従来はCPU切り替えのたびにMacのパフォーマンスが向上し、満足度も高まったものですが、これだけコンピュータが成熟した今日においては、CPUを切り替えてももはや同様の効果は期待できないでしょう(コア数が64個などとアホみたいに増えた場合は別ですけれども)。

逆に、上位機種(MacPro、iMac Pro)では従来のIntel Xeon採用の製品よりもパワーが下がるのでは? という心配さえあります。

では、なぜCPUの移行などという話が出てきたのでしょうか???

・理由(1)セキュリティ向上

Mac上ではApple PayやiTunes Storeなど、お金のからむサービスを利用している割合も多いため、利用者数が犯罪者のアタック対象としての魅力が増してきた(らしい)という背景があります。このため、セキュリティの向上はメーカーの最優先課題とさえいえるほどです。

セキュリティを向上させるため、あえて多数派ではないCPUを使うほうがメリットが生まれてきたのかもしれません。ただ、筆者はIntel CPU支持派なので、ここは踏ん張ってほしいところです。

・理由(2)大幅なコンピュータアーキテクチャの変更(への対応)

今後10年でMacを機械学習などに有利な構造に変えるとしたら、電源を切っても消えない大容量RAM搭載を積んだコンピュータへと、構造を変更したいはずです(かなりの割合の願望)。

現在、ノート型のIntelプロセッサが認識可能なメモリは32GB。DDR3 DRAMで16GBの製品2枚を認識できる程度で、Macのノートでは(価格やバッテリー寿命を勘案して?)RAM 16GBが上限という状況がここ7年間続いてきました。

小学1年生が中学1年生になってしまうほどの長い期間、Macのノートのメモリー上限は変わらなかったわけで、実にゆゆしき事態です。まるで、これ以上コンピュータは進歩も発展もしないよ、と言われているかのようです。

これまで、Appleは1.8インチの超小型HDD(iPod)や、SSDなどのキーデバイスにいち早く目をつけ、そのデバイスを独占購入することで自社製品の競争力を向上させてきました。

次のキーデバイスはCPUではなく、Intelの不揮発性RAM「Intel Persistent Memory」(以下、IPM)だと見ています。IPMは、つまるところは「大容量RAM」であるため、現時点ではCPUに(高価で電力喰いな)Xeonプロセッサが必要です。

その一方で、ノートPCに高額なXeonプロセッサを搭載する必然性は低いため、このあたりでIntelの方向性とAppleが求める製品にズレが生じているようにも感じられます。このあたりに、(Appleが好き勝手に設計できるAx系に)CPU切り替えという話であれば、納得できるような気も(少しだけ)します。

とはいえ、このARM Macの「妄想」どおりにものごとが進む保証は何もありません。

だいたい、このウワサ自体が、AppleとIntelとの間での取引において、有利な条件を引き出すために流された「にせ情報」である可能性も否定できません。ほかにも、AMDとの間でも取引を開始しようとしている可能性もゼロとは言い切れません(こちらは、海外の人々が強く否定していますけれども)。

CPUを切り替えるといっても、今回の件は話の出るタイミングが唐突すぎです。新型Mac Proの製品登場が予想よりも遅れたため、「製品発表とCPU切り替えの時期がかぶって、新型+新CPU製品になったのでは?」という「憶測」があるのみです。

今回のWWDCでARM Macを発表するなら、移行計画のみ発表してデモ機で「ほら動いていますよ」というデモを行うぐらいにとどめるのではないでしょうか。もちろん、「そんな発表はなかった」という可能性すらあります(7:3で発表されない方に賭けます)。

さて、どうなりますやら。

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ぴよまるソフトウェアCEO。Macを使った仕事のワークフローを自動化して、勝手にMacに処理させるシステムを多数開発。Appleに先駆けること10年以上前に日本語でMacに命令できるSiriっぽいシステムを開発。Blog http://piyocast.com/as/

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