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親父の口癖は手に職をつけろ!だった。

なんで今の仕事なの?#この仕事を選んだわけ
それは全力のたまたまなのである。ただ25歳までには一つに絞る。と決めていたということ。
今は椅子張りという聞きなれない仕事についている。

( #椅子張りとは  骨組みとなる木枠にばねやクッション材を入れ、型を取り生地を縫製し張り込んでいき椅子を仕上げる仕事です。)

 だが、そこまで行き着くまでには全く違う業種を経験した。
バイク便、印刷デザイン、整備士、トラックドライバー、新聞配達もしたし、コンテナチェックマンもした。
全く関係ないことを沢山してきたし、実際全く違う事ばっかりやってるとも言われた。

だがしかしだ。

全てにおいて働く事は全く一緒だった。お金を稼ぐとはどんな仕事でもある程度の思考回路が必要で、いかに効率よくその時々に合った最適な方法で完成させて行くのか。全くすべてはこの事だけだった。

 今までの経験から自分にとって一番難しそうな、そして自分の出来る最大の力を発揮出来る仕事を探していた。この考えをずっと頭に唱えていたからなのかこの仕事にその時出会えた。

24歳の時イタリアの本革ソファをブティックで見かけた。革は破れ、座れるような状態ではなかったそのソファは驚くほど手作業の仕事だと感じた!衝撃だった。それまではなんとなくソファなんて、車が出来上がってくるような感覚で、ロボットが少しネジ回したりするくらいの手のかけようで完成していくとしか考えていないというか、全く中身のことなんて想像もしていなかった。
 だがそのボロボロソファは違った。そのソファを舐め回すように見続けた。バネはヒモで結ばれていたし藁が沢山入っていた。ワタも、木枠も剥き出し。
 ソファを詳しく考えてみると木工に縫製、クッション材に本革やファブリック扱ったり手縫いなんかもある。時にはメッキパイプのフレームなんかも。こんな身近にたくさんの技術が詰まった商品があるとは「灯台下暗し」だった。#その時の震えは今でも覚えている。
 次の日から色々なショップにソファを見に行った。雑誌も買った。で、凄く憧れるショップを見つけた。
 憧れのショップで働きたい!でもね、何も知らなすぎて自信がなくて、なんだか憧れが強すぎて現実とのギャップがあったらどうしよう。ソファが作りたいのに違う事ばっかりさせられたらどうしよう。最悪の場合ここのブランドが嫌いになるかもしれない。そんなに僕は強くないことも自分でわかっているので、じゃあ椅子のプロになってから憧れのショップと繋がりたい。ってそう考えたんです。#チョービビりです。

 そこで友達の兄ちゃんのパソコンでインターネットやらに接続してもらい大阪の椅子製造会社を調べた。(今から20年前、僕がもっていたJ-フォンや、ワープロではどうしようもなかったのでね)
 んで、一つの会社に手紙を書いたんですが。。。出す前に電話しちゃって、社長にとても椅子に興味がある事を伝え、次の日会いに行きました。社長とは4時間喋りました。#迷惑だったろうなごめんなさい
 社長が根負けした感じで次の日から働きはじめました。一年目で工場長になり10年勤め、更に別の椅子工房に5年勤め独立させてもらいました。
 今ではお陰様で憧れていたショップのソファも張らせてもらう機会も出来、全ての仕事は繋がっているのだと心から思います。

 更に一級技能士の資格も取り、これからは椅子の技術を後世に残していく立場にもなってきました。いす張りはヨーロッパが一番歴史がありますが、日本は独自の技術でさらに安定供給出来る仕組みを作り独自の材料や道具で発展させてきました。しかし時代と共にその技術は無くなろうとしています。技術者は昔の基本を忘れてはならないと感じています。今はもう昔の技術を使う場面はほとんどありませんが、仕事を選んだ以上はずっとこの先も歴史と技術を伝え続ける必要があると考えます。

そんな職人に僕は憧れます。

一級椅子張り職人『イス男爵』です。 
↓椅子張りのご相談はWolves Chair ↓
https://www.wolveschair.com まで。 

『イス男爵モノヅクリ研究所』を立ち上げました。 https://www.monozukuri-kenkyujo.com/ you tubeで自分で秘密基地を作れる「ヘヤニナール」も配信中! #イス男爵 #ヘヤニナール

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