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6/1-6/19のオリジナルCS環境デッキに関する小考察

まえがき


全国大会はJO退化が猛威を振るったわけだが、では通常のCS環境はどうだっただろうか。

字が汚いのはご愛敬
本文と若干変わっている場合があります

最後の最後にJO退化が赤単我我我を捲って母数トップを奪取。1ヶ月以上集計し続けてようやくの首位交代となった。

6月中旬は赤単がかなり伸び悩み、逆にJOが大きく入賞数を増やしており、それに伴って環境の勢力図が書き換わっている部分がかなりある。

今回は、JO退化が増えた事による環境デッキのパワーバランスの変化、そして新弾前の環境総括を行っていく。

例によって、本記事は北方氏の入賞デッキまとめを参考に執筆している。オリジナルCSの入賞結果をまとめている、非常に便利な記事なのでお勧めである。

今回は6/1-6/19にかけてのオリジナルCSの入賞結果から合計入賞数10以上のデッキについて、リストを抽出して考察した。前回同様のデッキが入賞しているため、解説内容が被ることもあるがご容赦いただきたい。

1.JO退化(入賞数60)

よく見るタイプのリスト

ご存じ全国優勝のデッキタイプ。

早期に”禁断英雄モモキングダムX”を用いて”モモキングJO”をデッキからサーチし、それを退化させることで”アルカディアス・モモキング””キャンベロ〈レッゾ.Star〉”等でのロック、選ばれない”禁断のモモキングダム”などの打点で攻撃を仕掛けるアグロデッキである。

非常に強力なデッキであるのは言うまでもないが、特徴はその「攻撃の質」と「速度」だ。

まず攻撃の質についてだが、”アルカディアス・モモキング”による呪文ロックとタップイン、”キャンベロ〈レッゾ.Star〉”による次ターンの展開ロックは環境の多くのデッキに刺さる。

光以外の呪文で受けを作るデッキは”アルカディアス・モモキング”に為す術がないし、クリーチャーでアタックするデッキはタップインやキャンベロのロック下では返しにリーサルを作ることができない。

そのため、仮に一度攻撃が止まったとしても負けない状況を作りやすいわけである。これが既存の殴るデッキと比較した際の強力な点の一であろう。

また、”禁断のモモキングダム”は昨今増えているGSによる受けを拒否することができる。”切札勝太&カツキング-熱血の物語-””ドンドン火噴くナウ”などのメジャーな受けも貫通するため、デッキによってはこれを3回投げるだけでお手上げ、といったこともあり得る強力なカードだ。

更に、”禁断英雄 モモキングダムX”を追加で建てることにより、”モモキングJO”のアタックと同時に禁断解放を行うことで相手の盤面を一掃することができる。これがコントロール対面に強力な回答となるため、見た目以上に粘り強い。

次に「速さ」についてだが、上記のような超過打点とロックを兼ね備えた攻撃を3t-4tの間に行えるのがこのデッキの特異性であり、突破力の源泉である。

また、退化するという行程で”バッドドッグ・マニアクス”によって”赤い稲妻 テスタロッサ”などのメタクリーチャーを退かしたり、”進化設計図”を挟むことで大量のリソースを用意したりと、かなり多彩な攻め手を持っている。

踏み倒しという行為を多用するデッキは別でメタを越える手段を要求されてデッキパワーが落ちることがままあるが、このデッキは自分の動きの中でメタを越えることが出来る、というのも大きなストロングポイントと言えるだろう。

また、GSやバッドドッグなどの除去トリガーもある程度積んでいるため、受けがないように見えて意外と6打点ジャスキルが届きにくい。そのためギリギリで攻撃を止めて返しに攻め勝つこともできる。

これらの要素が、このデッキを多彩かつ強力な攻めのプランを持つデッキに昇華させていると言えるだろう。

全国大会優勝のリストがこちら。最大の特徴は”ボルバル・モモキング”が通常入っている枠に”ゴッド・モモキング”が入っていることだろう。

見ての通り、アタックの終わりに2ドローして1枚を捨て、それが「モモキング」とあるカードであればアンタップする。

これによってこのクリーチャー一体でも殴り切ることができ、またこちらの効果を使った後にJOの効果を使えば山札を3枚掘ることができる。ミラーの”キャンベロ〈レッゾ.Star〉”先出しに一応抗う手段にもなるため、一枚積むだけでも大きく活躍する可能性のあるカードと言えるだろう。

今期は全国以降の一週間で大きく入賞数が伸びた。

元々かなり強力なアーキタイプとして知られていたが、事故を起こした時の回転の悪さなどといったマイナスイメージが全国大会での活躍で改善されたこと、最近増えてきている【樹食墓地ソース】に優位が取れる、受けデッキと対面したときに【赤単我我我】よりも貫通力があるといった理由が大きいと思われる。

このアーキタイプの増加によって【墓地退化】の減少が起き、それによって【天門ディスペクター】などの今まで少なかったアーキタイプが増加している。間違いなくこのデッキが現環境の台風の目であり、新弾以降にこのデッキに対抗するデッキが現れるかにも注目である。

2.赤単我我我(入賞数57)

【JO退化】と並ぶアグロの代表デッキ。”我我我ガイアールブランド””罰怒ブランド”などと横に並んだウィニーを利用して3-4tの間に過剰打点を揃えて殴るデッキである。

”カンゴク入道””コダマンマGS”によるリソースの確保、”こたつむり””赤い稲妻 テスタ・ロッサ”などのメタクリーチャーによる妨害と、良質な小型を活かした豊富な攻め手を持つのが特徴である。

とにかく過剰打点を簡単に用意することができるため、1つ2つトリガーを踏んだ程度では止まらない貫通力と展開能力を備えている。【JO退化】が打点の質で攻めるデッキなら、こちらは物量で押し切るデッキと言えるだろう。

現在は入賞数が伸び悩んでいるが、理由としては急増している【4C邪王門】がこのデッキにかなり強いこと、【青t黒スコーラー】【アナカラー墓地退化】などの比較的戦いやすい対面の減少が大きいと推測される。

この2デッキが「赤単には寄せられないこともないがJO退化には寄せきれない」といった性質を持つため、【JO退化】の増加によって母数を減らし、それに有利な【赤単我我我】も母数を減らした、ということだ。

とはいえ、3キルをかなり安定させられるのは十分にストロングポイントであり、今後も十分上がり目はあるだろう。

1コス11枚、2コスメタクリーチャー8枚、”カンゴク”と”コダマンマ”のリソース札が8枚、”ブランド”系統が9枚の概ねテンプレ的な構築。

”コダマンマ”を3枚にしている構築が多かったが、ここ最近は1コスの枠を一枚割いて4投している構築が多いように見受けられる。リソース札兼GSであるためデッキの再現性が上がる、というのが理由として大きいのではないだろうか。

「勝てる対面を確実に取る」が意識としてあると思われる。

最近増えている”一番隊 チュチュリス”入りの構築。自身及び”ブランド”系統と”こたつむり”が軽減されるため、”我我我”や”罰怒”を複数展開させやすくなる。リソース供給の安定感を最大限活かす構築と言えるだろう。

横に広く打点を並べることでGSを多投したり”秩序の意志”などの単体除去で受けを取るデッキに強い。

”赤い稲妻 テスタ・ロッサ”の枠と入れ替えての投入になっているわけだが、現状”テスタ”の通りが良いデッキが比較的少ないため、展開力を活かすためにこちらの構築にシフトしている層がそれなりに多いものと推測される。

入賞リストの中で異彩を放っていたのがこの”デュアルショック・ドラゴン”を搭載している構築。

”コダマンマ”や”カンゴク入道”からストライク・バックすることで2tに登場する2打点ということで、打点補強としてはかなり強力なアプローチと言える。

また、このタイプでは”罰怒ブランド”が”逆悪襲ブランド”に入れ替えられているが、これは『”デュアルショック”を投げるターンが”我我我”に絡めるなら2t目、”罰怒”に絡めるなら3t目と最適なタイミングが異なるため、双方が手札に無いときに投げる裏目が出来ることを避けるため(使用者本人談)』とのこと。

個人的には打点補強として、2打点を増やすことができるこれは現環境に合っていると感じるため、入賞数は1だがここで取り上げてみた。


【赤単我我我】の総括として、環境最速というアイデンティティーが失われているわけではないため、再度このデッキが強いタイミングが訪れると推測される。

が、今は少なくとも一時期のようなぶっちぎりの最強デッキとは言えない程度の立場になっていると言えるだろう。環境トップの一角、といった立ち位置に納まっている。

3.青魔導具(入賞数45)

今回もフルパワー構築を掲載

魔導具呪文を唱えられない効果を無視する”卍新世壊卍”下で魔導具呪文を4回唱えることで”月下卍壊 ガ・リュミーズ卍”を唱え、ドルスザクを展開することで勝利に向かうデッキ。

元々【JO退化】【5Cネバー】【5Cドラサイ】系統に対してある程度安定感があることなどを理由に一定の入賞数を堅持していたが、不利な対面である【墓地退化】系統が母数を減らしたことも噛み合ってかなりその数を増やした。

他にも【天門ディスペクター】などのビッグマナデッキが【墓地退化】の減少、【JO退化】の増加という傾向に併せて増加していたが、【青魔導具】はこれらの楯から返すデッキに対してかなり強く立ち回れることが特徴。

”卍新世壊卍”によって”アルカディアス・モモキング”に耐性があり、”ガル・ラガンザーク”が除去の難しい大型メタクリーチャーということで、【JO退化】にも十分戦えるが、トリガーが強力というわけではないので【赤単我我我】対面を落としやすいという特性が、今の母数変動に噛み合ったものと思われる。

もうしばらくは【JO退化】を中心に環境が回ると推測されるため、それに伴って【青魔導具】が強い環境は続くだろう。

搭載されるカードも、【4C邪王門】"百鬼の邪王門"”バサラ”による盤面壊滅を防ぐために”シャッフ””本日のラッキーナンバー””ラビリピト”などのカードが積まれていたりと環境に合わせ対応力も兼ね備えているため、ここに掲載しているフルパワー構築以外にも様々なアプローチが存在している。

総じて、安定感と対応力が魅力的な面白いデッキである。今後も一定の活躍が見込めるだろう。

4.5Cネバー(入賞数41)5Cドラサイ(入賞数24)

似通っているが挙動は異なるため母数は別々で計算しているが、ここではまとめて紹介していく。

5Cネバーについて

よく見るタイプのサンプルリスト

3のブースト、5の”ナウ・オア・ネバー””ザーディクリカ”からの”ロスト・ソウル”という、最速4tでの全ハンデスと早期着地する”ザーディクリカ”によるリソース供給を軸にコントロールするデッキ。

上記のテンプレリストは、”ヴィオラの黒像””希望のジョー星”を環境に合わせた自由枠とするなど、安定した基盤を持つが故のピン投カードの活用能力も強みだ。

明確なビッグアクションを持つためゲームを組み立てやすく、それ故に一定の支持を確保していると言えるだろう。

終盤も”聖魔連結王 ドルファディロム””魔天降臨”などの詰め札があり、盤石な立ち回りが可能。殆ど全てのゾーンのカードに触ることができるため、使い手のリソース管理能力が試されるデッキでもある。

踏み倒しと受けの基軸である”ナウ・オア・ネバー””アルカディアス・モモキング”で止まるため、【JO退化】には比較的脆いとされていたが、全国大会などでも活躍した”ドラゴンズ・サイン”両投型がCS環境でも結果を残しており、十分に戦えるデッキとしての立ち位置を確保している。

そちらについては【5Cドラサイ】について説明した後で再度取り上げる。

5Cドラサイについて

最近よく見るリスト

”覚醒連結 XXDDZ””切札勝太&カツキング-熱血の物語-”を採用し、それと相性の良いファイナル革命持ちを採用した”ザーディクリカ”軸の5Cコントロール。

ネバー型と同様に4tの”ロスト・ソウル”を構えるのと同時に、”プチョヘンザ”などへの革命チェンジによる盤面制圧も備えており、対応力が光る。

踏み倒しと受けの軸に”ドラゴンズ・サイン”が採用されており、これのブロッカー付与とディスペクターのEXライフが残ることが奏功して【赤単我我我】などにはネバー型よりも強く受ける事ができる。

一方で色配分などはネバー型よりも難しくなっている側面があるため、”ソーシャル・マニフェストⅡ世”でマナゾーンの呪文を利用したりといったことも出来ないのでリソース管理能力は若干落ちている。

受けの内容は若干異なるため一概には言えないが、どちらかと言えばネバー型よりもビートダウン的な動きを得意とするデッキと言えるだろう。

5Cネバードラサイ型

全国大会の少し前から似たような構築は出ていたが、全国での大活躍によってより入賞を見かけるようになったタイプ。

名前の通り、”ドラゴンズ・サイン””ナウ・オア・ネバー”を両方複数枚投入した構築である。

”ドラゴンズ・サイン”軸の耐久力と”ナウ・オア・ネバー”軸の安定感の両立という、かなりギリギリの線を渡るための綿密な調整が見て取れる。

【JO退化】に対するトリガーをより強固にするために、3のブースト枠に”黒豆だんしゃく/白米男しゃく”を採用しているのが特徴。墓地にクリーチャーが落ちるブーストということで、”灰燼と天門の儀式”が有効トリガーになりやすい。

また、蘇生した”黒豆だんしゃく”も【JO退化】の”キャンベロ〈レッゾ.Star〉””ボルバル・モモキング”をマナ送りにできるため、無駄のない防御札となる。

これらの採用によって【JO退化】のひしめく全国環境で見事に決勝進出しており、端的に【JO退化】に寄せた構築としての答えといえるのではないだろうか。

欠点としては、【5Cネバー】のフィニッシュ札を削ぎ落として受けに転用しているため、コントロール対面の詰め性能が盤石とは言い難いことだろうか。

5C系統の魅力である全対面への安定した対応力を多少犠牲にしているところはあるため、通常の環境で使うなら一考が必要かもしれない。

5.黒覇道(入賞数34)

よく見るやつ

従来の【ガイアッシュ覇道】に黒の妨害要素と受け札を搭載したアーキタイプ。”一王二命三眼槍”などの1tを確実に耐える受けのギミックによって本命の「ガイアッシュ→覇道」という動きを通しやすくしている。

対応力が売りのデッキであり、どの対面にもある程度戦える構築となっていると言える。とは言っても【JO退化】【赤単我我我】を確実に取れるような受けではないため、最近は【4C邪王門】にシェアを奪われているように見える。

最初のリストでは”ロスト・ソウル”がメインのハンデス札として搭載される事が多かったが、現在は【青t黒スコーラー】【青魔導具】などに早く打てる”拷問ロスト・マインド”が搭載された型も多い。

また、”絶望と反魂と滅殺の決断”などの小回りが効くカードを入れるなど、使い手の好みや環境に合わせて構成が変更されていることが多いような印象を受ける。

どちらかというとこれは【4C邪王門】に影響受けてそう
連龍陣がおしゃれ

これらのリストのように、テンプレに沿ってはいない構築も多数入賞しており、パワーカードを大量に入れられるために個々で違った構築になるのが最大の特徴である。

【5Cネバー】系統にも強いとは言えないため、今後入賞数が増えるかは不透明。決して弱いわけではないが、全体的に癖がなさ過ぎて決め手に欠けるといった印象である。

逆に言えばどの対面にもある程度戦える出力はあるということで、どんなデッキが存在するか分からない環境であれば無難に持ち込む選択肢になる、とも言える。総じて優等生のような立ち位置のデッキである。

6.4C邪王門(入賞数32)

今月に入ってから大きく入賞数を伸ばしたアーキタイプ。”百鬼の邪王門””一王二命三眼槍”などのカウンター札をハンドに抱えつつ”切札勝太&カツキング-熱血の物語-”と革命チェンジを軸にしたビートダウンや”奇天烈 シャッフ”などでの緩いロックなど、多種多様な攻め手を持つ。

高いカウンター力を持ち、殴ってくるデッキにはかなり強い。【赤単我我我】には邪王門やカツキングで十分戦えるし、”一王二命三眼槍”を"アルカディアス・モモキング”に合わせることで【JO退化】にも勝ち目がある。

【青魔導具】にも”バサラ”の踏み倒しで盤面を崩せる可能性があり、かなりオールラウンダーなビートダウンとして、それまで【黒覇道】が占めていた位置に食い込んだ感がある。

かなりテクニカルで面白いデッキであり、人によって構成も違うため意表を突ける可能性もある。対応力と爆発力十分な新鋭として期待できるだろう。

"フェアリーの火の子祭"は多色が多くて手札が事故を起こしやすいこのデッキにとって非常に有用なカード。”豊潤フォージュン”を積む人もいるが、確実に単色を抱えたいか受け札を集めたいかで選択になると思われる。色配分の安定のために”神秘の宝剣”を採用するリストも見られた。

とにかく多色が多い事に加えてカウンター札が初動に関わりにくい赤黒多色であることが課題であり、他の色への配分をどうしていくかが今後の構築の見所になるのではないだろうか。

7.青t黒スコーラー(入賞数27)

先にテンプレリストを掲載

”魔導管理室 カリヤドネ””堕呪ウキドゥ”をループさせてLOさせるデッキ。ループに入るまでの安定感が売りであり、4tを無傷で迎えられればかなり高い確率で勝利に向かうことができる。

代わりに受けを犠牲にしており、【赤単我我我】【JO退化】には非常に弱い。その代わりにループの安定性によって【5Cネバー】【墓地退化】には強く、環境を読んで使うデッキだと言えるだろう。

このデッキはリストもループ手順も登場当初から殆ど変わっていないが半年近く環境に顔を出し続けているため、数を減らすことはあっても完全に消えるとは考えにくい。

今は”奇天烈 シャッフ”を投入したデッキとアグロが環境に多いため比較的なりを潜めているが、今後もまた使うタイミングが訪れるはずだ。

8.樹食墓地ソース(入賞数26)

”巨大設計図”でリソースを貯え、”樹食の超人”でそれを吐き出すことで”暴走龍 5000GT”"ブラキオ龍樹"などを早期着地させて制圧するデッキタイプ。

前回も記述したが、”天幕船 ドンデンブタイ”によってそれまで若干辛い対面だった【赤単我我我】とも戦えるようになった。これによって不利の付く対面が減り、自分の動きを押しつけられる強力なデッキとして完成したと言えるだろう。

対応力、制圧力ともに優秀なロック札を多く抱えるという構築上、コントロール対面には強気に出られるアーキタイプだったため、明確に厳しい対面は【JO退化】くらいだ。

”巨大設計図”を引けない時の動きは貧弱になってしまうものの、それ以外は十分強力なデッキである。今は上位に【JO退化】がいるため若干向かい風だが、今後もかなり強力なデッキとして活躍できる目がある。

その他採用されているカードは”龍装者 ジスタジオ””ナンバーナイン”など。”ドマンモ龍樹”の効果でマナから召喚し、ロックを確実にする役割を持つカードだが、オーバーキルなところもあるカードのため採用率はまちまちである。

9.天門ディスペクター(入賞数23)

最近よく見るやつ

”ヘブンズ・ゲート””砕慄接続 グレイトフル・ベン”を受けの軸にするディスペクターデッキ。1月の規制で【シータ閃】を見なくなってからは環境で見ることが少なくなっていたが、【墓地退化】の退潮に乗ってその数を大きく増やした。

良くも悪くも重厚であり、マナを伸ばした後の制圧力は非常に高い。”ガイアッシュ・カイザー””ジ・ウォッチ”のパッケージもあるため、詰めも十分である。

欠点としては、ハンドリソースが太いわけではないので全ハンデスには弱く、つまり【5Cネバー】系統はかなり辛い。それでも制圧力と"ヘブンズ・ゲート”を踏ませれば十分受けも取れるため、【墓地退化】の少ない今こそ輝ける絶好のタイミングと言えるだろう。

採用されているカードはデッキによってまちまち。決まったリストで入賞しているということが少なく、人によって構築が違うものを私がまとめて【天門ディスペクター】と呼称している、というのが正しいかもしれない。

いわゆる【5C天門】タイプ。”バウ・M・ロマイオン”で"ヘブンズ・ゲート”の出力を上げていることが特徴。

間違いなく馬力はこちらの方が高いが、欠点としては”M・ロマイオン”が初動に全く絡まない赤白のためデッキの安定感を損なうこと。

有効トリガーはこちらの方が多いため、最初に掲載した【4Cディスペクター】タイプとは一長一短である。

別のデッキとしてカウントしているが、同じ”グレイトフル・ベン”と”ヘブンズ・ゲート”を受けの軸に採用しているデッキとして紹介。【新世界秩序】である。

”切札勝太&カツキング-熱血の物語-”と革命チェンジのギミックなど、【5Cバラモルド】のような受けギミックもあり、フィニッシュも”新世界秩序”からの”無双恐皇 ガラムタ”で反撃を許さないという派手さと堅実さを兼ね備えた構築になっている。

【天門ディスペクター】にありがちな多色事故のリスクをキング・セルが補完してくれるのも魅力的である。

少しずつ入賞数を伸ばしており、今後もカードプールの増加で強化が見込めるため個人的に注目しているアーキタイプだ。

10.アナカラー墓地退化(入賞数23)


ほぼ主流になった魔陣型

"死神術士 デスマーチ"を退化させることで”バルカディア・NEX”をバトルゾーンに出し、そのロックを活かして一気に詰めるデッキ。

”天災 デドダム””Disジルコン”などの搭載で安定感が高く、妨害を乗り越えての退化を行いやすい。

先月まではかなり多くの入賞数を確保していたが、どれだけ寄せても【JO退化】対面が厳しいこと、他にも【4C邪王門】などの殴る山が急増したことで流石に受けきれなくなっての減少と見られる。

元々コントロールデッキを食うことを主眼にしていたわけだが、【JO退化】の急増でメタゲームのパワーバランスが崩れたことがこのデッキの減少にさらに拍車を掛けたと考えられる。

このデッキが弱いというよりも、現在の環境がこのデッキに合っていない、というのが的確だろう。ということは、また環境に後ろよりのデッキが増えればこのデッキの使い時が戻ってくるはずであり、現在は雌伏の時である。

今後の逆襲に期待である。

11.ドロマー墓地退化(入賞数19)

こちらも退化による早期の”バルカディア・NEX”の着地を目指すコンボデッキ。

【アナカラー墓地退化】と比較した時の差別化点は”HEAVEN・キッド”の採用によって呪文ロックへの耐性が高いこと。

代償としてマナが伸びないため、”お清めシャラップ”などの墓地メタによって露骨に失速することが欠点である。

また、多くの型で“ザ・クロック”が採用されており、「踏ませてターンが返ってきたら勝つ」という意味でのワンチャンスを作りやすい耐久力も魅力。

また、最近は“奇天烈 シャッフ”の増加に対抗するためか“アストラルの海幻”を積む構築もある。

このためアグロデッキの多い現環境には比較的強い…はずだが、実際には入賞数は伸び悩む結果となった。これは推測だが、【ドロマー墓地退化】というデッキは【アナカラー墓地退化】よりも安定感に欠ける側面があるため、地の使用者数が伸び悩んでいるのが実情ではないかと思われる。

というのも、このデッキの動きの要である”HEAVEN・キッド”は白単色だが、そもそも【墓地退化】というデッキに白が積極的に絡むことは少ないため、どうしても“エマージェンシー・タイフーン”などを削ることになる。

受けと退化の両立を図るためには仕方の無いことだが、これが【ドロマー墓地退化】の抱える問題かと思われる。

とはいえ、強力なデッキなのは確かなので【アナカラー墓地退化】と同様に遅いデッキが増えれば再び浮上の機会が生まれるだろう。

12.MDW(入賞数17)

”マッド・デッド・ウッド”によるソリティアを勝ち筋に据える徹底した受けコントロール。

デッキの殆どが受けに繋がるカードとリソース札に割かれ、とにかく耐えに耐えて相手の息切れを待つゲームプランが特徴である。

最近はフィニッシャーに”ジ・ウォッチ””S級宇宙 アダムスキー”を据えたり、”ヘブンズ・ゲート””グレイトフル・ベン”を搭載してより【赤単我我我】【JO退化】に寄せる構築も見られるが、多くはこのタイプ。

中には”百鬼の邪王門””バサラ”を投入した【4C邪王門】との折衷型も結果を残している。"邪王門"で肥やした墓地がそのまま“マッド・デッド・ウッド”のタネになるため、中々合理的ではある。

とにかく後ろ寄せなデッキのために【青t黒スコーラー】“単騎連射マグナム”には弱いが、それ以外にはある程度戦える。どちらかといえば長期戦になりがちなため制限時間との闘いになる側面もあるとか。

環境に殴るデッキが多ければ多いほど輝くアーキタイプのため、まさにこれからが本領発揮かもしれない。今後の活躍に注目である。

13.マナ退化(入賞数13)

マナ進化クリーチャーを”HEAVEN・キッド”で退化させることで勝利を目指すデッキタイプ。

シータとラッカの二種類があるが、ここではまとめて解説する。

シータマナ退化について

”ハックル・キリンソーヤ”から”ギャラクシー・デスティニー”に退化させ、山札から”ゾルゲ””モアイランド”を出すことで相手の楯を全てマナに送ってワンショットする。

この型の売りはフィニッシュの明確さであり、一度踏み倒しが決まればほぼ確実に勝利することができる。受けの強力なデッキも“一王二命三眼槍”以外の殆どを封殺することができるため、かなり強力なコンボと言える。

また、デッキに単色カードが多く、特に退化先が単色であることが大きい。マナ置きが多色になるため退化まで行けない、という事故が起きにくいのは明確な強みであると言える。

弱点は、見ての通り受けの貧弱さ。1ターン耐えても勝ちのプランが”赤い稲妻 テスタ・ロッサ””キャンベロ〈レッゾ.Star〉”などで簡単に崩壊するため、かなり脆い。

それでも退化の安定感はあるため一定の入賞数は確保した。

ラッカマナ退化について

こちらは【墓地退化】と同様の“バルカディア・NEX”を退化先に採用している。

デッキに16枚積まれたルーターによる山掘削の圧倒的な安定感が特徴であり、回り方によっては4tに20枚近く山札を見ることができる。

このため引きの精度を上げやすく、退化の成功率はそれなりに高い。”ザ・クロック”を採用しているため一応の受けもある。

とはいえ現環境のビートを受けるには不安な内容であり、それでも安定感で入賞数を確保したと言えるだろう。

マナ退化の総括

「退化できれば弱くはない」というのが総評である。確かに安定感はあるし、決まった時の爆発力も十分だ。だが、墓地退化と違って退化先以外全てを手札に抱える必要があり、必然妨害が刺さりやすくなる。

ハンデスが辛いのは勿論、退化パーツの同時出しに必要な”瞬閃と疾駆と双撃の決断”を封じる”奇天烈 シャッフ”が今増えているのも向かい風。

二期連続の入賞10到達は中々凄いが、次回も続くかは正直不透明と言わざるをえないだろう。

あとがき

なんとか新弾前の環境を総括しようと6/19までの入賞結果を基に考察を行ったが、今回は大分環境に変化が生まれたことを理解して頂けただろうか。

【JO退化】の増加は勿論だが、それに伴っての【墓地退化】系統の減少がメタゲームに変化を生み出しているのは間違いない。

【4C邪王門】が殴るデッキに強い殴るデッキとしての立場を確立することができれば、これまでの「赤単 VS 5C VS 墓地退化」という基軸に変化をもたらすことも十分期待できるのではないだろうか。

何はともあれ、まもなく新弾の発売である。ジョーカーズの登場から始まった切札ジョーの物語の結末。それが現実の環境にどんな影響を与えるか、今から楽しみで仕方が無い。

これで今期の考察は以上である。長々とお付き合いありがとうございました。

次回は主の期末テストの日程にもよるが、7月中旬頃の投稿を予定している。それまで素甘でも食べてごゆるりとお待ちください。

ではでは。