見出し画像

ニット、カットにはストライプはほぼない②

続きです。が、応用編です。皆さんもしんどかったと思うので今回はウンチクにしてみます。

ちなみに世の中にはこんなものもあります。

うちでも昔はたまに扱ってましたが、超老舗のレアニットメーカー、レマメイヤーのマルチストライプカーディガンです。画像見ていただけると驚きますが細番手のアルパカ100%の超鮮やかな多色使いのストライプ柄のニットです。

このカーディガンはかなり独特なので昔の服屋は押さえておかなきゃいけないニットブランドの一つでした。
(アランとかガンジーとかカウチンとかフェアアイルとか同様、レマメイヤーのパール編みカーディガンは知ってなきゃいけないという扱い)

でも本題はストライプについてです。
前回でニット、カットにはストライプはほぼないって書いたのですが、また、イレギュラー?でしょうか?

このブランドのニット自体が結構レアなものではありますが、ストライプ柄がつくれちゃうわけではありません。このニットのストライプ柄の編み地はパール編み(ガーター)です。ニット3原組織の一つです。

天竺の裏目に似てる横畝に見える特徴のある編み地です。天竺とちがって表裏同じ組織です。シーズンに必ず1〜2品番パール編みの商品があるのでみたことあると思います。上下の伸びの大きい組織なのであんまり使いません。(重い糸だと自重でも伸びちゃう)

画像1
(パール編みニット表地)


画像2
(パール編みニット裏側。組織自体に表裏ありません)

レマメイヤーはザクッといってしまうとパール編みでマルチボーダーを編んで、その編み地を横むけに使うことでストライプ柄にしてます。同じような事をやってるものがあったのでどうぞ

https://store.united-arrows.co.jp/sp/shop/ua/goodssale.html?did=83992375

何とうちでやってました。トロイというゴルフウェアブランドのカーディガンなんですが、ゴルフウェアでかなり昔にパール編みカーディガンが流行りました。その時代の復刻物という扱いで定期的にこういうモノがでてきます。流行ると色んなゴルフウェアブランドのものが古着屋さんに並ぶので機会があったら見てみてください。でもトロイ(パイプのマークのワンポイント)見るのは相当久しぶりで、ちょっとビックリです。Hと六本木くらいしか扱ってないみたいです。

このカーディガンは無地ですがレマメイヤー同様パール編みを横使いしています。編み地の拡大画像をさらに拡大してみてみてください。
このゴルフウェアカーディガンはなぜかだいたいパール編みの横使いです。(おおもとの理由はパールがたて伸びするせいだと思います)
うちでもたまにオリジナルでつくったりします。

画像3

パール編みのこの編み地を

画像4

こっち向けに使います。

○                 ○                   ○                  ○

補足;パール編みの編み地の“横向き使い“のルーツを結構検索してみたのですがでてこないです。知ってる方いたら教えて欲しいです。古着屋さんとかだとご存じなんでしょうか。
基本的な考え方はチャンピオンのリバースウィーブと同じだと思うのですが。
縦向きの伸縮への対応という意味です。
・リバースウィーブは天竺の洗濯後の縮み対策、
・カーディガンはパール編みの伸びへの対応です。


リバースウィーブについてはこれをどうぞ。

最近こういうことも本当に言わなくなりました。トレンドサイクルの速さと画像、動画などビジュアルの時代だからだと思います。こういう事はこういう事でウンチクとしては面白いけど昔ほどの価値はないということでしょうか。服屋さんとしては知ってる方がいいので是非みてください。チャンピオンスウェット持ってる人は自分のものも見てください。

○                ○                 ○                ○

レマメイヤーに戻ります。パール編み以外にも特徴は色々あって、個人的には相当レアなものだと思ってます。

・「古いリンクスアンドリンクス機によるパール編み、梨地編みなど使用」
この機械も絶滅の危機らしいです。受け売りです。現行、ホントのところどうなってるかは知りません。
インターシャでの柄だしもやります。

・「昔っからアルパカハイゲージ」
アルパカって昔は南アンデスの現地ではキロいくらみたいな取引きだったみたいで、質のいいもの悪いものいっしょくたで買い取られてたらしいです。(現地にお金がおちないパターンです)そんな時代からクオリティ管理してたと思うとかなりレアです。

・「さらにこの鮮やかな多色使い」
原毛のオリジナルの色はだいたい白からブラウンベースのバリエーションです。アルパカの染色性がどのくらいいいのか知らないですが、多色使いストックを安定的に持ってるのも凄い。(ちなみにキャメルなんかは染色性の悪さと流通量の少なさで鮮やかな色とか滅多にみません)

というように唯一と言ってもいい異色の存在です。うちではごく稀にしか扱いませんが是非おぼえておいてください。

注:レマメイヤーの編み地、パール編み横使いに関しても解説してるサイトなどありませんでした。現物をみた記憶と色んな画像からほぼ間違いないと思ってますが万一ちがったらすいません。タテ伸びへの対応か、ストライプ柄にしたかったか、だと思うのですが。。。

<まとめ>
・ニット、カットのストライプはやっぱりかなりレア。つくり方がむいてないです(やれなくはない)
・基礎知識を持つことは色んな製品の理解に役立ちます

この流れで次回もウンチクにしてみます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?