商品知識を身に付けるのが難しい理由

こんにちは
お久しぶりです。
ランダムに商品知識をちょっとずつお届けするつもりなのですが、今回のは一旦、前置きです。

以前に自由なテーマでみなさんにお話させていただくという機会をいただきました。
結局、ウンチク自慢みたいな内容になりましたがもともと『商品知識を身につけるのがなんで難しいか。〜で結局、自分でやるしかないよ』という内容にする予定でした。(やっぱりウンチクの方が皆さん反応がよかったのでほとんどウンチク話になりましたが)

なんで難しいかというと

◎ほかにやるべき事が山ほどある

そもそも商品知識自体にそれほど時間をさけません。(商品戦略、VMD、顧客、店舗運営など他にやるべきことはいくらでもある)

◎商品知識も結果に直結することが優先される

商品知識といっても幅ひろすぎて、しかも時間もさけません。
新しい商品の新しい特性のみ商品部門から皆さんに伝えて、接客の中でそれを皆さんがお客様に伝えるみたいなサイクルで精一杯。

例えば
“ 洗えるクルーネックのニット“
が入荷してきたとして
「このニット洗えるんですよ」
が一番お客様にも響くし、伝えるべきセールスポイントで、それでお買い上げにつながるケースもきっと多い。
だから”洗える“というところだけ説明されて
みんなそこだけおぼえる。

お店ベースで取り組むとどうしてもこうなっちゃいがちで、その都度その都度、バラバラな知識が積み上がるだけ。
いつまでたってもしっかりとした商品知識が身に付かない。
だいたい商品知識って一体なに?
みたいな事になってしまう。

で、これをなんとかするには

“自分の興味のある分野でいいので
しっかり調べたり勉強してみて、何か一つ軸ができると自然に色んなことがついてきて一気に色々わかるようになるよ“

という感じでまとめるつもりでした。
(これもあんまり話せませんでしたが)

が、もう少し余裕があったら、

◎商品知識も結果に直結することが優先される

についてもう少し詳しく説明するつもりでした。

“当たり前にやってあることには付加価値はない”

ということです。

上記の“洗えるニット”にはもともと

・スーパーファインメリノ100%
・2/60(60番双糸)一本どり
・18ゲージ 天竺編み
・成型編み
・リブスタート(1x1リブ)
・リンキング縫製

みたいな生産スペックがあったりします。
(いい資料がないのでぼくが勝手につくったスペックですが)

実際の製品になった時にこのスペックがどういうことを表すかというと

『すごい細くていい羊毛糸100%で
技術と経験が必要な機械をつかって
すごく目の細かい編み地を綺麗に編み立てして
それぞれのパーツも直接編み出しして
リブと身頃の切替部分もフラットになるよう続き編みして
縫製部分もできるだけ綺麗にフラットになるように専用の機械と高い技術で縫製している
クルーネックニット』

です。
もっとざっくりとした言い方に言い換えると

『上質なメリノウールを使った薄くて軽くて品のいいベーシッククルーネックニット』

です。
上記スペックは要はこれを実現させるためのスペックです。

そして
それにさらにプラスで” 洗える “という特徴なんですが
“ 洗える ”ということだけが取り上げられて、
ホントは色々やってんだけどスルーされてるというのが現実です。

なんでスルーされるかというと「洗える」以外のことは

“当たり前”    だからです。

・スーパーファインメリノ100%
・2/60(60番双糸)一本どり
・18ゲージ 天竺編み
・成型編み
・リブスタート(1×1リブ)
・リンキング縫製

このスペックは勝手に想像でつくったスペックとはいえ、現実におそらく生産可能な内容です。(できそうか調べました)
近いものが実際色んなところで売っていると思います。
ただ、もしこれを実際につくってるところを
皆さんが見る機会があったらほぼ間違いなく
“これは大変だな”
と思うような結構メンドーな内容です。
15年前なら技術的にまだできなかったかもしれません。
が、今となってはこのスペックのニットの
“洗えない”ものなら日本だと色んな所で普通に売ってます。
つまり“当たり前”になってしまってます。

“洗える”ということ以外、付加価値にならなくなってしまってる。というのが現状です。
商品知識としても特に取り上げられる事はありません。

スマートフォンで考えるとわかりやすいですが
新機種がでて気にするところは
「前のやつとどこが違うの?」
だと思います。

・話せて
・ネットとつながって
・画像、動画がとれて
・いろんなSNSが利用できて
・いろんなアプリがあって

よくよく考えると凄い機能だったりするけど
そんな事はもう
“当たり前で付加価値はない“
というのと一緒です。
しょうがないです。

(で結局、最近のスマートフォンの場合、
ちがいは
「カメラの性能がすごいあがった」
みたいな事だったりして、だったらそんなに
必要ないわってなったりしてますが)

この”当たり前“になってしまってる部分を学ぶ機会がないのも商品知識を身につけるのに
ネックになってるのかなと思ってます。
で、"これ残念ながら自分でなんとかするしかないよ"というのが以前のフリートークの主旨でしたが、今回この特殊な状況でこうやって書いてお伝えする機会ができたので

”当たり前“になってしまってる部分を出来るだけ埋めていければなと思ってます 。

すごい長い前置きになりましたがよろしくお願いいたします。


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