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一宮市ってどんなまち⑧

「尾州について」

いちのみや市100周年専門委員の福岡です。
2月は逃げるっていいますが、あっという間に三週間経ちますね・・。
このnoteの締め切り間際になって慌ててパソコンに向かっております・・。


ところで、これを読んでいる皆さんはラジオって聴きますか?
私は年々テレビを観なくなり、家にいるときはほとんどラジオを聴きながら過ごしています。
今は聴きたい番組があれば、radiko(アプリ)のタイムフリー機能を使えば、終わった番組を聴いたりもできるんですよ!(朝散歩しながら、オールナイトニッポンが聴けるんですよ!)すごい時代ですね!

一宮にはFMいちのみや、i-waveがありますね。
一宮駅のiビルにもサテライトスタジオがあって、たまにお話されているのを通りすがりに見ます。
知っている方がたまに話していたりして、おもしろいですよ。

i-waveの番組の中に今回のテーマでもある「尾州」の楽しみ方を伝えるラジオとして「びしゅうの放送室」という番組があります。

この番組を聴いていたら(毎回ゲストトークがあるのです。)
第一回目の放送で、葛利毛織工業株式会社で機織り職人をされている大井理衣さんが尾州で働くことになった経緯を写真展を見てだったと話されていて、写真が仕事を選ぶキッカケになったというエピソードがすごく印象に残りました。

「尾州」という今回のテーマ。前回の犬飼さんの⑦で結構記事になっちゃっててですね(怒) 私、何を書けばいいの?の状態なので、今回はちょっと切り口を変えて、この大井さんの転機を後押しした写真を撮られた写真家の末松グニエ文(あや)さんのファインダー越しに見た尾州のお話をお聞きすることにしました。
(一個前の犬飼さんの記事の「せんいのまち」の項も合わせて読んでくださいね。ざっくりと「尾州ってなに?」が説明してあります。)


末松グニエ文(あや)  一宮市生まれ。生家の近くの機屋から聞こえてくるションヘル織機の音をきいて育つ。2009年にフリーランスのカメラマンになったのをきっかけに被写体としてのションヘル織機と出会い、自身の作品の題材とすることを決意し、様々な工場へ取材へ行き作品を発表。
糸がつむぐお話1,2 他写真集を発表。個展やFecebookページ(びしゅうくん。)
http://www.facebook.com/ayasuematsuguenier?ref=hl
にて、尾州産地の繊維産業に関わるイベントや写真、作品を配信中。インスタグラム:ayaguenier https://www.instagram.com/ayaguenier/WEBサイト:https://www.aya-suematsu-guenier.com





今回インタビューをする前に末松さんの写真集である「糸がつむぐお話」を手に取りました。

(図書館にもあると思います。私の働く三八屋にも置いてあります。)

私はこの地に生まれ育った者ではないので、初めて見る機械、色とりどりの糸、そこに写る職人の眼差し、働く手を見てただ真摯に美しい、と感じました。
このnoteの以前の記事 いちのみや市ってどんなまち②で由来を取材した時に、織物産業がこの地でどれだけ栄えたか、そして日本の他の産業と同じくどのように衰退していっているかを知識としては知っているので、それを踏まえてお話を聞きました。

末松さんの考える尾州産地の特徴は
①海外ブランドから直に注文が入るほど、質の高い製品を長年生産し続けている。
②長年務める職人さんがたくさんいる。
③1000年の歴史のある繊維の産地である。(麻、絹、綿、毛織)
④最新鋭の機械と歴史ある機械が共存している。
⑤毛織物を作る工程(紡績から整理加工)がすべて揃っている世界有数の高級毛織物産地。
⑥紳士用フォーマル生地や様々な婦人物、カーテン生地などどんなものでも作ることが出来る。
⑦小ロットから大量生産まで幅広く生産できる。
⑧日本中のファッション用ウール素材の織物、ニットの7−8割は尾州で作られている。

そして、世界の紡績、織物産業が交通網などの発達により分業化していく中で、一宮ではすべての工程が集積する工場群を持ち、高度な技術力を誇り、世界のブランド品の最高級な布地も生産出来る拠点となっているそうです。

ものづくりの現場で必ず問題になる、誰がその技術を引き継ぎ、未来へ繋げていくのか?については、自身の取材の中で、

経済的な価値を一番に考えず、どのように自分を生きるのか?ということに価値を持つ若い人(例えば、すべての工程ができる、この産地だから関わりたいというもの)が目指すものづくりと、それを実現し、それを叶える現場で在りたいと願う経営者がいる。
そこを繋ぎたい。その想いを伝えたい。
この地にはものづくりが息づいていることを伝えたいという強い思いで活動されているとのことでした。
最近は、世代交代をしてた会社の若い経営者の方々がこの不況やコロナ禍の中、どのような思いで経営されているのかに興味があるそうです。

たくさんの工場や機屋さんに取材に行きその中で特に心を動かされたのは、80年以上も前に作られた織機が今も現役であり、人と機械(織機)のパワーバランスが拮抗していて、人が機械を使っているのでも、機械に人が支配されているのでもなく、日常の中でうまくバランスが取れている所で、(人と機械のコミュニケーションが取れているような)
例えば、機械に油を指すことを「飯を食わす」と表現したり、機械を引退させるときには実際に「線香をあげて弔う」など、人の生活の中に機(はた)がある。
そうやって続いてきた営み、ものづくりに向き合っている人は美しいと思う、ということを話していただいて、私は実際にその場を体験していないけれど、それは心を動かされる光景だろうな、と思いました。

色々な人が産地「尾州」の価値や魅力を再構築したり、見直そうとする動きが盛んになってきたように思います。

100周年の委員の中でも、「ロリータ×尾州」という切り口でクラウドファンディングを成功させた方がいたり、最初に紹介した「びしゅうの放送室」をやっている「尾州のカレント」という尾州の繊維産業に属する若手社員が中心となり結成された産地活性サークルなど、


取り組む人の思いやそのそれぞれが持つストーリー(もちろん確かな品質が前提にある)が、ただ製品を買うだけでなく、製品を手にとった人にもその思いが付加価値として感じられ、一般的に量産された物ではない「特別な」物としてこれから選ばれて行くんじゃないかなと思いました。

1000年前から脈々と続くこの一宮での「織」というものづくりがたくさんの時代や世代、人を繋ぎ、繋がり、、。勿論、日常の現実の厳しさもある中で末松さんの写真にも確かに写っている明るい色や光が、これからの希望を持つ若い人やそれを支えようとする大人、機械と人、様々な模様を作りながら次の1000年へ繋がるように。

一宮市も100周年のその先へ。
ぜひ関心を持って周りを見渡し、この一宮市の魅力を発見してください。


末松さんの写真や活動はこの産地とそれに未来に関わろうとする人を引き合わせ、産地の思いを翻訳し、人々の後押しをする事だと思います。
また色々なお話を聞かせてください。
ありがとうございました。

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