ラスベガスの旅 3日目

ブランケットの中で、彼に触れながらまどろめる朝は格別。太ももの後ろで感じる暖かい彼がまるっと私を抱き寄せて、柔らかく私を撫ではじめる。眠かったはずなのに少しずつ体のパーツが起き始める。まだまだ時間があることを確認してから、彼に向き直り、脚を絡める。

今日からは1日カンファレンスへの参加予定。シャワーを浴びて、ワンピースとピアスで仕事の私をつくる。ベッドの中の彼にハグ&長いキスをした。

ラスベガスには大きなイベント会場とホテルとがあって、よく大きめのカンフェレンスが開かれる。会場に行けばそこそこ知り合いもいるので、合間にスナックやコーヒーやらを片手にセッションを回るうちに1日が終わる。

今夜はラスベガスで一番好きなWynnでのディナー。部屋に戻りタイトなワンピースに着替えてから、ウーバーに乗り込み、メリーゴーラウンドの前で合流した。木からボンボンが下がっていたりする派手可愛いデザインが好きすぎて、何度来てもうっとりする。明日、彼は一足先にロサンゼルスに帰る。だから、今夜は最高の夜にしたい。オリエンタルでカラフルな内装と他のお客さんたちを眺めながらゆっくり席に向かい、席の奥に広がるプールを眺める。黄色めのライトで照らされた息を呑むような風景の中、ショーの主人公になったような誇らしい気分になった。

君は信じられないくらい綺麗だ、と真っ直ぐ目を見て彼が言う。漫画みたいに目の中に星が煌めいた。こんな目で嬉しそうに見つめられたら誰だってそわそわすると私は思う。

微笑みながらワイングラスに目線を移し、あなたもすごくセクシーよ、囁きながら彼を見た。彼は嬉しそうに微笑んだ。

コースは一品一品とても上品で、砂漠の中のシーフードを思う存分味わった。美味しいお料理を一緒に楽しむのって、セックス に似ている。舌で唇や歯や鼻や、さまざまな感覚を研ぎ澄まして美味しいを捕まえる。向かいの彼は、私の味わう様子を嬉しそうに見ながら、彼の舌で、唇で、料理を味わう。美味しい、幸せ、の気持ちが、二人の間でやりとりされて、柔らかく膨らんでいく。

レストランを出てウーバーでホテルに戻る。降りてからは別行動。エレベーターに乗る彼を横目で見ながら素知らぬふりをしてロビーのトイレに向かう。同僚たちがホテルのバーで談笑しているのが見えたけれど、今日はつかまりたくない。少し顔を壁に向けてやり過ごした。

部屋のドアを開けると、彼が家主の帰った犬みたいに嬉しそうに近づいてきて、エリーと名前を呼びながら、ぎゅーっと私を抱きしめた。

彼の熱い胸に鼻先をつけて、ゆっくり息を吸った。私はこの匂いを待っていた。

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