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【妄想ライオンズ69 】明けない夜はない

立ち上がりは変化球でストライクが取れなかった。アンパイアのストライクゾーンも微妙だった。そこでカウントを取りに行ったストレートを連打された。

先発投手として10連敗中。しかし、援護率が極めて低いことなどもあり、決してその内容は、負け続いているというものではなかった。 彼はいう。「自分が操作できるものではないので」と。しかし、「絶対に先に点を与えてはならない」と強く心に決めたはずだ。

その思いが、1点も与えたくないという思いが、力みにつながる。

3番の新外国人をストレートで歩かせてしまう。 初回。無死満塁。4番。

絶体絶命のピンチに、彼は、歩み寄ってきた捕手に向かって微笑んだように見えた。 「大丈夫です。」 グラブと顔を隠しながら、強く彼はいう。

事実、4番をゲッツー崩れで抑えるも、1点を失う以外は、5番、6番はストレートでねじ伏せる。 状況的に追い込まれたことで、逆に吹っ切れて腕が振れた。

その後、6回を投げ切るまで、彼はたったの1本しかヒットを許さなかった。 6回を投げて100球3安打1失点。QSで投げきり、先発の役割を堂々と果たす。

それでも、今日の彼には、たったの1点の援護もなかった。9回の表の大チャンスも、楽天のストッパーにねじ伏せられる。 たったの1点。しかも、ゲッツー崩れの1点。

それだけで、11連敗目の黒星がつく。

球団初の11連敗。
去年に続いてのワースト記録。
etc...

そんな汚名は、彼のピッチングには似つかわしくない。 そのことは、チームが、ファンが、絶対的に知っている。彼のピッチングが、一つ間違えば、10連勝であったっておかしくないことを、みんなの目が見ている。

もしかしたら、次は12連敗かもしれない。打線の状態は決して良好ではない。1点しか与えなくたって負けるかもしれない。 でも。 そんなことは、彼には関係ない。

彼のベストピッチはまだ先にある。
彼の目は、その先を見る。もっと支配的な投球を、投球でチームに流れを呼び込める投球を。 今のピッチングがベストじゃない。もっともっともっと先がある。そこを目指している。 勝ちがつくか、負けがつくかは、まだ、運だ。 だけど、必ず、そこを越えてみせる。そういう境地を目指しているんだ。

明けない夜はない。前を向き、更なる高みを目指す限り。彼には、その資質がある。このトンネルを抜け出した時、彼は、燦然と輝く。それも、圧倒的な光の強さだ。

その時は、もうすぐだ。

#seibulions #西武ライオンズ #走魂 #隅田知一郎

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