色のはなし

小学生の頃によくされた質問の1つに「好きな色は?」があった。なんて答えていただろうか。そんなことを聞いてどうするんだ、と思っていたことは覚えている。

今はあまりそんな話の広がりのなさそうな話題を振られることは少なくなったが、それに反して答えは用意するようになった。

カーキ色が好きだ。

今カーキ色を調べてみたら、思っていたのと少し違う色が出てくる。黄土色に近いが、自分が好きなのはもっと緑、抹茶色というか、くすんだ緑というか、そこらへんが好きだ。なんで好きなんだろう?かなり感覚的な話なので言語化ができない。

でも人生ゲームのときは黄色の車を選ぶようにしている。なんかお金の色っぽいから。大富豪になれそうだから。

どうしよう、書くことが思いつかない。いや、書こうと思えば書ける。赤は食欲が増す色って言うけど、それって唐辛子が赤いことと無関係ではない気がする、とか、空と海が青く見える理由は毎回調べてよくわかんなくて毎回忘れる、とか、書ける。書けるが、書けるだけだ。もっと、なんかこう、一つのテーマに絞って書きたい気分なのだ。


中学に入って初めての美術の授業を覚えている。肌色を作ろう、という授業。買わされたアクリル絵の具には肌色の絵の具が入っていた。先生は、「それを手の甲に塗っても自分の肌の色と違うはずだ。手の甲に塗ったと気づかないくらいの、”自分の肌の色”を作れ」と言った。先生はそれより先は何も言わなかった。いろいろ言うことはできただろうに、言わなかった。当時は変な授業で変な先生だなァとしか思わなかったが、今こうやって思い返して、いろいろ考えるきっかけを与えるのが、教師としての仕事の1つなんだろうな。

その先生のことはかなり好きだった。もともと個展とかしてたらしい先生だから、やけに授業が専門的だったので、かなり覚えている。パースの取り方やら、等身の取り方やら、いろいろ教えてもらった。3年のときには担任でもあったので、かなり世話になった。

この前の夏、そんな3年のクラスの同窓会があって、先生も来てくれた。美術のスケッチブック、まだとっておいてますよと言うと「そんなん残しとるやつはお前くらいや」と、嬉しそうな顔をして言っていた。

もともと教員志望だった自分は、その先生に憧れて教員を目指していた。が、今は教員の夢は諦めてしまったことを少しだけ気にしている。卒業アルバムに、先生に「一緒に働けるのを楽しみにしてる」とまで書かせておいて、人生上手くいかないな、と何度も思ったことがある。

酔っぱらって、そのことも先生に話した。「今は漫画家目指してるけど、でもその夢もいばらの道ですしね~やになっちゃいますよ」と言ったら、「俺なんか教師目指し始めたの30超えてからやし余裕や、でもなんかあったら連絡してきていいよ あとお前んとこの顧問とよく麻雀打つけどお前も来るか?」と言われた。この先生の、こういう、本気なのか冗談なのかよくわかんないところが、好きだ。

色の話のはずが、中3の担任の話になってしまった。2か月経ったが麻雀の誘いは一向に来ない。

最後に先生が当時好きと言ってた曲でも貼り付けて終わろうかな。終わり。


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