ミネラルの不足,カルシウム欠乏症



こんにちは、
アミナです。



犬猫の体内のカルシウム濃度ですが、
主に上皮小体ホルモンと、
甲状腺から分泌されるホルモンであるカルシトニン、
そしてビタミンDによって調節されています。

一般にペットフードを主食としている動物では、
まずカルシウム不足になるということは殆どありませんが、
肉類を主食に与えている犬猫の場合には、
まれにカルシウムの欠乏が起こることがあります。

これは肉類にはカルシウムに比べて
リンが多く含まれているためです。

動物の体内では、
リンとカルシウムは密接に関係しており、
どちらかの過剰な摂取は、一方の吸収を抑制します。

このため食餌中のカルシウムとリンの比率は重要であり、
その比率は犬では1対1から2対1、
猫では0.9対1から2対1が理想とされています。


(カルシウム欠乏症)
もっともよくみられるカルシウムのは、不足は
泌乳期の犬と猫にみられます。

これは乳汁中へカルシウムが奪われ、
通常よりもカルシウムを必要とするこの時期に
摂取量が少なくなることが原因で起こります。

この症状を産褥テタニーと呼びます。
産褥テタニーがもっともよく起こるのは、
分娩後2週間から4週間で、
多数の子供を出産する小型犬種の犬で発生が多く、
大型犬種や猫での発生はまれだそうです。

正常な動物では、血液中のカルシウム濃度は
およそ犬で9~11㎎/㎗、
猫では7~10㎎/㎗の狭い範囲で維持されています。

犬の場合、血中のカルシウム濃度が
8.5~9.0㎎/㎗以下に低下した状態を
低カルシウム血症と言います。

低カルシウム血症は様々な病態に伴って起こります。

その症状は、てんかんのような発作、筋肉の震え、
運動失調、開口呼吸など、特徴的なものが多く、
特に産褥テタニーでは激しい症状を示します。 

治療にはカルシウム製剤が用いられますが、
低カルシウム血症を引き起こす病気がある場合には、
それを先に治療することが必要です。

産褥テタニーの場合は、母親から子を離しての
人工哺乳が必要になることもあります。

(鉄欠乏症)
動物体内の鉄は、内臓などの組織と血液に存在しています。
組織内の鉄は肝臓、脾臓、筋肉および骨髄などで
鉄貯蔵タンパクであるフェリチンあるいはヘモジデリンとして
貯蔵されています。

一方、血液中の鉄の大部分は、
ヘモグロビンに結合して赤血球の中にあります。

ヘモグロビンに結合して赤血球中に存在する鉄は、
動物の体内にある鉄の60~70%を占めていて、
非常に重要なものです。

また、血漿中にも鉄は分布していて、
これは鉄輸送タンパクであるトランスフェリンに結合して
全身の組織に運ばれています。

鉄は主に食餌から摂取され、
胃と小腸上部で吸収されます。

鉄の吸収量は、肝臓や脾臓などの組織に貯蔵されている
貯蔵鉄の量に左右されます。

このため、若齢のときや、妊娠時など、
鉄を必要とする量が通常よりも増える時には
鉄の吸収量は増加します。

鉄はヘモグロビンに結合して赤血球に多く分布するため、
鉄が欠乏するとヘモグロビンの合成が不十分となり、
貧血を起こします。

鉄の欠乏は栄養不良によっても起こりますが、
出血やノミの鉤虫など寄生虫の吸血によって
多量の赤血球が失われ、貯蔵鉄がなくなった場合にもみられます。

このほか、感染症、悪性腫瘍、膠原病などの病気でも、
鉄欠乏性貧血がみられることがあります。

鉄欠乏症の症状は、主に貧血に伴うもので、
元気消失、食欲不振、などが一般的ですが、
消化管内の出血を伴う場合は、下血などもみられます。

(亜鉛欠乏症)
動物の体内にある亜鉛は、
金属酵素の成分として重要な役割を果たしています。

これらの酵素は、骨の形成、
肝臓および皮膚の代謝などに関わっています。

このため、亜鉛が欠乏すると骨格の異常や発育障害、
皮膚の障害などが起こります。

アラスカン・マラミュート、
シベリアン・ハスキーなどの犬種のなかには、
遺伝的に亜鉛の吸収と代謝に障害をもっているものがいます。

これらの犬は、小腸からの亜鉛の吸収に
異常があることが分かっています。

亜鉛の欠乏は、食餌夕の不足からも起こりますが、
フィチン酸塩、カルシウムなど、
亜鉛の吸収を妨害する物質が食物中に入っている時にもみられます。

とくに成長期の犬の食事にカルシウムを添加すると、
亜鉛欠乏をおこすことがあります。

亜鉛の欠乏でよくみられる症状は皮膚の病変で、
脱毛、発赤、かゆみなどを示します。
亜鉛欠乏による皮膚障害へは、
亜鉛製剤を用いた治療が効果的です。

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