いきがいサポートキャラバン始動!?

5月の投稿↓から5ヶ月が経ちました。

その間に、幸いにも取り組みを後押ししてくださる方々との出会いがあり、11月からプロジェクトをスタートすることができそうです。

準備期間で感じたこと、学んだことについて一度整理したいと思います。

長文ですが、最後まで読んでいただければ幸いです。

<目次>

・移動困難者とは?

・運転免許返納後の高齢移動困難者はどれほどいる?

・高齢移動困難者は、どのようなことに困っているか?

・高齢移動困難者は自動車に代わる外出手段として何を利用しているか?

・自動車運転免許を持たないことは外出にどのような影響を与えるか?

・国や地方自治体はどんな取り組みを行っているか?

・まとめ ‐いきがいサポートキャラバンの役割-

移動困難者とは?

一人では公共交通機関を利用することが困難な人や、過疎地域や郊外住宅地で、 公共交通の利用不便により、移動に制約のある人

運転免許返納後の高齢者、身体障がい者、視覚障がい者などです。

運転免許返納後の高齢移動困難者はどれほどいる?

掛川に高齢の移動困難者がどのくらいいるのか、「掛川市の人口」、「静岡県年齢別免許保有率」を元に推計を算出してみました

・掛川市の人口 116,548人 ※2021年6月時点

<前期高齢者(65歳以上)> 人口 32,290人  
・運転免許あり(推計)18,405人
・運転免許なし(推計)13,885人 

<後期高齢者(75歳以上)> 人口 15,776人
・運転免許あり(推計)5,363人
・運転免許なし(推計)10,413人

移動が困難となっている高齢者は、掛川市内に(推計)24,298人程度
※要介護(要支援)認定者数 4,905人を含む


高齢移動困難者は、どのようなことに困っているか?

・前期高齢者の外出の目的は、

1位 買い物 2位 食事 3位 通勤 4位 仕事’(業務)        5位 通院  6位 観光 7位 送迎

・後期高齢者の外出の目的は、

1位 買い物 2位 通院 3位 食事 4位 業務・観光 5位 通勤・送迎

引用:都市における人の動きとその変化 国土交通省都市局都市計画課 都市計画調査室 平成27年

上記のデータより、移動困難は、買い物や食事、通院などライフラインに関わることはもちろん、通勤が困難となり生産活動や社会的役割の喪失に繋がることが想像されます。

また、観光のように余暇に関わる活動も減少することが予想されます。

高齢移動困難者は自動車に代わる外出手段として何を利用しているか?

・地方の前期高齢者(男性)

1位 自動車(76%)2位 徒歩(10.7%) 3位 自転車(7.6%)    4位 自動車同乗(5.8%)5位 自動二輪車(2.5%)          6位 バス(1.9%) 7位 鉄道(1.3%)

・地方の前期高齢者(女性)

1位 自動車(33.4%)2位 自動車同乗(26.2%)3位 徒歩(18.3%) 4位 自転車(13.8%) 5位 バス(5.8%)6位 自動二輪車(2.8%)  7位 鉄道(1.5%)

・地方の後期高齢者(男性)

1位 自動車(56.3%)2位 徒歩(17.5%) 3位 自転車(10.1%)  4位 自動車同乗(9.1%)5位 バス(3.1%)6位 自動二輪車(2.3%) 7位 鉄道(1.7%)

・地方の後期高齢者(女性)

1位 自動車同乗(32.6%)2位 徒歩(29.1%)3位 自動車(13%)  4位 自転車(11.8%) 5位 バス(9.6%)6位 自動二輪車(2.2%)  7位 鉄道(1.7%)

多くは、家族の運転に同乗、徒歩、自転車で移動しており、公共交通の利用は少なくなっています。

その要因として、公共交通を利用したライフスタイルに「なじみ」が薄いこと自動車の普及に伴う移動の個別化あるいは個人化が定着したことなどが考えられています。

自動車運転免許を持たないことは外出にどのような影響を与えるか?

「前期高齢者、後期高齢者ともに、免許を持たない人ほど移動回数が少ない傾向がある」 (都市における人の動きとその変化(6)高齢者の特性の詳細 国土交通省都市局都市計画課 2015)
「運転の中止が日常生活の自立度を低下させる」             (島田裕之,Gerontologyt,2016)

移動困難が閉じこもり社会的孤立に繋がり、要介護状態となったり、死亡率を高めることが指摘されています。

国や地方自治体はどんな取り組みを行っているか?

国土交通省は、「自家用車に依存しなくとも生活の質を維持していくこと」というスローガンのもと、地方自治体と協力しながら方策を検討しています。

・高齢者の移動手段確保に向けた具体的方策(国土交通省)

①公共交通機関の活用 ②貨客混載の促進 ③自家用有償運送の活用 ④互助による輸送の明確化 ⑤福祉行政との連携 ⑥地域の取り組みに対する支援

掛川市でも、鉄道とバスを中心に移動手段の確保、公共交通がないエリア(公共交通協働エリア)は自家用有償運送やデマンド型乗合タクシーなど整備を行っています。また、今年の12月には自動運転の実証実験が計画されており、活用が期待されています。

まとめ ‐いきがいサポートキャラバンの役割-

私自身、病院で勤務しているため、病気をきっかけに自動車運転の再開が困難となる方々を目の当たりにしてきました。

「農作業に行きたくてもいけない」、「買い物に行けない」、「孫の送り迎えができなくなる」、「趣味のゴルフができなくなる」など・・・。

高齢者の移動困難は、退院後の生活を揺るがす大きな問題にも関わらず、個人の力ではどうにも解決できないことに無力感を感じていました。

幸いにも国や地方自治体も課題解決に積極的に取り組んでおり、近い将来には、自動運転の実用化も期待でき、よい方向に進んでいると思います。

ただ、自治体の政策も、自動運転も万能ではないことも事実です。

そこで、移動の問題においても、「自助」「共助」「公助」が重要だと感じました。

自助:各個人が免許返納後の生活に向けた準備をする           (例:運転終活、病気の予防、介護予防など)
共助:移動困難者のための市民活動
公助:自治体の政策に基づいた取り組み                        (例:自動運転、公共交通機関の充実、自家用有償運送の活用など)

上記のように考えた時に、いきがいサポートキャラバンでは、共助と自助のサポートにあたる活動を行いたいと考えています。

今年度は、運転免許の返納後などで外出に困っている方を対象に、「季節のジャム作り体験」「法多山紅葉狩り」を企画しています。

季節のジャム作り体験では、病気をきっかけに運転免許を返納した当事者で、ジャム屋さんを営んでいる “ふみさん” に講師をしていただきます。

運転免許の返納=不便、不幸

というイメージがあり、特に地方では大変な苦労があると思います。

ただ、運転免許の返納後も、「なんとか生活できる!」、「返納した後も意外と楽しめるじゃん!」と言える社会にしていく一助になれればと思います。

微力ではありますが、イベントの企画や免許返納後も楽しく生活できる工夫を共有できるコミュニティを当事者の方々と一緒に創っていけるといいなと思っています!

最後まで読んでいただきありがとうございました。


Shingo





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