しょうもない6000字

おばんです。おひさです。
一年余り前に解散した『いなせ弁慶』というコンビで襟足の方やらせてもらってた藤田という人間です。
一説によるとコンビの終盤ではもはや襟足ですらない珍妙な髪型をしていたとも言われています。
今はそこから更に髪も20世紀少年のトヨエツぐらいまで伸び、サトテルのような顎ヒゲを生やしています。
恐らく多くの方が僕は既に芸人の世界から身を引いたと思っていらっしゃったと僕は勝手に推察しています。
ですが、形式上ではありますが、僕はまだ吉本興業所属の芸人であり、未だに大阪で暮らしています。
前のコンビの解散時になんとなくつけた『藤田単騎ガマし』という名前で所属はさせてもらってます。
一応、吉本のホームページで検索したらプロフィールが出てくるんで、ごく少数かもしれませんがそのことを把握している方もいらっしゃるかもしれません。
それを聞いた上で、「お前この一年ちょっと何しとったんや」という疑問をお持ちになった方にお答えします。

何もしてません。
芸人としての活動は一切行っておりません。
大体分かっていることやとは思いますが。
ネタもなんも書いてません。
(ほんまに何しとったんやお前。)
ただただ社畜してました。
NSC在学中から勤務しているバイト先で、ここ数ヶ月はタイムカードの隙間が2,3個しか見当たらないような日々を送っていました。
それも今後の芸人として活動のため貯金をつくるためとかでもなく、毎月稼いだお金を使い切ってまた給料を受け取って使い切っての繰り返しでした。
前のコンビを解散した後、いきなりそういう生活になったというわけではありません。
その職場の人手が足りてなかったり、僕が一番若くて体力があってそこそこ要領がいいという理由で頼りにされたことを拒絶しなかった結果、徐々にそういう方向に進んでいった次第です。
ここまでの話の流れ的に、芸人の活動をサボった言い訳としてバイトが忙しかったと言っているように感じるかもしれません。
そうではないと言わせて欲しいです。
前のコンビが解散となったときに、僕の中でお笑いに対する気持ちが一度完全に途切れてしまったんですよ。
(今思えば、本当はもっと前から気持ちが切れていたのかもしれません。NSC卒業後、ネタ見せや相方とのネタ合わせの回数が減ったことで徐々にそうなっていった気がします。)
そうなると僕は、別に誰かに何かをされた訳でもないのに勝手に心を内側に閉ざし、同期をはじめとした芸人仲間と連絡を断つようになってしまいました。
そんな状況で、東京から大阪に単身で乗り込んできている僕にとっての居場所はもうバイト先しかなかったわけで、いつしか先述したような状況に陥っていた次第です。
最初のうちは先輩たちに言われた通りに仕事をこなしているだけで、一人で暮らす分には十分な収入を得られて気楽なもんでした。
自分の現状に対して危機感や焦燥感といったものも特にありませんでした。
考えたくないことは考えずに、ただ生きていられればそれでいい。
当時はそんな風に思ってました。

なんですけどねー。
どうやら僕はありがたいことに、そんな生き方をすることを許されへん人間だったようです。
誰が望んだ訳でもないのに、職場が人手不足に陥りまして。
もう大車輪ですわ。
僕はお笑いへの気持ちが切れて空っぽの状態だったので、言われるがままに。
もちろん、僕1人だけがしゃかりきに働かされたという訳ではないんですけど。
ただ、もう他の人らは限界来てて。
身体壊すわ、精神的にもおかしなってまうわってな具合です。
(本当はもっと言いたいことあるんですが、こういう記録が残る所で包み隠さず言うのは忍びないのでこれくらいにしておきます)
で、ここのところ、その皺寄せが僕に来てる感がありまして。
僕なりに頑張ってたつもりなのに、こんなことになんねんなーとか思ってもうて。
やり切れないというかなんていうかっていう感じになって。
まあ一言で言うなら、キツいなって思ってもうたんですよ。
人生キツいなって思った時に、「クッソ生きてやる」って心の中で唱えるようにしてるんですよ。
この言葉はZOCっていうアイドルグループの『family name』って曲のサビ終わりで繰り返されるフレーズなんですけど、それを唱えると、よっしゃやってやろうって気持ちになれるんですよ。
だから、心の中で唱えたんですよ。
あー、しんど、クッソ生きてやるって。
そしたら、ふと思ったわけですよ。
そもそも俺にとって「生きる」ってなんやねんって。
クソ安い時給で頭カラッポにして言われるがままにこき使われることなんかって。
いや、それはちゃうやんなって。
東京で生まれ育って、そこそこええ大学とか出とるくせに就職もせずに何を求めて大阪に来たんやって。
自分自身に問いかけて。
あー、漫才したいな。
ああ、そうやったなと。
改めてそういう情熱というか志というかそういうもんが湧いて来て、今に至ります。
多分ね、生きている限りはキツいこととかしんどいこととか、悩みとか苦しみからは逃れられないと思うんですよ。
実際はちゃうのかもしれませんが、少なくとも僕はそういう人種なんやろうなと思います。
楽をしようとしたら何らかの形で必ずしっぺ返しが来るっていうね。
でもね、何をして、何に対して、悩み苦しむかを選ぶ権利はあると思うんですよ。
せやったら、ちょっとでもこう、ワクワクすることというか、愉快なことを選んだ方がええじゃないですか。
だから僕は芸人になることを選んだんやってことを思い出しました。

ここまで被害者ヅラしたクソみたいな文章を書いてきたんですけど、自分だけがとか自分が一番不幸だとかは全然思ってなくて。
健康な身体と心があって、働いた分のお金は貰うことができてそれなりの生活はできてるわけで。
職場の中にも僕のことを気にかけてくれてる人もおるし、それに、世界中を見渡したらもっとキツい状況に置かれている人もおることも分かってます。
だから、僕は結構な幸せ者なのかもとか思わんでもないんですよ。
それに、僕自身にも責任があるな、自業自得やなとも思うんですよ。
やっぱ、何でもかんでも「はい、はい」言うて受け入れるんはあかんなと。
元相方にも僕のそういう部分は良くないと指摘されたこともありました。
今はほんまにそうやなと思います。
そういう人間は傍から見れば善人に見えるかも分かりません。
でも所詮それは偽りの善意でしかないわけで。
そんなものを積み重ねたところで、自分の都合の良い結果に結びつくわけがないんですよ。
ついでに言うと、元相方に僕があまりにも自分からなんもしようとせんから、そういう姿勢を怒られたことがあったんですよ。
この1年で僕もバイト先でそういう姿勢の人間と対峙することがあって、僕がその分の負担を背負わされるみたいなこともあって。
そりゃ腹立つわなって今は思います。
今になって振り返ると、自分は色々おかしかったと思えます。
そりゃ解散切り出されるのも当然やなと。
今さら気づいても遅いんですけど。
元相方の彼は僕を置き去りにして上へと上がっていくんやろうやと思ってました。
なんで、彼の現状に対しては割と複雑な想いです。
現状どうであれ、一時は相方として彼のことを見てきた僕は彼のことを芸人としても一人の人間としても尊敬してますし、今でも僕にとっては特別な存在です。
ひょっとしたら僕にとって一番この文章を読んでもらいたいのは彼であり、その反面一番読んでもらいたくないのも彼であるのかもしれません。
ちょっと話逸れましたね。
もう一つ、懺悔というか謝罪したいことがあります。
僕が前のコンビで活動している時期に、僕に近づこうとしてくれた同期をはじめとした芸人仲間が少なからずいてたんですよ。
ほんまはそういう人たちを大事にせなあかんところなんですけどね。
その頃の僕はその人たちと関係を築くことに積極的になれなくて。
今思うと、あんまり自分のことを深く知られたくなかったというか、自分が何にもない人間だってことがバレたくなかったというか(まあとっくにバレてたとは思いますが)、失望されるのが怖かったんでしょうね。
クソしょうもない奴でしたね、僕は。
今も十分しょうもないんですけど。
なんしか、勝手に殻に閉じこもって節がありましたね。
僕個人で成し遂げたことなんて何一つないわけで、失うものも守るべきものも全くないにも関わらず。
そういうとこもほんまにあかんかったと今では思います。
ほんまに申し訳なかったと思います。
こんな風に、この1年ちょっとの空白のおかげで色々気づけたこともありました。
実際はどうか分かりませんが、前よりも多少は自分という人間を上手に扱うことができるようになり、他人からの好意に素直に答えられるようになれたんちゃうかなと思ってます。

あともう一つ、僕が改めて舞台に立とうと思ったきっかけがありまして。
新しく目標というか、夢ができたんですよ。
それは、大宮の劇場出番をいただくことです。
これだけでは伝わらない部分が多すぎるんで、補足させてもらいます。
僕には兄が1人いてるんですけど、その兄がこないだ結婚しまして。
その奥さんのご実家が大宮にある『大衆酒場 末広』っちゅうお店なんですけど。
大宮ラクーンよしもと劇場の出番終わりの芸人が飲みに来たりもするみたいな話を聞きまして。
それでね、思ったわけですよ。
自分も大宮の劇場に立ってその公演終わりにその店に行く。
そんな未来があったら幸せやろうなと。
こんなんもね、僕みたいな思い込みの激しい人間は、お告げ的なものかなんかと勘違いしてまうわけですよ。
吉本の芸人であり続けなさい。
大宮の劇場立ちなさい。
と、こう、道が用意されたような錯覚に陥ってもうたわけですよ。
だから今、僕が一番やりたいことはそれです。
ただ、大阪を拠点にして活動する限りそこへのハードルは多少なり高なるとは思うんですよ。
だから、それをすぐに実現したいなら拠点を東京に移したほうがええかもとかも考えたんですけど。
やっぱそれはなんかちゃうなと思うんですよ。
なんかちょっと冷めるというか。
近道したないなとか思うんですよ。
あえて遠回りをしたいなと。
そりゃ近道した方が楽なのは間違いないんですけどね。
でも、目的地に辿り着いた時の自分の中での達成感とか満足感みたいなものは、そこに至るまでに躓いた数がどれほどだったかとか、前に進めへんかった時間がどれくらい長かったとかによって変わってくると思うんですよ。
僕はその達成感や満足感を中途半端にではなく、骨の髄まで味わいたいんですよ。
だから、あえて遠回りをしたいなと思います。
正味ね、東京に移住するだけの金がないっちゅうところもあるんですけど。
まあでも、仮に手元にその費用があったりとか、誰かが用意してくれたとしても僕はそれを選ばないですよ。
僕は変わらず大阪で活動します。
大阪に籍を置いたままで、大宮の寄席やイベントに呼んでもらえるようになるまで頑張る所存です。
それが実現したら、芸人として終わりなのかと問われるとそうではないとは思うんですけどね。
それより先のことはその時に僕が何を感じ、何を求めるかに委ねようと思います。
その夢の実現のために、今はとにかく漫才したいです。

いつかこういう日が来ると信じてました。
自分は思い込みの激しい人間だと、先ほど申し上げましたけど、なんの根拠もない自分の直感をアホみたく信じてまう節があって。
いつどのタイミングで何がきっかけでそれが訪れるかとかは分かってはいないんですけど、僕はまた漫才がしたなるんやろうと信じていました。
この1年間、バイト先でね、ご厚意で僕に正社員の仕事を紹介してくれる人が何人かいてたんですよ。
けど全くその話を受ける気にはならんかったんですよ。
やっぱりまだ芸人としての自分自身に期待してたんやと思います。
一度気持ちが完全に切れてしまったと申し上げましたが、本当は一縷の繋がりが残っていたんやと思います。
いつかまたやる気になると。
その気になったら、まだまだこんなもんちゃうと。
だから吉本辞めずに大阪残ってたんですよ。
やっとその気になりました。
漫才がしたいです。
髪型も心境もあの頃の三井状態の今の僕には、安西先生のごとく手を差し伸べてくれる人が必要なんですよ。
つまるところですね、相方求めてます。
結局、今なにが一番言いたいかっちゅうと、そこなんですよ。
ネタも書き始めてるんですけど、相方がおらん限りはそれもできひんわけで。
今ちょうどM-1のエントリー期間なんで、ユニットで出場する相方とか探している方がおったら是非一緒に出ましょう。
そもそも、ここまで読み進めてくれてる方がおるかどうかも信じられへんのですけど。
そこら辺の大学生が書いてるレポートより長いで、これ。
でも、もしここまで読み進めてくださった方がいらっしゃるのであれば、もう何でもいいんで僕に声をかけてください。
コンビ組むとか、そんなんじゃなしに、ただ飯に誘うとか、そんなんでもめっちゃ嬉しいです。
ほんまに激励でも叱咤でも罵詈雑言でも、1文字でも1万字でもなんでもいいんで。
noteのコメント欄でもXのリプ欄でもDMでもLINEでも何でもいいんで。
僕に声をかけてくれる方が一人でもいてくれたなら、今の僕にはそれで十分です。

めっちゃ個人的なことなんですが、3日前が誕生日でして。
そこに合わせて投稿しようとか考えてたんですけどね。
タイミングが合わず、今日までズレ込んでまいました。
その辺が実に僕らしいなと思ってます。

あとね、これがnoteの初投稿になるわけなんですが、定期的に投稿を追加していければなと考えています。
更新頻度とかは全く決まっておりませんが。
人に何かを伝える手段として、喋るよりも文字に起こして伝える方が僕は好きなんですよ。
なんでかっていうと、自分が納得できる言葉を確実に発信できるからです。
喋りだと瞬間的に言葉を紡いでいくことを要求されるので、なかなか言語化が追いつかない部分があって。
後々になって、あの時こういう言い方すればよかったなー、とか考えてまうんですよ。
文字に書き起こして伝える分には、納得がいく言葉が見つかるまで考えられるし、何回でも修正ができるんで、その方が僕にはええかなと思ってます。
だから、自分の思うこととか考えてることとかを発信する手段として、今後もnoteを活用していこうと思います。

最後にですけど、芸人としても人間としても足らないところしかない僕なんですけど、一丁前に夢持ってますんで、そこに向かって踠いている様を見ていただけたらなと思います。
さらに、それを見て温かい言葉や時には厳しい言葉もかけていただけたら幸甚です。
あ、厳しい言葉多めでも構いません。

6000文字くらいあるみたいなんですけど、内容は大したことない、ほんまにしょうもないもんやと自分でも思います。
でも、一人でも多くの方がこれを読んで僕のことを認知してくれたら、それだけでこの文章が僕にとって価値のあるものになると思います。
ほんまに、長文駄文失礼いたしました。

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