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バレバレ境

「いよいよ自分、ユーチューバーになりますわぁ!今ね、一所懸命動画作っててね!まだまだいっっっっっぱい!動画作って行きますからね!」

弊社社長はドヤ顔で他社様にそう語っていた。

作ってるのわ〜〜〜〜〜たし!!!!!

もうキレるところしかなさすぎてどこからでも切れる餃子のタレみたいになってきた。

余談だが私の父はどこからでも切れるといいながらどこからでも切れない口だけだわ切れたかと思ったら爆発だわ、の昔の「どこからでも切れるタレ」みたいなクソ野郎です。

ムカつく度に動画をダサくしてやっからな〜〜〜!という気持ちを燃やして作りたくない動画を作る力に変えて頑張って作ったウルトラハイパークソクソクソクソクソクソクソダサ動画。

バカみたいに波紋効果や画面回転を入れ、無駄に長く尺取ったり、逆にサブミナル効果か?と思うほど一瞬しか表示しないとか、パソコン教室半年通って1ヶ月かけてやっと作ったスライドみたいなクソダサ動画は中々満足のいくクソ度に仕上がった。

弊社社長、ありとあらゆるものを「本当に見てる?」という生活をしているのでクソ動画と比較するものが脳内にないため、「いいじゃん!いいじゃん!」と大絶賛。

ヨッシャもう一捻りダサくして完成じゃ〜〜〜!

といったところで弊社社長、動画でテンション上がりすぎて「ちょっと動画見せたって!」と、取引先の映像制作会社の人をよんできた。

え、ちょ、おま…???

感情が追いつかないうちに再生してしまい、死んだ目でWindows Media Playerの編集欄を睨んでいた。

ふと横の小さな鏡を見ると、制作会社の人が「あ、わざとこう作ったんすね…?」といった顔で私を見ていた。

「ね?いいっしょ〜〜〜?」

何も気づいていないテンションバリ高の弊社社長。なんもよくない。

「ガンバッテ…クダサイ…」と消えそうな声と全てを察したような顔の制作会社の人は軽く会釈をして部屋から出ていった。

やはり気づく人は気づくんだな…とクソダサ動画を睨んだ。

会社からは定額使い放題の扱いを受けておりますの