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マンマミーナとガッティーニ:ちょこ 1

ちょこと出会ったのは今から4年前の春。ある朝、
いつものようにニャンズ村に行くと、綺麗な仔猫が
私の足にじゃれついてきた。それが、ちょこ。

ニャンズ村には、茶トラ、キジトラ、サバトラ、
白、黒、サビの毛色の猫がほとんどだけど、
ちょこだけはバーマンが入っていると思われる
顔と体形をしている。気が強いわりに声はとても可愛らしく、
滅多に鳴かない。
言うなれば、田舎の学校に一人だけハーフがいるような感じかな。
それくらい他の猫たちとは容姿が違っていて、
周りの雄猫たちは「我こそは!」と
日々アプローチをしていたっけな。

ちょこの姿が見えなくなって、どれくらいしてからだろう。
ひょっこり姿を現したのは。
元気そうに見えたけれど、ケガや病気をしていないかと
体を触っていると、ちょこのお乳が
膨らんでいるのがわかった。
生まれてまだ1年も経っていないのに、
「もうお母さんになるんだ」
それからちょこのお腹はどんどん大きくなって、
また少しの間、姿を見せなくなった。
おそらく、仔猫が生まれたんだろうなと思っていた。
ちょこの名前を呼ぶと、ニャンズ村の端の茂みから出てきて
ごはんを食べに来た。でも、前みたいにごはんを食べ終わってから、
ずっと私のそばにいて遊ぶこともなく、
さっさと茂みに戻っていった。

ちょこに、「ちょこ、ママ、ちょこの赤ちゃん見たいなぁ。
ママに赤ちゃん、見せて?」と頼んでから3日後、
ちょこが4匹の仔猫をいつもごはんを食べる場所の
近くに連れてきた。
背の低い木の枝の隙間から、4匹の仔猫の姿が見えた。
黒い背中に白いお腹、真っ黒、サバトラが2匹。
ごはんを食べ終えたちょこが仔猫のところに戻ると、
「わーい!」とばかりに両前脚を上にあげて、
ちょこに抱きつく仕草を真っ黒な仔猫がした。
「おかあさん」って、そういう存在なんだなぁって
少し胸がキュンとした。

日に日に仔猫たちを間近で見せてくれるようになった時、
他の3匹とは明らかに一回り
体が小さい仔猫がいることに気が付いた。
母乳から普通のごはんも食べられるようになって、
4匹の仔猫も姿を現すようになった。
体の小さい仔猫は、目が開けられないほど
目ヤニがひどく、”長くは生きられないかも”と
と思った。
-つづく-

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