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令和2年度 低学年振り返り(コーチング編)

アスリートセンタードコーチング

日本体育大学の伊藤教授の提唱するアスリートセンタードコーチング
私達が教えるものを子供達は本当に学びたいのかを改めて考える必要があると思います。

子供達は自ら学びを見つけることで内発的動機づけ(モチベーション)が高くなります、コーチはそれを尊重することで、学習環境がベストな状態(つまり効率の良い練習)を作り出すことができます。後述するゲームセンス(ゲーム中心の練習)において、子供達が自らターゲットとする課題を学ぶことを促すことができます。

コーチが「こうしろ!これはだめ!」といっても、子供達は意識の中に入っていかず、何度も同じことを言われるサイクルになってしまいます。
子供達が主体的に学ぶようになると、自分達が必要なことを自分達で気が付き学んでいくので、言われなくても覚えるし、忘れないスキルになります。

コーチ主体(コーチセンタード)の練習では、選手はコーチが持っているスキルまでしか成長することができませんが、子供達が主体(アスリートセンタード)になることで、本人の気付きがそのまま伸び代となっていきます。
トップアスリートのコーチが、必ずしもトッププレーヤーではないのもこれと同様です。

以下の記事、ご参考ください。

新時代に求められる「アスリートセンタードコーチング」

映像で学ぶコーチング

ゲームセンス(ゲーム中心の練習)

アスリートセンタードコーチングの実践において、セットといってもいいのが、ゲーム中心の練習(ゲームセンス)です。

まず理解しなければならないのが、練習の最後に、(もちろん途中でもですが)ゲーム(試合)をやることが、ゲーム中心の練習ではないということです。
練習のすべてをゲームライクなものにして組み立てていきます。

例えばですが、ピックアップ&ダウンボールというドリルがありますが、通常の練習だと数歩進んだところにボールがあってピック、等距離でまたダウンボールをします。これを繰り返すことで、同じ運動操作は身に付きますが、違う向き、違う場所、違う距離でのピックアップ&ダウンボールには、運動転移がおきません。結果として、ゲームや試合で使えるスキルの習得にはなりにくいということです。

では、相手チームのボールをひたすら取りに行く、ボール取り合戦にしたらどうでしょうか?
ボールと自分との距離も位置も、方向も自分のスピードもすべてが毎回違う状況で行われます。
これがゲームへの運動転移となります。
ゲームの中で「繰り返しのない繰り返しの動作」を行うことで、様々なシチュエーションへの動作、感覚のインプットを脳と身体に起こさせていく。

試合を重ねるチームが強くなるのも、ゲームセンスと同じと考えていいと思います。

ゲームセンスについては、以前の記事(ラグビースクール低学年期における…vol.1)に細かく書きました。

では、楽しんでゲームをやっていれば、コーチは介入しなくていいのかということになりますが、やはりターゲットとしている課題があると思います。
例えば、『一人で走らずフォローを待つ』など、課題にあげたら、コーチが「一人で行くな!」なんて言っても聞かないけれど、「3秒以上一人で持ってたら相手チームのボールね。」なんてルールつけると、2秒過ぎぐらいにキョロキョロしだします。
自ずとパスするシチュエーションができてきます。
この時にパスができたら(あるいはできなかったら)、ようやくコーチが「今、どうしてできたのかな?(できなかったのかな?)」と問いかけてあげると、勝手に子供達が「○○だったから。」と、課題の答えを見つけ出してくれます。
極論だと、コーチングはこれだけでOKだと思います。正直、これが上手く行くとコーチとしては、めちゃくちゃ気持ちいいです!

じゃあ、ドリルはまったくやらなくていいの?
というと、それも違って、子供達が本当にそのスキルを獲得したいって思った時に集中してやるのが、すごく効果があります。
またスキル編で書きますが、お父さんコーチが考えてくれた『パワートライ』っていうのがあるんですが、走り込んでボールをもらってトライすると2点(通常1点)というルールにしたら、みんなパワートライをねらいたくて、走り込んでボールをもらうドリルを必死になってやり始めました。
僕もドリルを全くやらないというよりは、タックルのような確実に覚えなきゃならない危険が伴うことや、子供達が本当に必要と感じたときにはピンポイントで入れていくと効果的だと、1年の中で気が付きました。

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