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区分所有者が管理会社の事例紹介(1)

 前回の「管理会社=区分所有者マンションって?」では、区分所有者でもある管理会社が自分のマンションの管理を行っている管理運営形態があることをご紹介しました。この場合は「マンション管理適正化法(「マン適法」)」に抵触する恐れのある行為もOK!・・・というより、そもそも「管理会社に該当しない」ので「マン適法」適用外みたいな内容をお話しました。

 今回は、京都市の調査で見つかった実例・・・管理会社がマンションの区分所有者の一員として(他の区分所有者から管理を委託されて)管理運営している京都市のマンションの事例紹介をしたいと思います。

O建設の場合

 現在O建設は、マンションの分譲販売をされていませんが・・・事業の1つとして、これまで分譲してきた数件のマンション管理運営や修繕工事を担っておられます。なお・・・O建設は、管理している数カ所のマンションの全てに専有部分(=区分所有権)をお持ちです。
 その専有部分は、住戸もありましたが、店舗とか倉庫とか・・・(今では登記できないけれど)駐車場とか駐輪場とかでした。(これにはビックリ!)

駐車場や駐輪場が専有部分に登記されてるわ!

 O建設が管理するマンションの登記を見てみると・・・O建設の所有物として駐車場や駐輪場といった(壁で完全に仕切られていない)空間が(専有部分として)登記されているのを見つけて驚いた記憶があります。

 ちなみに「登記」とは・・・
 私の下手な語りより(笑)・・・はるかに良くまとまった「フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』」より引用して以下に記載しますね。

「登記とは、日本の行政上の仕組みのひとつであり、個人・法人・動産・不動産・物権・債権など実体法上の重要な権利や義務を、不動産登記法や商業登記法などの手続法により保護するとともに、円滑な取引を実現する、法の支配並びに法治国家を支える法制度の一つ」

 「Aさんが、自身の不動産をBさんとCさんにブッキングして売った。契約も支払いもBさんが先だったけど・・・登記はCさんが早かった。さて権利があるのはBさん?Cさん?」みたいな問題 ・・・「民法」の権利関係を(資格試験のために)勉強すると必ず出てきますよね。私は、「民法」苦手で大嫌いやったけど・・・(笑)

 話を戻します・・・
 専有部分(=各住戸等、区分所有できる部分)の定義については、「建物の区分所有等に関する法律」(略称: 「区分所有法」)に「(建物の中で)構造上独立している(=コンクリート等で仕切られている)部分」という要件があります。(これは「区分所有法」が制定された1962年から変わっていなかったはず・・・)
 ですので・・・本来「駐車場」とか「駐輪場」といった(完全に仕切られていない)空間は、専有部分として認められないのですが・・・
 昭和の時代?は・・・いい加減というか徹底してなかったというか・・・建物内の駐車場空間(なんと!機械式駐車場のパレット毎にも)も専有部分としての建物登記が為されているケースがあります。
 何となくですが・・・「区分所有法」大改正された昭和58年(1983年)(=任天堂のファミコンが発売され、東京ディズニーランドが開園した年)を境に・・・こうした問題ある建物登記が減少したように感じます。(知らんけど・・・)

O建設管理マンションの運営方法は?

 O建設は、担当者自らが建物内を案内してくれる等、京都市の調査に協力的でした。(それって、結構珍しいかも?)

 担当者は「管理業務主任者」の資格をお取りになり、会社も「管理会社登録」されていましたが・・・
 管理するマンション管理組合の預預金通帳(預金口座はどのマンションも1つだけ・・・)も銀行印もO建設の事務所で保管されていました。

 こうした行為は(「管理会社に課された義務とは?(2) 」の「(1)財産の分別管理」でお話したとおり)「マン適法」ではNGなのですが・・・
 「管理会社=区分所有者マンションって?」のパターンに合致するO建設の場合は「マン適法」に該当しません。(違反にならない)

 ところが・・・
 色々ヒアリングしてみると、区分所有建物(=マンション)の原理原則的なルールを定めた「建物の区分所有等に関する法律」(略称: 「区分所有法」)に抵触している恐れはあるかも?と思える事実がありました。

 例えば・・・「区分所有法」年1回開催が必要な総会(集会)を開催していないマンションがあったり、区分所有者に管理組合の財産状況や出納の状況の報告が不十分だったり、管理規約も竣工当時の「自治会規約」のままだったり・・・

 特に会計は、何となく曖昧な(はっきりしない)部分が多かったかもなあ・・・
 そもそも・・・O建設が(応分の)管理費や修繕積立金を管理しているマンションにきちんと納めているのか?疑問に思ったりもしました。
 それが曖昧にしている理由?などと(・・・何の根拠もないけれど)思ったりもしましたかも?

肝心のマンション住民はどう思ってる?

 O建設が管理しているマンションの住民にも何度かヒアリングしています。その時に一貫して感じた印象は、O建設に全幅の信頼を寄せていることと、管理を任せていることに安心しきっている・・・そんな感じでした。
 中には、マンションの売買や賃貸借の仲介も住戸内のリフォームも全てO建設にお任せしている・・・みたいな(複数名の)区分所有者もおられたと思います。

 そんな感じだったので・・・私らが「自分たちが主体になって判断をしていく『管理組合の必要性』」みたいな勉強会を何回か開催しても、参加者はピンと来られない、というか必要性を感じないわ・・・みたいな感じでした。

今回のまとめ

 ありていに言えば・・・O建設の管理するマンションは、管理組合の体制が事実上なく(あっても形だけ)、管理運営は「全てO建設任せ」・・・という感じなのですが、マンション住民(区分所有者)は安心してO建設に管理を全て任せている・・・そんな感じになると思います。

 マンション住民は安心していても端から見ると・・・心配になりそうな管理不全の部分が散見していることが透けて見えてきます。
 例えば国土交通省の「マンション管理標準指針」(2005年12月策定)の項目の多くで「標準的な対応」にも「望ましい対応」にも該当しないこと項目がほとんどだと分かるからです。
 実際にO建設管理のマンションで、この項目を順に読み上げて自己チェックする勉強会を行ったところ・・・あまりに該当しないので、参加者が驚愕したこともありました。

 次回のブログは、O建設の管理するマンションの管理状況を(大規模修繕工事と絡めたりして)レポートしたいと思います。  (つづく)




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