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~忘れたくないこと~

今、世界を最も脅かしているコロナウイルスに打ち勝つため、外出自粛をし、食べては寝るを繰り返す毎日。


そんな毎日でも、スマホを開けば頭がパンクしそうになるくらい沢山の情報が入ってくる。


困ったことに、この身体はスマホを手放さないから、新しい情報が次から次へと舞い込んでくる。


その中から、必要な情報にだけ飛びついて、どうにか人とコミュニケーションがとれる程度には生きているけど、10分前何をしていたかは思い出せない。


夏休みや春休みになると地元でゆっくりする時間が増える。


久しぶりに同級生たちと集まって、皆が思い出話に花を咲かせる中、自分の思い出がなかなか見つからず、当時の自分の思い出を皆から教えてもらう始末。


動画や写真を見せてもらってもなかなか思い出せず、これは本当に自分なのかと疑ってしまう。


「こんなコト、喋ったっけ?」


「こんなコト、僕が本当にしたんだっけ?」


そんな毎日を過ごしている。


だるま落としのように古い下の方の記憶から、順にポコポコ押し出されちゃってるのかな。


いやいや、シンプルにバカなんだと思う。


いずれにせよ、どうやら僕は、皆みたいに、昔の記憶を保管しておくことが苦手らしい。


話したコト、感じたコト、その時の天気や匂い、、、せっかく体験したアレやコレやを次から次へ忘れてしまう。


その中にはきっと、忘れちゃいけない思い出が混じっていて、父ちゃんや母ちゃんや、友達や、好きな女の子からもらった大切な言葉が混じっている。


子供の頃の記憶は、今はもう、ほんの少ししか残っていない。


妹が生まれたので、幼稚園をお休みして、僕は婆ちゃんちで1ヶ月くらい過ごすことになった。


父ちゃん、母ちゃんと離れて暮らすのはちょっぴり寂しかったけど、婆ちゃんと爺ちゃんが大好きだったから、毎日、かくれんぼしたり、トランプしたりして楽しんだ。


時々、大好物のいくら丼を家族には内緒でご馳走してくれて、とてもとても美味しかったのを覚えてる。


このまま、今の生活を続ければ、きっと、この思い出も無くなるだろう。


爺ちゃん、婆ちゃんはもう高齢だからそんなに長くはもたないと思うから、僕がこの思い出を忘れちゃったら、あの時の時間が世界から無かったことになってしまう。


それはやっぱり寂しすぎるから、この先、どれだけの情報に飲まれても、後でちゃんと思い出せるように、ここに綴っていこうと思う。


2020年4月4日(土)        近所のちっちゃな公園より

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