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老いとは美しさで。

すぐに眠たくなる、特に最近。

背伸びして今まで読んでたものより少し難しい哲学書や新書を読み始めたからだろうか。いつもの本より一文理解するのに時間を要してしまう。あまり理解せずに次を読むとすぐに迷宮入りしてしまう。

あぁ、眠たい。

そんな眠たいなか時間に縛られず、気ままに知識を入れたりしながら過ごしていると、他者から期限を決められず、読書に勤しむなんてこと久しぶりだぁと思った。

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学びには制限時間がつきものだ。
90分の期末試験。
120分のセンター試験。

その時間で解けるよう、自分の時間をさらに分けていく。この時間は調べもの。この時間は暗記時間。

高校の時、20歳前後(詳しくは覚えていない)で脳の記憶力や理解力は衰えていくという評論を読み、とても焦りを感じた。私は他の人よりも理解力、暗記力等、全ての能力で劣っていたためこれ以上劣ったら凡人の中でも底辺になると危機感でいっぱいだった。

飲み込みが悪い、応用できない、何十回も繰り返さなくちゃ暗記できない。

学ぶのに時間は限られている。しかも、自分の能力は底辺の底辺。人並みにすらできない。さらに脳は衰え、底辺の能力はさらに悪化していく。

ふいに無理だと思ってしまった。

だって20歳には私の努力とか虚しく脳は衰え始めるんでしょう?時間とは不可逆的で100%敵わないものにどう挑んでも負けてしまう。

どれほどの努力を費やしても老いには負けてしまう。脳も、肌も。まだ、老いという言葉を使うには若すぎるのかもしれないが、誕生日が来るたびに1年歳をとるのは死ぬまで変わらない。

だったらどうすればいいのだろう。

そう思った時に祖母たちの顔が浮かんだ。
私は祖母が二人いて、二人ともチャキチャキシャキシャキしている。背筋がピンと伸び料理の手順は良すぎるくらい良い。祖母たちがいつ学業というものを辞めたのかは知らないが、彼女たちの背筋は美しい。

一方の祖母は毎日必ず歩く。犬を連れて、すれ違う近所の人や同じく犬の散歩をしている人に挨拶や世間話し(私はこれを犬コミュニケーションと読んでる)をする。このコミュニケーションがうまく取れてるのか、関係あるかはわからないが祖母は人からよく食べ物などものをもらう。スーパーで買わなくても生きていけるのでは?というくらい物をもらう。特に春になると筍をもらう。祖母の筍の煮付け、これが絶品なのだ。

もう一方の祖母はこまめに料理をして、コーラスをやっている。遊びに行った時は冷蔵庫にいっぱいの食材や保存材が置いてある。祖父と二人暮らしなのに、毎食10品は料理がでてくる。

食べて、寝て、起きて。

その繰り返しだけれど、
大きな出来事もないけれど、
私たちが感じる新しいこともないけれど、

彼女たちの生活はとても丁寧だ。

特に食べること。ここが丁寧。
食材を買う。料理をする。食べる。
簡単なようでできない。
何年も毎日毎日同じことだけど難しい。

彼女たちの背筋がピンと伸びているのは、美容液でも、頭の良さでもない。

丁寧に生活する。
それだけで老いてもなお美しい。

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母によく食べなさいと言われた。
悔しい日も、楽しい日も、悲しい日も。
ちょっと焼きすぎた魚やお肉、揚げ過ぎの唐揚げ。心配性な母の料理。めんどくさいと言いつつ何品も温かいものを作ってくれる。

ベタだけど、何かの勝負事の前はカツを。
試合で負けた日は私の好物を。
私の誕生日にはすき焼きを。

その習慣がついているのだろう。
一人暮らしの今、「食べられない」と思ったら心が悲鳴を上げているサイン。そのサインがあったら私は優しい雑炊を作る。温かいシチューを作る。
「食べられない」と思うけど、「食べられる」ように作っていく。

泣きながらご飯を食べたことある人は、生きていけます。
ーカルテット 第3話

人生、食べ物が喉を通らない日もあるだろう。それでも、泣きながらでも、生きるためにエネルギーを飲み込んだことがある人は、若さを手放し、老いを受け入れるなかで輝く美しさを手に入れるだろう。

#エッセイ
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#老いとは

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