開運手助け活動~「運一定量説」と「運量無限説」

開運研究家として少しづつだが、実際に開運手助け活動もおこなっている。

「いそいで出かける時、テーブルの上の牛乳と砂糖を床にぶちまけて、駅に着いたら電車のドアが目の前で閉まり、帰りは傘を持って来ていないのにいきなり雨が降りズブ濡れになった」というような1日を友人がSNSでウギャ~とか(泣)とともに書いていたとする。しからばすかさず「運を貯金してますね!!(^O^)」とコメントで書き込むのである。

これはネガティヴなことが起こった時、それはポジティブなエネルギーやラッキーの種を蓄積している時である、ということだ。中国の故事「塞翁が馬」に代表されるように東北アジアでは古来から根強くある、とてもポピュラーな信仰というか人生訓=処世術である。

これをオイラは「運一定量説」と呼んでいる。ネガティヴなことがたくさんおこれば、ポジティヴなラッキーがおこり、ポジティブなことがたくさんおこれば、ネガティヴなことがおこる、というものである。

逆に笑う門には福きたる(笑えば笑うほど運がどんどんよくなる)とかラッキーがこれまたラッキーを連れてくるという諸派もあってこれをオイラは「運量無限説」と呼んでいる。

「運一定量説」と「運量無限説」は論理的推考を重ねるとメビウスの輪のようにつながるのだが、とりあえずここでは完全に真逆としておこう。

一般的に「運一定量説」は実業界・芸能界・スポーツ界に多く、「運量無限説」はスピ系・宗教系界隈で多い。

「運一定量説」は、けっこう色々な人が語っていて幸田露伴は「努力論」の中で「惜福」という概念を発明している。

この惜福というのは『自らに与えられた福を、取り尽くし、使い尽くしてしまわずに、天に預けておく』(wiki幸田露伴の幸福三説より)という概念で、要するにラッキーを受け過ぎず、「セーヴ」するというものである。

開運学の名著「米長邦雄の運と謎」(団鬼六著)でもNECの社長さんが色々なビジネス系の受賞が連続した年に、「今年は賞をもらいすぎてるので辞退します」と囲碁の賞を辞退したエピソードがのっている。

また、格闘家の青木真也さんが大きい大会で優勝したその試合直後に、普通は大勢引き連れて夜の街に繰り出すと思うのだが、「余ったスタッフ弁当」を1人で食べて祝った、と何かで読んで、これもまた青木さんがそう意識していたわけではないと思うが、本能的に惜福していたのだと思う。

そしてこの「運一定量説」は長期スパン型と短期スパン型がある。

長期スパン型はいわゆる偉人の生涯である。

幼い頃両親と生き別れ、パワハラ親戚に預けられ、配達などをしながら学校に通い、最初につくった工場が火事で燃えて、でもそれらを乗り越えて現在の財を築く、みたいなやつで人生の前半が苦闘しながら運を貯め、後半が成功という花を咲かせるというパターンである。

短期スパン型は冒頭のような昨日今日おこったネガティヴな出来事が明日から来週ぐらいのラッキーの種になる、というものである。

九星気学の運気のめぐりはその間の中期スパン型ととらえることもできるだろう。

さて、この「運一定量説」は東北アジア人にはとても馴染みやすいもので、元気になろう!的な爽やかさもあってよい。

だが、この「運一定量説」を日常生活のすべてにおいて、占星術で行動規範を決めるようなかたちでおこなう「運一定量説原理主義」の人たちがいて、これはこれでかなりおっかない。

以前「運一定量説原理主義」(だと思われる)著名経済評論家が「僕は駅のホームの行列ではなるべく後ろに並ぶ。なぜなら一番前に並ぶと、もしホームに落下しそうになった時、あと一歩で落っこちゃうところだったけどだいじょうぶでラッキー♪というような時に(貯まっていた)運を使ってしまうからだ」と言っていたが、これがまさに典型的な例である。

そして「運一定量説原理主義」をしっかりとした教義として広めよう、と何冊も著作をだしている人物がいる。

意外かもしれないが、欽ちゃんこと萩本欽一さんである。

「運一定量説原理主義」の教科書であり、代表作「ダメなときほど運はたまる ~だれでも「運のいい人」になれる50のヒント~ (廣済堂新書) 」はポップなさわやかさでけっこうヒットした著作だ。

本の最初は欽ちゃんがヒットするまでのストーリーでまさに長期スパン型「運一定量説」の歴史で感動する。

だが、この本のディテールがけっこうおっかない。

まず家族に運転免許をとらせない。これは欽ちゃんがあまりにテレビでヒットしているので、その(運)調整で家族に事故がおこるのを防ぐから、だそうだ。

また視聴率が落ちないようにチーム、スタッフに「くれぐれも惜福を忘れず贅沢しないように」と諭したり。

野球チームの監督になるのだが、それもバッターが打つか打たないかは運だから、その日運がよさそうなオーラを出している選手を僕が選べば勝てる、と野球チームをつくったり等。

そういう例がてんこ盛りの著作である。

ここまでくるとまさに原理主義でおっかないのだが、ちょっとネガティヴなことが続いた日には効用のある考え方であることはたしかなので、開運手助け活動として「運を貯金してますね!!」とコメントするようにしているのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?