まどか☆マギカの劇場版「叛逆の物語」感想。

本編(TV版、劇場版2編)に比べると内容の抽象度がより高まり、あのヨーロッパの貼り絵みたいな世界が大画面で大量に迫ってくる画像=絵の迫力がすごかった。
抽象度が高まった分、パラレルワールドと時間軸の交差の解釈の部分が、仏教=インド哲学的「個の主観」的なところに収斂されていき、クリアでわかりやすくなったとも言える。
キリスト教的だったエヴァに対して、真言密教的とも言えるまどマギだが、全編に渡って「能」の世界を強く感じる部分がある。死者の霊とコミュニケーションする夢幻能である。
すぐれた作品はどれでもワン&オンリーでなんでもかんでも何かの形式に似ているというのは的を得ていないし浅薄ではあるが、形式的にはほむらとまどかをシテとした夢幻能と言えなくもない。能において死者の霊をめぐるシテは主役でもあり、演出家でもあり、舞台装置でもある。ほむらとまぎかがシテとワキを行き来しているのが能に親しんだ日本人的DNAにはフィットしているのかもしれない。大きなヒットをする作品にはかならず普遍的な形式がある。エヴァにも見られる「真我一如」的テーマに加えて能的要素が日本人の深層意識を刺激しているのかもと思う。

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