久米早百合トーク&ライヴに行ってきました!

今日はなんと大田区池上にある日本基督教団大森めぐみ教会に久米早百合a.k.a.久保田早紀さんのトーク&コンサートに行ってきた!
憧れの人に会うというのはやはりプルプルと感動するものである。
ジョン・コルトレーン、ライ・クーダーとともに最も影響を受けた人のうちの1人なのでとても影響を受けた。
正確に言うと久保田早紀さんと天才アレンジャー萩田光雄先生、そしてその2人とは関係ないがルパン三世の大野雄二さんにオイラはとても影響を受けているのだ。
ご存知の方も多いと思うが、久米さんが久保田早紀として活動していたのはほぼ5年ぐらい、その後は久米早百合の名前となり、30年近くキリスト教の教義を音楽で伝える音楽伝道師、宣教師をしているのである。
八王子などの教会で伝道活動をしていたのは知っていたが、この前大森アトレでけんはもよん♪の演奏があった時控え室に行くエレベーターに久米早百合コンサートのポスターが貼ってあったのを見てこれは!と思い演奏終了後、その足で申し込んだのだった。
久米さんは大森アトレの上にあるよみうりカルチャーというカルチャーセンターでバイブルカフェというのと、みんなでゴスペルを歌おう、みたいな講座をやっているそうで今日のイベントはその大森よみうりカルチャープレゼンツでその宣伝もしっかりしつつ、久米さんは音楽で宣教をしつつ、久保田早紀時代の熱烈なファンは演奏をしっかり聴けて満足できる、というなかなか理想的なイベントだった。
話しは久保田早紀時代のころなど今までの歴史と今の宣教活動の話しだったのだが、音楽研究家のオイラとしてもピンとくる話しもあり面白かった。
『ゴスペルとか讃美歌とか聖歌というのは、日本の唱歌と似てるんですよ~』と言って「この道」とか、「ふるさと」とかをあのベースが下降したりするガチゴスペルアレンジで聴かせ、バッハのインベンションを上手にこれまたR&B風にアレンジして聴かせ、極めつけに「涙そうそう」をコテコテのゴスペルアレンジで聴かせてくれた。
なるほど。こういうアレンジで聴いて、心の中であの裏打ちの手拍子を入れると「涙そうそう」も立派なゴスペルに聴こえる。
そして『J-POPのヒット曲はみんなゴスペルの要素があるんですよ~』
そう。久米さんも言うように日本でビッグヒットになるものには、必ずこの「聖歌=ゴスペル=唱歌」が入っているのは事実である。
大友良英さんが先日のフィリピン訪問レポで「フィリピンのトラディショナルな(民族的な)音楽を聴かせてくれ」と言ったところ、フィリピンの人が演奏したのはやはり純ゴスペルだったり、アメリカのヒット曲だったので微妙な感情を持たざるを得なかったと言っていたように、普通この「日本のヒット曲は全部ゴスペル問題」というのは、明治維新時の西洋に追い付け運動で、平均律によりそれまでの日本的の音階の感情世界が駆逐され、ゴスペル的感覚にのっとられてしまった、みたいな感じで(まぁオイラのまわりの人達だけかもしれないけど)否定的な側面から語られるわけだけども、久米さんのようにガチでジーザズラヴな人にゴスペルとして歌われると、「ほんまええわ~」と(少なくともその瞬間 は)なってしまうのだ。
これはもうヨーロッパがただたんに好きで西欧にあこがれてるだけの人が欧米がいい、と言ってるのとはまるで説得力も次元も違うものなのである。
これは久米さんの宣教師としてさすが、のところもあるけれど、宗教や教義や思想の前にやっぱその思想を語る「その人」がどういう人か、という当たり前のところに帰着したりもするのかなぁと思う。
細かいことだけど、ゴスペルのピアノの伴奏には色んな手癖技があり、そのひとつにピアノの左手をストライドピアノみたいに10度で弾いて、右手のクローズドヴォイシングブロックコードをうまく響かせる、というのがあるのだが、今日久米さんもちゃんとそれをやっていて感動した。普通そのパターンは手の大きい人でなければ指が届かないのでアルペジオ的前打音でばらけるのである。その前打ぐあいがまたいい、という細かい感動もあったりした。
演奏全体としてはカルチャーセンターで久米さんと習っているというゴスペルグループと、久米さんが一緒に活動している牧師もしているというチェリストも加わり、「O happy day」や讃美歌「いつくしみ深き」などみんなが知っている色々な曲を演奏してラストはお客さんと一緒に「異邦人」を演奏。
もちろん声域とかアタックとかは久保田早紀の頃と同じではないのだが、声の持つ艶と宗教的アウラ、そしてどこか別の世界へ連れていってくれるような質感はまったく変わっていないのには驚いた。
特に「主われを愛す」という讃美歌などはオイラはクリスチャンではないのだけど、なんだかウルウルしてしまった。
この存在というか、声というかはまさにカリスマ(ラテン語の原義=神の賜物)
「音楽のでどころ」が違う、やはりモノホンなのである。
終演後は多分あるだろうと思っていた讃美歌集「天使のパン」CDサイン会。
もしなかったらと思って家から何枚か昔のCDを持って行ったのだが、まだ持ってなくてちょうど欲しかったのでうれしかった。
このCDは有名讃美歌と、相変わらずすばらしいオリジナル。演奏陣もcobaさんに金子飛鳥ストリングスに仙波清彦さん、といわゆる有名ベテラン勢勢揃いと豪華。そしてなんと言ってもギターが久保田早紀初期曲オリジナル演奏の吉川忠英!
サインをしてもらう時に前から聞きたかった質問「初期アルバムのピアノパートは久保田さんそのままの演奏ですか?それとも萩田さんのアレンジ書き譜ですか?」というのも聞けた。答えは最初のアイデアとコードを提示して、あとはハネケンさんや萩田先生がいい感じにピアノ編曲したそうである。
というわけでなんとも不思議なイベントだったのだが、この教会なんと池上本門寺のま裏に位置しているので帰りは本門寺に参詣。
このめぐみ教会と本門寺のある山は他にも池上だけで成立する池上七福神など神社仏閣がたくさんあり、さながらエルサレム状態。
やはり何かパワーがある山なのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?