お金拾イストのプライドを持って。

この前駅のホームで足元にズルリと落ちたままのスマホを放置して完全泥酔爆睡している人がいた。
するとすかさず近くにいたおじいさんがトントン、とその人の肩を叩いて起こしてあげていて、心が洗われた。
そして、この前ファミマで並んでいたら「あなたいそいでいるでしょ、私いそいでないからどうぞ」とゆずってくれたご婦人がいた。たしかにその時あと2分で電車に駆け込まなきゃいけなかったのだ。もちろん「私いそいでいるので順番変わってください!」と言ったわけではない。何かそういう「超いそいでますオーラ」をオイラが発信していたのだろう。あまりの親切さに驚くと同時にすごい感謝した。おかげで電車にも間に合った。その後すごいせまい道で自転車で信号を待っていたら、エチオピアの方が(エチオピアの方はエチオピアの方とわかる)「どうぞどうぞ」とゆずってくれた。あまりの親切さに驚くと同時にすごい感謝した。あぁオイラもこういういいことをサラリとできるようにならなきゃなぁとまたしても思うのだった。
そういうガチいい行動とは違うのだが、ここのところ、地面にビタッ!と落ちている1000円札を2回拾って交番に届けたということがあった。最初は夜、セブンの前のガチ車道にまさしくビタッ!という感じで落ちていた。車道なので、車輪の跡のデコボコがゴルフボールの表面のようにクッキリとついていた。この時はすぐ拾った。また車にお金がひかれてしまうとかわいそう!と思ったのである。
2回目は銀行のATMだった。よく街にある出張所型で何人か並んでいた。そこにまたズデ~ン!と1000円札が落ちていた。
この時はちょっと拾おうか迷った。東京砂漠では「街ではとにかく外界と関わらない方がいい」という昨今問題になっている知らんぷりムードみたいなのがあり、並んでいた人もそれで拾わないのであろう、見てみないフリをしていた。
オイラも「これもろにカメラに写るよな」というのとまわりの人は「あ、この人1000円GETしたな」と絶対思われるので躊躇したのだが、やっぱり拾うことにした。
開運業界とスピ業界では、「お金は大事にしてくれる人の所に帰ってきます♪」という土俗信仰みたいなものがあり、オイラはわりとそれを常に実践していたのだ。
なのでコンビニの自動ドアの前とか、駅の自動改札にはよく1円玉とか10円玉とか100円玉が落っこっているのだが、それをすかさず「1円落ちてました!!」と言ってレジの人や駅員さんに渡している。
いわばお金を拾って届けることに関しては、ベテランなのだ。
なので、ここで拾うと絶対まわりの人は「あ、この人1000円GETしたな」と思うという心理的障壁を乗り越えて、お金拾イストとしてのプライドを持って交番に届けた。
「あそこのATMで1000円落としちゃったんですけど~」という人があらわれるのを祈るばかりである。

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