ベネズエラの音楽教育システム「エル・システマ」

このエル・システマ、メディアで話題になったのはけっこう前で、オイラはライラのマスターもちさんから教えてもらった後、早速本を読んで&DVD鑑賞しておー!と思って日記に書こう書こうと思って書き忘れてたんだけど書き忘れていたのを思い出したので、書いてみまぁす。

すごい簡単にいうとベネズエラは1975年ごろから国をあげて音楽教育を始めるんだよね。
楽器借り代も無料、レッスン代も無料、練習施設は小さい音楽教室、スタジオから大ホールまで国の施設、というわけで、それまでストリートチルドレン化していた子供たちはみんな学校から帰ってくるなり音楽教室に行って、それまで犯罪に使っていた膨大なエネルギーを楽器の練習に費やすわけだね。
それで、野球でいうと少年野球レベル、甲子園レベル、プロ野球レベル、と色々なレベルのオーケストラがあってそれぞれ目標を持って精進する。
その中の優秀な人はヨーロッパで受賞したり、トップクラスのオーケストラに入ったりする。
この全体像、少年の更生という社会的役割を音楽が担う、とか音楽によって外貨を稼いで国際社会でのベネズエラの位置もかなりオッケー!みたいな側面とか色々な見方があると思う。
オイラ的にはこのシステムが1975年に始まったってとこが一番グっとくるんだよなぁ。
ようするに明治からうんぬんの日本も含めて他の色んな国はかなり長い時間をかけて一生懸命練習して、歴史をつくってヨーロッパに食い込んでいくんだけど、そういう国から見るとべネスエラの1975年なんて「ついこないだ」なわけで、「ついこないだ」から始まった音楽教育システムの中で中学生ぐらいから楽器始めたって少年が18才ぐらいでヨーロッパのオーケストラに入団するってわけで、これは築かれた厳格な歴史を尊びながら、厳しい師匠のもとで何年も修行して、本国の歴史を持つヨーロッパに留学してやっとなんぼ、みたいな日本のクラシック感を粉砕しちゃってるよね。
日本の場合は、京都の伝統と邦楽の伝統とか色々あって、歴史と格式とか修行とか好きだってのがあるし、それはそれで美しくて好きなんだけど、もっと大事なのは蓄積された時間とか歴史とかってのは音楽にはあんまり関係ねーんじゃねーの?というところである。やはり音楽に光があふれるのは霊感に満ちた祝祭的な空間であって、歴史と格式とか関係ないんじゃないかなと。
バッハだってリストだってカラヤンだってコルトレーンだってマイルスだって「ビビっときちゃってる」からすごいんであって古くてえらいからすごいってわけじゃないんだよね。
逆に歴史とか格式って蓄積されればされるほどビビっときてたのを消してる感はある。
その蓄積されてる歴史とか格式の方が好きって人の方がけっこう多いんだけど、だんだんそのへんそうでもないかも、と思う人が増えてきてるような気がするなぁ。

ということで、エル・システマ、さくっとウィキるとこんな感じっす。
本は濃厚でわかりやすく読み応えがあったっす。
DVDはあっさりしすぎだけど、全体像はすぐわかる感じっす。

シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ

音楽教育を通じて貧困層の子供たちの健全な成長を図るためのシステム「エル・システマ」を実践するFESNOJIVが1999年に設立。エル・システマは、元政治家で経済学者のホセ・アントニオ・アブレオ等の提唱により1975年から始まった。 エル・システマ生徒の中には元ストリートチルドレンで麻薬の密売や強盗を経験した者もいるが、こうした者を更生させたり、放課後に子どもたちを音楽に従事させることで犯罪から守る役割を果たしている。

FESNOJIVは、現在ベネズエラに200もの青少年オーケストラを運営している。その中から選抜されたメンバーで組織したのがこのオーケストラである。オーケストラのメンバーは中高生から20代後半の青少年からなる。オーケストラ名は南米北部をスペインからの独立に導いた英雄シモン・ボリバルから名付けられた。

FESNOJIVの活動ぶりは早くから欧米に伝わり、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者や楽員の耳に入り、メンバーが無料指導したり、クラウディオ・アバドやサイモン・ラトルといった歴代首席指揮者が実際に客演で指揮もするほどになっている。

オーケストラのメンバーと同様の教育を受けた新進気鋭の指揮者グスターボ・ドゥダメルが、1999年に17歳で音楽監督に就任。バンベルク交響楽団の国際指揮者コンクールに優勝もし、近年ヨーロッパの各種コンサート(2007年BBCプロムス、2008年ザルツブルク音楽祭など)に招かれ、大きな話題となっている。

レコーディングは、ドイツのグラモフォン・レーベルと専属契約を結んだドゥダメルの指揮で、ベートーヴェンの交響曲第5番・7番とマーラーの交響曲第5番がある。

本 エル・システマ:http://www.kyohyo.co.jp/publication/publication_031.htm

DVD プロミス・オブ・ミュージック:http://www.hmv.co.jp/product/detail/2787408

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