Photo by garakutax 月の形 33 河原 真宙 2023年8月1日 13:27 8月の空が遠く落ちて行く。閃光が音を置き去りにした。逃げ場所がない蝉が地面で焦げている。先走りの雨に打たれた鳥の群れが道路の真ん中で震えていた。海に雨が降る事を知らなかった。あからさまに打ち上げる花火が、真昼の夜と重なっていた。眩んだのは雷でも花火でもなく誰のせいにも出来ない台無しの暗雨。希望に夢を見る程何も知らないわけではない。絶望を与えて生き抜いて来たからには素通りしなくてはならない。真昼の夜と重ねたのは暗雨に溶けた月の果て。 ダウンロード copy #現代詩 #閃光 #暗雨 33 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート