time to throw open

水中に潜っているくじらに会えるというから、おたまについていった。
船に乗るのなら小さな赤いエンジンがついてるやつがいいなーといったら、「かもめだって船乗らないだろ」っていう。かもめとわたしたちは全然ちがうのに。

おたまは少し大きいパーカーの裾をひらひらさせながらどんどん緩やかな丘をのぼっていく。風は強く、どっしりと重い雲が空1面をおおってるけれど、視界がひらけて空気は生暖かかった。石につまずかないように、置いてかれないように、必死でおたまについていった。

#フィクション

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?