新型コロナクォータリーリポート 11/5
初めに
第4四半期に入って5週間が経った。第4四半期の暫定の陽性件数などの順位を紹介したいと思う。その前に最新の感染状況を示す。下の地図は21年44週(10月30日〜11月5日)の人口100万人あたりの1日の平均陽性件数である。
色の濃いところほど陽性件数が多くなっている。ヨーロッパで特に濃いところが多い。地図からは分かりづらいが、先週取り上げたカリブ海も濃いところが多い。世界平均は55.9件である。最大はカリブ海にあるケイマン諸島で2109.9件である。人口100万人あたりの1日の平均陽性件数が100件以上1000件未満が74国地域ある。このうち、1000件を超える国地域はケイマン諸島の他に、フェロー諸島、エストニア、スロベニア、アンギラ、バルバドス、ジョージア、ラトビアと計8国地域ある。いずれもヨーロッパとカリブ海である。100件以上74国地域のうちヨーロッパ東西が44、カリブ海が12と多数である。また、100未満ではあるが、チリ(96.7)、レバノン(93.3)、ポルトガル(89.5)は4期に入ってから陽性件数が増加傾向になっており、1、2週間後には100件以上になる可能性がある。
A. 21年4期は3期よりもペースが落ちたが、20年4期とは同じくらい
21年4期の世界の陽性件数は1475万5214件で、これは21年3期に比べ、25%ほど減少している。昨年同期の20年4期に比べれば1%の減少である。下のグラフは、21年下半期(7月3日〜、青色)と20年下半期(7月2日〜、橙色)の陽性件数の時系列グラフである。
21年は3期にアジア東を中心とした感染爆発があり、8月末にピークを迎えた。ピーク後は順調に陽性件数を減らし、10月半ばには昨年同期の陽性件数よりも少なくなった。しかし同時に減少が止まり、今は再び増加が始まった。それに対し、20年は3期に多少上下はあるものの、緩やかに増加していたが、4期に入って急増した。11月半ばに陽性件数の増加が一旦止まったが、12月にまた増加した。世界中でクリスマスパーティーや忘年会など会食の機会が増えたことが原因であると考えられる。実際、多くが年末の長期休暇をとる頃に再び減少し、休み明けに急増した。21年も同じような形になる可能性が高い。むしろ、ワクチン完了率が高まり、マスクをしない人が増えると予想されるので、陽性件数はさらに高まる可能性がある。
21年4期の世界の死者数は24万7903件で、これは21年3期に比べ、20%ほど減少している。昨年同期の20年4期に比べれば12.9%の増加である。下のグラフは、21年下半期(7月3日〜、青色)のと20年下半期(7月2日〜、橙色)死者数の時系列グラフである。
21年の3期の波は8月末にピークを迎えた。ピーク後は順調に死者数を減らし、10月半ばに上昇傾向になった。今週はわずかではあるが減少に転じたので、グローバルには減少が止まった状態であるといえる。それに対し、20年の3期は陽性件数とは逆に死者数は緩やかに減少していた。しかし、4期に入って急増し、年末のクリスマス直前まで増加が続いた。陽性件数同様、長期休暇の頃に減少し、休み明けに急増した。21年4期は死者数の減り具合が陽性件数の減り具合よりも大きく、致死率が3期に比べ0.1ポイント増え、1.7%となった。特にヨーロッパで致死率が上昇している。このままのペースでいけば、4期の死者数は3期を上回る可能性もある。
21年4期の世界のワクチン接種回数は9億3566万回で、3期よりも22.3%減少した。人口100万人あたりの1日平均の接種回数は3388回である。11月5日までの完了率は39.4%である。接種回数の数値はアメリカ中部時間の11月6日午後10時に得られた最新のものを使っているが、国地域によっては11月5日の数ではなく、4日や3日、あるいは10月30日のものしか発表していないところもある。実際の完了率は40%を超えていると考えられる。
44週からアルバニア、オーストラリア、バミューダ、ロシアでブースター開始され、ブースターを実施している国地域は44となった。実はオーストラリアは10月7日から、ロシアは9月24日からブースターを始めていたが、44週に初めて報告された。世界の4期のブースター回数は約5300万回で、アフリカ全部の4期の接種回数よりも多い。アフリカでもチュニジアではブースターを実施している。
B. 陽性件数トップ30の顔ぶれはアジアとヨーロッパが中心
下の表は4期の陽性件数のトップ30国の陽性件数、死者数などの一覧である。
下の表は4期の陽性件数のトップ30国のワクチン接種数などの一覧である。
ここでは4期の陽性件数のトップ5につして、現状を紹介する。
B1. アメリカ
陽性件数1位はアメリカで、4期だけで280万件を超え、2位イギリスの2倍以上もある。3期よりは26.9%減らしたが、昨年の4期よりは11%増やしている。人口100万人あたりの陽性件数は240.3件で、世界平均の4倍以上である。死者数は5万5689人でこちらも世界1位である。3期より48.3%、昨年4期よりも92%増やしている。人口100万人あたりの死者数は4.8人で、世界平均の5倍異常となっている。致死率は2%で。3期の倍以上になり、世界平均よりも高くなった。致死力の強い変異株が出現した可能性も考えられる。ただし、現在は陽性件数も死者数も減少傾向である。
接種回数は約3425万回で、3期からは37%増え、世界7位である。このうちブースターが約1787万回と半分以上を占める。ブースターの回数は世界1位である。人口100万人あたりの接種回数は2933.8回で、世界平均の3388.2回以下である。完了率は57.55%である。32週(8/7-13)に完了率が50%を超えてから、完了率があまり伸びていない。ワクチン接種証明がないと、外食や公共施設の利用ができないなどのワクチン差別をおこなっている。11月から、従業員が100人を超える民間企業には、従業員のワクチン接種か毎週の検査を義務付け、5歳から11歳の子供にもファイザー製ワクチンの接種が開始された。
下のグラフはアメリカの接種回数(赤)と陽性件数(青)の時系列グラフである。
21年2期(4月)以降、接種回数が増えると陽性件数が増加し、接種回数が減ると陽性件数も減るという構造になっている。ここ2、3週間は接種回数が急増している。陽性件数は減少が止まった。11月以降は増加する可能性もある。
B2. イギリス
Worldometer では2位はインドの指定席であるが、4期に限定すればインドは6位に落ちる。代わって2位になったのがイギリスである。陽性件数は約1400万件で、3期よりは21.7%減らしているが、昨年の4期よりは112.9%増やしている。人口100万人あたりの陽性件数は584.8件で、1位のアメリカの倍以上になっている。
一方、死者数は4799人でアメリカの10分の1以下である。3期より45.0%増えているが、昨年4期よりは22.7%減らしている。人口100万人あたりの死者数は2.0人で平均より高めである。致死率は0.3%で、3期よりも僅かに増えたが、世界平均よりもかなり低い水準である。アメリカとは対照的に致死力の弱い株が猛威を奮っていると考えられる。現在は陽性件数は増加が止まったと考えられる。死者数はまだ増加中だが、近いうちに減少傾向になると予想される。
4期の接種回数は約1153万回で、世界17位に当たる。3期より93%増加した。人口100万人あたりの接種回数は4819回、完了率は66.98%と平均よりは高い。接種回数のうち72%に当たる832万回がブースターである。ブースター回数はアメリカ、ブラジルに次いで3位である。
下のグラフは接種回数(赤)と陽性件数(青)の時系列グラフである。
21年6月以降接種回数を減らしていたが、ブースターの本格化で、10月に入って回数が急激に増えた。その間陽性件数は7月半ばのピーク以降に2度大幅に減少させたが、すぐに元に戻ってしまう。10月以降も減少傾向になったが、減少のペースが過去2回よりも緩やかになっている。イギリスは、アメリカと違って特に対策をしないようなので、アメリカとは逆に減少が続くかもしれない。
B3. ロシア
3位はロシアで、陽性件数は約1180万件で、3期よりは55.3%、昨年の4期より約120%増やしている。人口100万人あたりの陽性件数は230.7件で、アメリカと同じくらいである。死者数は3万6305人でアメリカに次いで2位である。3期より32%増えている。昨年4期と比べれば312%増、つまり、死者数が4倍になった。人口100万人あたりの死者数は7.1人で世界21位である。致死率は3.1%とかなり高い。しかし、これでも3期より致死率を0.55ポイント減らしている。現在は陽性件数、死者数共に増加中であるが、陽性件数の増加率が低くなってきている。これは、増加のペースが鈍ってきたということで、12月頃には陽性件数が減少すると予想される。死者数も21年内には減少に転じると考えられる。
4期の接種回数は約1782万回で、世界13位に当たる。3期より5%減少した。人口100万人あたりの接種回数は3486回で平均並み、完了率は33.8%は3期からは4.8ポイント増やしたが、平均よりは低い。接種回数のうち7%に当たる122万回がブースターである。
下のグラフは接種回数(赤)と陽性件数(青)の時系列グラフである。
接種回数の上下が激しいので移動平均で表しているが、アメリカ同様に接種回数が増えると陽性件数が増加し、接種回数が減ると陽性件数も減るという構造になっている。
ここまでが21年4期陽性件数100万件以上である。全てブースター実施国であるがブースターを開始した時期が、Github 明らかになった時期よりもはるかに早いところばかりである。
B4. トルコ
4位はトルコで、陽性件数は99万5958件である。これは11月5日集計分までであるが、11月6日を含めれば、100万件を超える。3期よりも48%増え、昨年4期からは5倍増である。人口100万人あたりの陽性件数は332.6件で、イギリスよりは少ないがアメリカよりは多い。死者数は7460人で世界8位である。3期より32%増え、昨年4期からは3倍増である。人口100万人あたりの死者数は2.5人で平均よりもかなり高い。しかし、致死率は0.7%と世界平均の半分以下である。現在は陽性件数は増加がようやくストップした状態であるが、減少傾向というわけではない。死者数は増加中である。
4期の接種回数は約730万回で、世界26位である。3期より67%減少した。人口100万人あたりの接種回数は2437.9回、完了率は3期から5ポイント増え、57.40%となった。接種回数のうち18%に当たる130万回がブースターである。ブースター回数は世界10位になる。
下のグラフは接種回数(赤)と陽性件数(青)の時系列グラフである。
21年3期はかなり高いワクチン接種回数を維持していたが4期に入って接種回数一気に減らした。8月末からブースターを実施しているが接種回数は少なくなる一方。その間、陽性件数は増加傾向である。平均増加率は7%ほどでそれほど高くはない。10月半ばから減少し始めたが2週間しか続かなかった。今は増加が止まった状態であるといえる。
B5. ウクライナ
5位はウクライナである。過去にトップ20に入ったことはあるがトップ5は初めてである。4期の陽性件数は59万7538件と上位4カ国に比べかなり下がる。しかし、3期よりも681%増となった。4期の陽性件数が3期の8倍弱となった。昨年4期からは168.5%増である。人口100万人あたりの陽性件数は393.6件であった。死者数は1万4396人で世界3位である。3期より831%増、昨年4期からも273%増である。人口100万人あたりの死者数は9.5人で、これは世界14位になる。致死率は2.4%と世界平均より高く、3期より0.4ポイント増えた。陽性件数は16週連続、死者数は15週連続で増加し続けている。この間の陽性件数の毎週の平均増加率は27.5%、死者数は26.9%である。増加率はまだまだ高いままで、ピークをいつ迎えるのかわからない。
4期の接種回数は約625万回で、世界30位である。3期より61%増加した。人口100万人あたりの接種回数は4117回で平均より少し多い。完了率は3期から5ポイント増え、18.16%と非常に低い。ブースターはまだ実施していない。
下のグラフは接種回数(赤)と陽性件数(青)の時系列グラフである。
21年3期前半はワクチン接種回数を順調に伸ばしていた。この間は陽性件数も数千人台であった。3期後半からは接種回数が徐々に減少した。そうなると陽性件数は急増し始めた。4期になって。接種回数を急増させたが、陽性件数の増加はまだまだ続いている。
B6. ヨーロッパで感染拡大中
6位以下で特徴的なところはヨーロッパ、東西両方である。トップ30には、イギリス、ロシアに加えて、ドイツ、ルーマニア、セルビア+コソボ、フランス、オランダ、ポーランド、ベルギー、ジョージア、ブルガリア、オーストリア、イタリア、ギリシャ、チェコ、スロバキア、リトアニアとヨーロッパ勢が17国と半分以上を占める。3期からの伸び率はフランスとイタリア以外は28.7%から1443%となっている。全体的に東の方が伸び率が高い。しかし、フランスとイタリアも最新の陽性件数は増加傾向を示している。死者数はフランスとジョージア以外で5%から1227%の増加である。しかし、フランスとジョージアも最新の死者数は増加傾向を示している。トップ30にランクされなくてもヨーロッパの国々では陽性件数、死者数が増加している。陽性件数、死者数ともに東の方が増加率は大きいが、致死率は東で大きく減少しているが西では少し上昇した。Worldometer ではコソボの陽性件数と死者数はセルビアの統計に含まれているので。ここではセルビアとコソボを合わせたものをランキングの対象にしている。しかし、陽性件数などが増加しているのはセルビアの方で、コソボの陽性件数と死者数は減少中である。
次に、アジア東は昨年4期からの陽性件数の伸び率が大きいことが挙げられる。特に、タイ、ベトナムは13万%以上と極めて大きい。死者数の伸び率はタイが約27万%になる、ベトナムは昨年4期の死者数は0だったので、伸び率は無限大である。陽性件数の昨年4期からの伸び率が10万%以上の国地域は無限大を除いて6あるが、そのうち5つがアジア東である。最大はトップ30にランクされてはいなラオスで約200万%である。昨年4期の陽性件数はわずかに1件であったが、今年はすでに2万件以上が確認されている。ラオスの死者数の伸び率はベトナム同様無限大である。しかし、アジア東では、シンガポール、ラオス、ブルネイ、韓国以外は3期からの伸び率はマイナスである。ブルネイは減少傾向、シンガポールでは44週は大幅なマイナスとなった。
C. 日本の感染爆発は外国からのウイルス持ち込みが原因。
下の表はアジア東の21年4期の陽性件数、死者数などの一覧である。21年4期の陽性件数の順に並べてある。
下の表はアジア東の21年4期の接種回数などの一覧である
C1. 4期の日本の陽性件数は3期に比べ93.6%減
日本の4期の陽性件数は2万2227件で68位であった。アジア東18カ国中9位である。世界順位は3期の17位から52位も下げた。陽性件数は93.6%減となり、この下げ率は世界22位である。陽性件数が1000件を超えている国の中では7位である。しかし、昨年4期からは8.1%増である。人口100万人あたりの陽性件数は5.0件でアフリカ並みの少なさである。死者数は648人で、3期より40.8%減であるが、昨年4期からは184.2%増である。人口100万人あたりの死者数は0.1人である。陽性件数は8週連続減少のあと1週だけ増加したが、翌週は減少している。死者数は7週連続で減少している。陽性件数は平均減少率が37%であるが、死者数は25%と小さくなっている。これは相対的に死者数が増えたのと同じことである。実際、致死率は2.9%と世界平均よりかなり高く、3期より2.6ポイント増えた。
4期の接種回数は約2620万回で、世界10位である。3期より43%減少した。人口100万人あたりの接種回数は5939回で平均より少し多い。完了率は3期から13.4ポイント増え、73.48%と西欧並みになった。ブースターはまだ実施していない。下のグラフは接種回数(赤)と陽性件数(青)の時系列グラフである。
21年3期の初めにワクチン接種回数が激減したことがあった。この時から陽性件数が上昇に転じた(第5波)。接種回数を増やしても減らしても上昇は続いた。陽性件数が8月末にピークを迎えると、今度は接種回数を減らしても陽性件数は下がるばかりである。
C2.水際対策が強化されると感染が減る
日本での陽性件数が急速に減少した理由がいろいろ言われているが、その一つに日本以外からのウイルス持ち込みが減少したことが挙げられる。下のグラフは、空港検疫で確認された陽性件数である。
日本国籍と外国籍を合わせた陽性件数が20年4月、7月、12月、21年4月、6〜7月に極大になっている。各極大時に波が発生しており、空港検疫での陽性件数の増減は日本の感染の波とシンクロしている。20年11月に発生した第3波では1月半ばから陽性件数が急速に減少したが、この頃、入国者の陽性件数も激減している。21年10月のデータはまだ発表されていないが、大きく減少していると考えられる。
実は、PCR検査で陰性というのは、体内にあるウイルスの数が十分ではない、という意味で、感染していないという証明にはならない。新型コロナでは、ウイルスがPCR検査で陽性になるくらいに十分な数に増えるまでには、感染してから1〜2日かかる。発症するほどに十分な量に増えるには通常5日かかる。感染してから3〜10日の間が最も人に感染させやすい時期である。発症する前(潜伏期間)でも感染する。ワクチンを接種した人は体内のウイルスの数の増え方が鈍くなり、感染させやすい期間も短くなることはわかっている。しかし、各地の感染状況から、発症するほどには増えないが、人に感染させることのできる程度の数には増えると考えられる。また、WHOは常に変異株の動向に目を光らせ、日本政府は変異株が流行していると思われる国地域からの入国を制限していることから、既存のワクチンが新しい変異株には効果がない、つまり、屁にい株に対しては接種していない状態と変わりないと考えられる。
現在日本に入国する時には、到着前3日以内のPCR検査陰性証明、ワクチン接種(完了)証明が必要である。到着後すぐに検査を受け、検査結果に関わらず、14日間は指定する場所での14日間の待機が必要である。ただし、新型コロナウイルス変異株流行国・地域からの入国者は検疫所の隔離施設で入国後3日または6日の待機をして、検査を1または2回行う。検査結果が陰性ならば、隔離施設を出て、残りの11日または9日を指定された場所で待機する。空港または隔離施設を出てからも、常に健康情報や位置情報を報告するルールになっている。
新型コロナの特性から、到着前3日以内のPCR検査で陰性かつ空港検査で陰性でも、街中へ出たら陽性になるケースも考えらる。例えば、航空機内で感染した場合、空港検査時点では感染1日目以内なので、検査ではほぼ100%陰性になる。しかも症状はない。入国後2〜3日で他人に感染させるには十分なウイルス数になる。この時点でも無症状である。彼らが自由に行動すれば、結果がどうなるかは目に見えている。それゆえ、ワクチン完了の有無、検査の結果に関わらず、入国後10〜14日間隔離をするというルールができたのである。なので、ワクチン接種者が検査陰性で見た目問題なさそうだからといって、彼らに自由行動を許すのは大間違いなのである。
空港検査で陰性になった者の中での無症状の感染者がいる可能性は、ウイルス数の推移から空港検査で陽性になった者の数の6割程度いると推測できる。300人が空港検査で陽性になったとしたら、約200人が陰性で無症状の感染者である。ワクチンが定着した21年2期以降はもっと多いと思われる。実際、昨年7月に国際的な人の往来再開に向けた段階的措置の一環として、特定の国からの入国に際して、陰性証明があれば、空港検査省略、自主隔離不要、公共交通機関利用可能ということにした。10月に韓国、11月に中国に対してこの措置を実施した、入国者が急増した。結果が昨年11月に始まった第3波につながった。この措置は21年1月に停止された。すると、あっという間に第3波は収まった。今回の第5波でも、水際対策の抜本的強化を実施した途端に収束した。
今の日本は減少が下げ止まりになった感はあるが、陽性件数はピーク時に比べ90%以上減少した。緊急事態宣言も終わり、規制緩和を訴える声が多い。メディアは外国人留学生や技能労働者が入国できないことの不便さなどを主に彼らの人権に絡めて訴えているが、日本に暮らす人々が新型コロナに恐れずに生活する権利を蔑ろにしている。先週のカリブ海の例からも分かるように、特にワクチン接種者に入国後直ちに自由行動を認めている国で感染爆発が起きている。
11月5日から一部規制緩和が実施された。海外安全ホームページ(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2021C138.html)によれば、アルバニア、ギリシャ、ジョージア、デンマーク、チリ、ベルギー、ポルトガルなど27の国地域からのワクチンを完了した入国者帰国者に対して検疫所での待機時間を0にし、入国後3日目の検査を省略した。10日間の指定場所での待機は継続されるので、この緩和はおそらく問題ないと考えられる。しかし、リストされた国うちいくつかは陽性件数が増加中である。
また、22カ国を「水際対策上特に対応すべき変異株に対する指定国・地域」又は「水際対策上特に対応すべき変異株以外の新型コロナウイルスに対する指定国・地域」に指定して、入国を制限している。しかしこの中に、ポーランドやチェコなどの東ヨーロッパで、陽性件数が急増している国はほとんど含まれていない。