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新型コロナクォータリーリポート 1/21

1/7 号が遅くなり、1/14 の統計処理がすっかり遅れてしまったので、1/21 の分と合わせて報告する。まずは、22年3週(1/15-21)の陽性件数の前週比伸び率の地図から。

茶色が前週比1000%以上増加、赤が100%以上1000%未満増加、橙が100%未満増加、黄色が10%未満減少、緑が10%以上50%未満減少、青が50%以上減少、白は陽性件数0を継続している地域である。

22年1週の同地図と比べると、ロシアなどヨーロッパ東やイランやアフガニスタンで減少を表す緑色や青色から、増加を表す橙色に変わった。逆にアメリカ、カナダ、中国は橙色から青色に変わった。アルゼンチンとボリビアも赤から緑に変わり、ブラジルやメキシコなども赤から橙色になった(伸び率が下がった)。アフリカ大陸では南部にだけでなく、中央部でも青や緑の陽性件数が減少しているところが増え、代わって北部で赤や橙の陽性件数が増加したところが増えた。

大陸別ににると、まず、アフリカ南ではマダガスカルとレユニオンを除いて全てで減少となった。東はエジプト、スーダン、リビアを除いて、西はモロッコ、ガンビア、チュニジア、アルジェリア、カメルーンを除いて全てて減少となった。チュニジアとアルジェリアは100%増、カメルーンは1000%増となった。アフリカ南のタンザニアと東のソマリア地図上では茶色となっているが、これは、22年2週の陽性件数が0だったためである。今週分が過去2週間分を含んでいると考えれば、実際は、タンザニアでは30%ほど、ソマリアでは90%以上の減少と推定される。

アメリカ北では、アメリカとカナダなどで陽性件数が減少になったが、それ以外、つまり中米、では増加が続いている。しかし伸び率は下がっている。メキシコなど北へ行くほど伸び率の低下が大きい。アメリカ南では、アルゼンチン、ボリビアなど4国地域で増加が止まった。他の国で増加が続いているが伸び率は下がった。地図からは分かりにくいが、カリブ海ではシントマルテン、キュラソーなど1ヶ月ほど続いた陽性件数の増加が止まった国が多い。キューバやハイチ27国地域中8国地域で増加したが、伸び率は下がっている。トリニダードトバゴはここ数週間上下を繰り返しているが、平均をとると増加が続いている。

ヨーロッパ西では、22年2~3週でイギリス、スペイン、イタリア、ギリシャなど11国地域で減少になった。まだ増加している国では、フランスやオランダなど伸び率は下がったが、ドイツ、ポルトガル、ノルウェー、デンマーク、リヒテンシュタインで伸び率が上がった。ヨーロッパ東ではモンテネグロを除いて全ての国で陽性件数が増加となった。クロアチア、セルビアなど、旧ユーゴスラビア地域では伸び率は下がったが、その他の国では伸び率も上がった。

アジア東では韓国で今週は増加になった。日本やインドネシアなど6国で増加が続いている。日本とフィリピンは伸び率が下がったが、シンガポール、マレーシア、インドネシアでは伸び率が100%を超えた。アジア中ではミャンマー以外で陽性件数が増加した。伸び率100%以上のところもバングラデシュなど9国あるが、アフガニスタンとパキスタンを除いて、減少した。アジア西ではカタール、レバノン、トルコで減少したが、それ以外の国では増加となった。イスラエルやサウジアラビア、イラクでは伸び率が下がったが、イランなどでは伸び率が上がった。

オセアニアでは、オーストラリアで、増加が続いていたのが止まった。しかし、ソロモン諸島、パラオ、マーシャル諸島、サモアなど今まで感染とはほぼ無縁であったところで突然多数の感染者が確認された。

世界全体の伸び率は下がっているが、陽性件数は増えている。今後は、ロシアを中心としたヨーロッパ東や中央アジアと東南アジア、オセアニアで感染拡大が続くと考えられる。

A. 拡大のペースは昨年の4.7倍

世界全体では22年3週に2266万5459件の陽性件数が確認された。6週間連続で増加が続いている。過去最高の更新も4週間連続となった。今週の伸び率は10.4%と下がった。22年の陽性件数は5789万6758件となった。これは21年4期の4.7倍のペースである。2020年からの累計では約3億4700万件となった。世界で4.4%が新型コロナに感染したことがある計算になる。

日本など54国地域で1週間の陽性件数が過去最高となった。ヨーロッパ東ではハンガリーやブルガリアなど12国で、ヨーロッパ西もフランスなど17国と特に多い。22年2週は76国地域で過去最高を記録した。41国地域で2週連続で過去最高を行使した。イスラエル、フランス、ポルトガルなど15国は昨年末からずっと過去最高を更新中である。

アメリカ、スペイン、イタリア、インド、フランス、ブラジル、オーストラリア、アルゼンチンなど101の国地域ですでに昨年4期の陽性件数を超えた。オーストラリア、ソロモン諸島、パラオ、サモア、マーシャル諸島、フェロー諸島、モンセラート、サンマルタン、シントマルテンでは2021年全体の陽性件数をわずか3週間で超えた。オセアニアは昨年の20倍、アジア中、アメリカ南で昨年の10倍以上のペースで増えている。下の地図で22年3週までの陽性件数が21年4期の陽性件数を超えたところは赤に、21年全体の陽性件数を超えたところは茶色に塗った。


バチカンで65週間ぶり、マーシャル諸島で60週間ぶり、サモアで48週間ぶりに感染者が確認された。連続減少もイランでは21週、イラクやカザフでは20週で終わったなど、12国地域で6週以上続いた陽性件数の減少が止まった。減少あるいは伸び率が上がった国はヨーロッパ東とアジア中、アジア西に多い。

一方、ボリビアの16週連続増加、イタリアとスペインの13週連続増加が止まるなど、16国地域で6週以上続いた陽性件数の増加が止まった。陽性件数が減少した国も105カ国と22年1週に比べ倍増した。陽性件数の伸び率が100%以上となったところも、85国地域から、33国地域へと大幅に減少した。にも関わらず、世界の陽性件数は相変わらず増えている。これは一部の元々陽性件数の多かった国でさらに多くの陽性件数が確認されたことに他ならない。

A1. 陽性件数トップ20国

次の表は22年の陽性件数の多い20国の陽性件数や死者数などの指標である。22 1Q が22年1期の、22W3 が22年3週のデータを表す。

22年の陽性件数が21年4期の陽性件数を超えた国には、陽性件数の前の列に「1」と書いてある。また22年の順位で赤字になっているところは前週より上昇したところ、青字のところは前週より下がったところである。死者数の順位も同様である。

日本は22年の陽性件数が28万4206件で29位である。22年1週は71位、2週は42位なので、大幅に順位を上げている。特に22年3週は20万8521件で22位である。伸び率は218.5%で14位であるが、22年の陽性件数が10万件を超えた52国の中では最も高い。来週はもっと順位を上げるだろう。

A2. 22年3週陽性件数トップ20国

1位から4位までは22年の陽性件数の順位と同じである。ヨーロッパ西が多いが、アメリカ南も多い。

A3. 22年3週陽性件数伸び率トップ20国

タンザニア、ソマリア、タジキスタンは前週の陽性件数が0だったので、伸び率は無限大となる。しかし、今週の数字が前週の分も含んでいると考えて、平均を取れば、むしろ減少している。アフリカ全体の減少傾向とあっている。

無限大を除くと一番大きいのはソロモン諸島で1万4300%増である。ソロモン諸島では21年52週に37週間ぶりの陽性患者をだした。22年1週は0件、2週は1件であったが、3週に一気に143件確認された。アジア中の国地域がが特に多い。オセアニアがそれに注いでいる。

B. いつまで増加が続くのか

B1. 世界全体ではまだまだ増え続ける


次のグラフは、世界の21年4期から22年3週までの陽性件数の時系列グラフ(濃い青)を、昨年同期(青)と比較したものである。

21年も20年も4期(10/1-12/31)は下に凸か上に凸かの違いあるが増加傾向であった。20年は50週目以降一旦減少になり、52週目から再び増加に転じ21年2週目でピークとなった。一方21年は51週目に伸び率が23%に増え、52週目と22年1週目は、伸び率が60%を超えた。3週目は伸び率が10%と低くなった。

すでに記してきたように、世界全体では伸び率が下がっている。しかし、ヨーロッパ東、アジア西~中で伸び率だけでなく陽性件数も大きく伸ばしているので、来週以降の増加は続く可能性が高い。

B2. トップ18は減少中がこれから減少になる

次のグラフ行列は、22年の陽性件数上位18国の、21年4期から22年3週までの陽性件数の時系列グラフを、昨年同期と比較したものである。

赤の点線は21年の陽性件数が急上昇(伸び率25%以上)を始めた時である。いずれの国も2021年は49週から52週にかけて、要請件数が急増している。ここで急増とは前週比で25%以上の増加があり、数週間増加率25%以上を続けている状態を指す。トルコ、ブラジル、メキシコは陽性件数が減少を続けていたが、急増となった。ドイツ、オランダ、ベルギーは4期半ばまで長く続いた続いた連続増加が終わ利、これから減少が続くと思いきや、一転、急増となった、フランスやイタリアはじわじわと増加が続いていたが、一気に急増した。カナダ、アメリカ、イタリア、アルゼンチン、スペイン、フランス、ポルトガル、メキシコ、インド、イスラエルでは急増が始まるまでは、21年の陽性件数は20年よりも少なく、半分以下だったこともあった。

グラフ行列は急増し始めた週の順に並んでいる。

1行目のカナダ、イギリスは49週から急増が始まり、22年1週でピークとなった。ギリシャは51週から急増が始まったが、22年1週でピークとなった。2~3行目はアメリカ、イタリア、オーストラリアが50週から、アルゼンチンとトルコが51週から、スペインが49週から急増が始まった。いずれも22年2週にピークとなった。

4~6行目はまだピークになっていないところである。ポルトガルが50週から、フランス、ベルギーブラジルが51週から、インド、イスラエル、メキシコ、ドイツ、オランダは52週から急増が始まった。1~3行目のグラフから、急増が始まってから4週前後でピークに達する国が多いことがわかる。したがって、急増が始まってから5週経ったポルトガル、4週経ったフランス、ベルギー、ブラジルは今週あるいは来週(22年4週)にピークになると推測される。インド、イスラエル、メキシコ、ドイツ、オランダは急増から3週間しか経っていないので、22年4週は過去最大の増加率となる恐れもある。ピークまでは2週はかかると思われる。

B3. 日本はあと2〜3週間増え続ける

上のグラフは、日本の21年4期から22年3週までの陽性件数の時系列グラフ(濃い青)を、昨年同期(青)と比較したものである。日本はトップ20の各国とほぼ同じような変化をしている。しかし22年の1週から急増となった。2月2~3週あたりにピークが訪れると思われる。また、過去最高を記録も続くものと思われる。

C. オミクロン株の致死率が低いのは本当か


22年3週はは世界全体で5万5593人が亡くなった。前週比10.9%の増加である。2週連続増加であるが、伸び率は先週よりは少し下がった。これで、22年に入ってからの死者数は14万7943人となった。これは21年4期とほぼ同じペースである。陽性件数のペースに比べると格段に低く、22年の致死率も0.3%に下がった。2020年からの累計では約560万人となった。累計の致死率は1.6%である。

次の地図は22年3週(1/15-21)の死者数の前週比伸び率を表している。色分けは陽性件数と同じである。

129の国地域で22年2週より死者数が増加した。11国地域で伸び率が無限大となった。多くは前週の死者数が0人のところ、今週は一人あるいは二人の死者が出たというところであるが、タンザニアは13人、コンゴ民主は53人と結構多い。伸び率が100%以上の国は35国あった。200%以上はアジア、アフリカに多く、100~200%はアメリカ北南に多い。

台湾やニュージランドなど11国地域で今週の死者が0になった。アフリカ南のジンバブエ、レソト、エスワティニでは50%以上の減少となった。

ベナンとリベリアでは12週間、シントマルテンでは11週間続いた死者数0の記録が途絶えた。イラクとグアテマラでは11週間連続で死者数が減少していたが、イラクは今週、グアテマラは先週それが途切れた。22年2~3週と連続で増加したところは80国地域ある。イタリアは13週連続で死者数が増加しているだけでなく、22年は21年よりも伸び率が大きくなっている。22年2週はオーストラリアで死者数の過去最高を更新した。3週はオーストラリアで再度過去最高を更新したほか、ギリシャでも過去最高となった。またカナダは過去最高に近い。

珍しいところでは、ニカラグアでは5週連続で死者数が1人である。実はニカラグアでは20年41週から21年23週まで35週間連続で死者数1人という記録を持っている。死者数0が長期間続くのは珍しくないが、0でない数字が続くのはあまりない。3週連続はたまにある。先週はイエメンで3週連続死者数2人、今週はウクライナが3週連続で死者数107人、サウジアラビアが3週連続で13人となった。

イランでは陽性件数の減少は21で止まったが、死者数の減少は連続28週まで伸びた。それでもまだ1週間に146人の死者がある。ウクライナとアルメニアも死者数減少が10週連続に伸びた。

この色分けは22年1週の陽性件数増加率とよく似ている。22年2〜3週に陽性件数が増えたので、死者数もそれくらい増える可能性がある。

103の国と地域で22年死者数の増加のペースが21年4期を上回った。その内、67国地域で2倍以上になった。ペースが最も高いのは中央アフリカの34.4倍である。しかし22年の死者数は8人で少ない。22年死者数が100人以上のところは86国地域あるが、ナミビアが9.5倍で最もペースが高い。

死者数のペースが5倍以上になったところは20国地域あるが、そのうち12国地域がアフリカである。

日本は22年の死者数は76人の94位である。しかし、22年3週は55人の死者を出し、その伸び率は243.8%で20位であるが、22年の陽性件数が10万件を超えた52国の中では最も高い。また死者数の伸び率が陽性件数の伸び率を上回った。

C1. 死者数トップ20国

次の表は22年の死者数の多い20国の陽性件数や死者数などの指標である。22年の死者数の順に並べてある。

陽性件数1位のアメリカが死者数でも1位である。死者数増加ペースは21年4期に比べ1.4倍と高くなっている。陽性件数で23位のロシアが死者数では2位になる。ところが人口100万人あたりではアメリカとよりも若干低く、21年4期に比べ0.7倍とペースが落ちている。実際、8週連続で減少中である。ポーランド、ベトナム、ウクライナ、南アフリカ、コロンビア、フィリピンが陽性件数では20位以下であるが死者数では20位以内となっている。

C2. 22年3週死者数トップ20国

ほぼ22年の死者数の順位と同じである。これは3週に死者数が急増した国が多いことを意味する。

C3. 22年3週死者数伸び率トップ20国

D. 致死率は下がっても死者数は増えるパラドックス

次のグラフ行列は、死者数トップ18の 21年40週から22年3週までの感染図である。青の折れ線グラフが陽性件数を、緑の棒グラフが死者数を表す。( )内の数字はその国の22年死者数順位を表す


昨年までは、死者数のスケールを陽性件数のスケールの20分の1に設定していたが、今年は200分の1にした。これは、オミクロン株による陽性件数の伸びがあまりに大きく、20分の1のままでは、死者数の棒グラフがほぼ0になって、グラフの形を視覚的に捉えることができなくなったためである。グラフは右にいくほど、陽性件数の急増の始まりが遅くなるように並べている。

D1. 死者数の割合で3種類に分かれる。

まず、イギリス、イタリアなど、ヨーロッパ西では、死者数のグラフがいつも陽性件数のグラフの下にいる。死者数は陽性件数の200分の1以下となるので、致死率は0.5%未満になる。次に、ロシアやポーランドなどのヨーロッパ東では、死者数のグラフがいつも陽性件数のグラフのはるか上にいるので致死率が高いことがわかる。実際、ポーランドとウクライナの致死率は2%、ロシアは3.3%である。それ以外の地域では、21年48週から52週を境に、陽性件数のグラフが死者数のグラフを上まっている。たとえばアメリカは、51週までは陽性件数は死者数のグラフの下にいたが、52週からは死者数のグラフの上にいる。

ヨーロッパ東はヨーロッパ西やその他の地域で始まったオミクロン株による感染急拡大がまだhじまっていない。ポーランドなどヨーロッパ西と接する国では始まったばかりである。したがって、これから陽性件数が爆発的に増えると予想され、グラフの方が、アメリカ型になると思われる。

D2. オミクロン株での死者数増加についての二つの指標

グラフの中に描かれた赤の点線は、陽性件数、あるいは、死者数が急増を始めた週である。オミクロン株由来の地である南アフリカが46週以降から急増となり、最も早い。多くの国では49~52週から陽性件数の急増が始まっている。死者数の方の急増は陽性件数が急増になってから、1~3週間後に、死者数が急増を始めている。

オミクロン株による陽性件数と死者数の時系列グラフのモデルとなるのが南アフリカのもである。南アフリカでは陽性件数が急増した46週以降、死者数も一旦上昇した、しかしすぐにその後減少に転じ、致死率も0.5%未満となった。しかし、49週以降死者数が急増した。

46週頃はオミクロン株による死者重傷者は少ないというという報道が多かった。したがって、46~47週の死者数増加はオミクロン株によるものではない。そもそも、感染した時と同じ週に亡くなることは少ない。過去の統計からも、感染してから1~3週間経ってなくなるケースが多い。したがって、オミクロン株による死者数が出始めたのは49週あたりで、49週以降陽性件数の増加に伴って、急増している。

南アフリカでは陽性件数はピークに達するまでに4週かかったが、死者数は5週かかった。22年3週の減少率は低いので、22年4週は再び上昇に転じる可能性もあ理、まだピークは迎えていないかもしれない。ここから、オミクロン株は死に至るまでに、従来の株よりも多少時間がかかる可能性がある。言い方をを変えれば、苦しむ期間が長くなる、ということが考えあられる。

また、48週から陽性件数のグラフよりも上にきていたが、52週から再び死者数のグラフの方が上になった。これは致死率が上昇したことを意味する。南アフリカの現在の致死率は1.9%と世界平均の6倍になる。南アフリカと国境を接するジンバブエ、エスワティニ、レソトの感染図を担でも南アフリカと同じような形になっている。

イギリスやアメリカなどは22年の1週あるいは2週にようやく陽性件数がピークとなったと考えられる。しかしここから、3~4週間は死者数が増え続けると考えられる。まだピークを迎えていないところは、もっと長く死者数が増え続けると考えられる。死者数の伸び率も今後は高くなると考えられ、致死率も上昇するだろう。特に、2月は東欧、東南アジア、中南米で死者がかなり増えることが予想される。


次のグラフは日本の感染図である。

日本は21年46週以降陽性件数も死者数のとても少なかったが、陽性件数は21年52週から、死者数は22年3週から急増した。南アフリカ同様に3週間のずれがある。それゆえ、最悪2月半ばまで陽性件数の増加が続き、そこからさらに1ヶ月ほど死者数の増加が続くと考えあられる。

D3. 致死率は下がっても死者数は増える


致死率が低いからといって油断は禁物である。

陽性件数が週1万件だった時の致死率が1%なら死者は100人である。週に10万件と増えたなら、致死率がその半分の0.5%になっても死者数は500人に増える。また、入院等が必要な陽性患者の数も増える。そうなれば、医療機関は今まで以上に混乱し、重症になっても診察してもらえないというケースも出てくる。20年2期に致死率が高かったのは、まさにこのことが理由である。これに対し日本政府は症状の軽いものは自宅で療養することを勧めている。無駄に医療機関を混乱させないための手段である。

E. ワクチン接種回数は減少

22年3週はは世界全体で2億2751万回あまりワクチンが接種された。2週と比べ8.5%減少した。22年の接種回数は約6億8255万回となった。これは22年4期とほぼ同じペースである。完了率は51.6%となった。ブースターはバングラデシュ、ルワンダ、ジョージア、モルドバ、ウズベキスタンの5カ国でも実施され、全部で108国地域で実施されている。このうち、ジョージア、モルドバ、ウズベキスタンは1月9日に1回だけ実施したことになっている。22年は1億9566万回ほどのブースターが行われ、22年の総接種回数のうち、28%がブースターである。

ヨルダンやボスニアヘルツェゴビナなど27国地域で22年に入ってからの接種が行われていない。未だかつ接種を実施していない国も12国地域ある。そのような国地域の中で陽性件数が増加傾向となっているのは、パラオ、ボスニアヘルツェゴビナ、北マケドニア、ベネズエラ、ヨルダン、モナコ、サンピエールミケロン、グアダルーペ、マルティニク、レユニオンの10国地域で、残りはすでに減少傾向にある。いずれも昨年末から陽性件数が急増した地域なので、ワクチン接種をしなかったから拡大したのではなく、近隣の感染国地域から、移ってきた北と考えられる。

E1. 接種回数トップ20


インドが5億3000万回以上、中国が3億1000万回以上摂取した。インドは4%増やしたが、中国は23%減らした。


E2. 完了率トップ20

ブースターの接種回数に占める割合が大きい。


人口、陽性件数、死者数はWorldometer のものを、ワクチン接種回数などは Github のデータを利用している。Worldometer や Github で扱っていない国地域の統計は Google のデータを用いる。北キプロスの陽性件数と死者数は、政府の発表するデータを用いる(https://saglik.gov.ct.tr/COVID-19-GENEL-DURUM)。面積、GDP、地図、その他の情報はウィキペディアと外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html)を利用している。それ以外のもの、例えばニュース、に関しては出典を本文に記す。数値はアメリカ中部時間の1月24日22時時点で得られた最新の値を利用している。1月25日以降に修正あるいは追加されたデータは含めない。従って、他の新型コロナ統計サイトの数値とは異なることもある。1月24日以前に修正あるいは追加されたデータは今号の統計に反映させている。したがって、過去のものとは異なっているところもある。大きな修正は指摘している。テーマ地図は mapchart.net のサービスを利用して作成している。


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