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ロシアウクライナ戦争と新型コロナワクチン  その2

COVID-19 QR  2/25  

ロシアウクライナ戦争が続いている。プーチン氏の核兵器使用を仄めかす発言や、ウクライナの原子力発電所に対するミサイル攻撃があり、世論はロシアに対する非難が大きい。しかし、ロシアのウクライナ侵攻を反対しない国も少なくない。そのような国の多くは、ロシア製あるいは中国製ワクチンを接種したことのある国である。イラン、キューバ、中国のように元々仲が良いところもあるが、インドなどのようにワクチン提供を通じて何らかの取引を行い、ロシアの戦争行為を否定できない状態ではない国も多いと考えられる。世界の半分以上の国地域でロシア製中国製キューバ製ワクチンを接種しているので、この先、ロシア寄りにつく国が多くなる可能性もある。

A. 賛成中立国の多くはロシア製ワクチン接種国

A1. 賛成中立国のGDPは全てロシアのGDP以下

下の地図は3月4日のロシアのウクライナ侵攻に対する各国の反応をまとめたもので、Wikipedia より拝借した。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:International_reactions_to_the_2022_Russian_invasion_of_Ukraine.svg


先週とは色使いが少し変わり、青が侵攻を非難しているところ、濃いグレーが中立、橙色が侵攻に賛成、赤がロシア、濃い青がウクライナ、うすいグレーが態度不明を表している。

A1. ロシアのウクライナ侵攻を支えているのは貧困国

ウクライナとロシアを含め、144国地域が侵攻に反対、24国地域が中立、9国が賛成、態度不明が54国地域となった。下のグラフは21年の態度別に各国地域の一人当たりGDP(UN調べ、単位米ドル)をプロットしたものである。

賛成国中立国の一人あたりGDPは1国を除いて全て世界平均の1万3300ドル未満である。中立国で最も高いのは中国、賛成国で最も高いのがロシアである。つまり、ロシアよりも裕福な国は全てロシアのウクライナ侵攻に反対している。一方、反対国のうち16国地域で、態度不明国のうち6地域で、一人当たりGDPが5万ドル以上あり、グラフに入りきらなかった。態度不明国のうち26国地域で一人当たりGDPが5万ドル以上あるが、これらはナウルを除いて全て、イギリス、フランス、オランダの海外領土である。

まとめると、ロシアのウクライナ侵攻に賛成または中立の国地域は貧困国であるということが言える。

A2. ロシア製中国製ワクチン接種国は欧米型民主主義ではない国が多い


下の地図は、ロシア製ワクチンか中国製ワクチンを接種したことのある国の一覧である。エチオピアがかなり以前から中国製ワクチンを接種していたことが判明した。エチオピア以外にも、中国製あるいはロシア製ワクチンを接種しておきながら、発表していないところもあると考えられる。

茶色はロシア製ワクチンのみを接種しているところで、ロシアとギニアの2国だけである。赤はロシア製と欧米製のワクチンを接種しているが中国製は接種していない国地域で、ニカラグアなど10国ある。橙はロシア製と中国製の両方(と欧米系)を接種しているところで、ベラルーシやイランなど49国ある。薄黄色は中国製ワクチンと欧米製ワクチンを接種しているがロシア製は接種していないところで、ミャンマーなど60国ある。黄色は中国製ワクチンのみを接種しているところで、中国の他、アフリカの赤道ギニア、ブルンジ、チャドの3国である。青はロシア製中国製ワクチンを接種していないところ(アメリカなど102国地域)、黒はロシア製も中国製も欧米系も接種していないところ(キューバのみ)、白は接種を全く行なっていないところ(北朝鮮など13国地域)である。

世界ではロシアを含め60の国地域がロシア製ワクチンを、中国を含め109の国地域で中国製ワクチンを接種したことがある。キューバ製ワクチン接種国はここのは載せていないが、キューバ、イラン、ニカラグア、ベネズエラの4国がある。キューバを除いて、全てロシア製ワクチン接種国である。合計121国地域でロシア製中国製キューバ製ワクチンを接種している。ここでは233の国地域を扱っているので、世界の半分以上の国地域で、ロシア製中国製キューバ製ワクチンを接種していることになる。

スロバキア、ハンガリー、ネパールはかつてロシア製ワクチンを接種していたが、3国とも22年はロシア製ワクチンの接種は0である。スロバキアは現在欧米系しか接種していないが、ハンガリーとネパールは引き続き中国製ワクチンを接種している。アンゴラは過去に一度だけロシア製ワクチンを使ったことがある。過去にロシア製あるいは中国製ワクチンを接種したことはあるが、現在はやめている国が他にも存在すると思われる。

ロシア製中国製キューバ製ワクチン非接種国は、EU各国やアメリカ、日本など欧米型民主主義のところが多い。ウクライナなど21世紀に入って欧米型民主主義を目指す国はロシア製中国製キューバ製ワクチンを接種していない。接種速度が遅く、完了率があがらなくても頑として、受け付けないように思える。一方、ロシア製中国製キューバ製ワクチン接種国は、中南米、アフリカ、アジアに多く、社会主義、軍事政権や宗教中心主義が多い。

A3. ワクチン提供と抱き合わせで経済援助の可能性

A1 と A2 を合わせると、ロシア製中国製キューバ製ワクチン接種国は貧困国多い可能性が考えられる。実際、ロシア製中国製キューバ製ワクチン接種国を合わせた一人当たりのGDPは6120.6ドルである。対するロシア製中国製キューバ製ワクチン非接種国の一人当たりのGDPは33075ドルで、約5倍になっている。

GDPの分布はロシア製中国製キューバ製ワクチン接種国では1万ドル以下が多く、とロシア製中国製キューバ製ワクチン非接種国と対称になっている。

以上のことから、ワクチンを自分で調達するのが難しい貧困国にロシア製中国製キューバ製ワクチンが浸透していることから、ロシアや中国はワクチン提供に際して、何らかの取引をしたと思われる。中国は一帯一路政策でスリランカに港湾施設を建設したがその租借権をとったことがある。このようなことがワクチン提供時に行われたのは想像に難くない。したがって、ロシアの侵攻を非難すれば、ロシア、あるいは、中国が何らかの経済的制裁を加える可能性も出てくる。そうなっては、貧困国は経済的に立ちいかなくなる。

態度を明確にする国が増えた一方で、今週は態度を変更する国がいくつかあった。これらの国で接種されているワクチンを生産国別に見ると、結構に差が出る。

侵攻に賛成なのは当事者であるロシアの他に、ベラルーシ(中露)、イラン(中露キ欧)、シリア(中露欧)、キューバ(キ)、ニカラグア(露キ欧)、ベネズエラ(中露キ)、北朝鮮(接種なし)、エリトリア(接種なし)の8国である。国名の後ろの括弧内は、欧が欧米製ワクチンを接種したことがある国、中が中国製ワクチンを接種したことがある国、露がロシア製ワクチンを接種したことがある接種国、キがキューバ製ワクチンを接種したことがある国である。欧米系を接種しているのはイラン、シリア、ニカラグアだけである。イランは2月に自主開発ワクチンを多数導入した。すでに欧米系を接種していない可能性もある。

先週侵攻に賛成したミャンマー(中欧)は中立に変更した。先週態度不明だったエリトリアが新たに賛成となった。エリトリアは今の所ワクチン未接種である。もしかしたら、近日中にロシア製あるいは中国製ワクチンを接種していましたという発表があるかもしれない。

先週態度不明であったアンゴラ(中欧)、ギニア(露)、イラク(中露欧)、ラオス(中露欧)、ナミビア(中露欧)、ウズベキスタン(中露欧)が中立を表明した。アンゴラ以外はロシア製ワクチンを接種したことがある国ばかりである。

また、南アフリカ(欧)が反対から中立になった。

一方、フィリピン(中露欧)、タイ(中欧)、ブータン(中欧)、ネパール(中露欧)、マレーシア(中欧)、エジプト(中露欧)、カタール(欧)、サウジアラビア(欧)、チュニジア(中露欧)、アラブ首長国連邦(中露欧)、ザンビア(中欧)ナイジェリア(欧)、が中立から反対に回った。

その結果、ロシアによるウクライナ侵攻賛成の9国のうち7国が、ロシア製、中国製、あるいはキューバ製ワクチン接種国となった。残る2国は北朝鮮とエリトリアで、両国ともワクチン未接種である。また、中立の25国のうち23国がロシア製、中国製、あるいはキューバ製ワクチン接種国である。残りの2国はバチカンと南アフリカである。下のグラフは、態度別に、ロシア製あるいは中国製ワクチンを接種している国地域の割合を示したものである。

下のグラフは、逆に、ロシア製中国製ワクチン接種国がどのような態度に出たのかを表している。

ロシア製ワクチン接種国は50%しか反対していない。この中にはスロバキアなどすでにロシア製ワクチンの接種をやめたところも含んでいるので、現在ロシア製ワクチンを接種している国の中で反対するところはもっと少なくなると考えられる。中国製ワクチン接種国とロシア製中国製非接種国では60%ほどの国が反対しているが、賛成または中立は中国製ワクチン接種国の方が割合が高い。

世界イスラム機構のアドバイザーをしている関係で、ロシアはイスラム国家と仲が良い。先週は、イスラム国家のほとんどが中立であった。しかし、今週は中立から反対に主旨替えしたところが多い。主旨替えしなかった国は全て貧困国である。金持ち喧嘩せず、というよりは、何らかの経済的不利益(多分原油)を考えての主旨替えと思われる。

貧困国で、ロシア製中国製キューバ製ワクチン接種国であるが、ロシアのウクライナ侵攻には対している国も少なくない。おそらく、欧米からの働きかけがあったと考えられる。

ロシア製中国製非接種国の30%が態度不明が30%ある。このうち半分はイギリス、フランスなどのロシア侵攻反対国の海外領土なので、反対であると思われるが、残りの半分の多くはアフリカの国々である。エリトリアや南アフリカのように賛成あるいは中立に鞍替えする国も出てくるかもしれない。

A4. 態度不明もロシアと利害関係を持つ可能性が高い

またこれに先立ち3月2日に実施した国連緊急特別会合で、ロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議を賛成多数で採択した。賛成は141カ国。ベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、ロシア、シリアの5国が反対、中国など35国が棄権、アゼルバイジャンなど12国が意思を示さなかった(https://news.yahoo.co.jp/articles/c2c9aef2b6cc086a82f476dd343cd72429b03f31)。上の地図とは態度の異なる国もいくつか見られる。イラン、キューバ、ニカラグアは棄権し、ベネズエラは意志を示さなかった。棄権した35国中19国がロシア製ワクチン接種国であり、31国でロシア製または中国製ワクチンを接種したことがある。また態度不明の12国のうち、6国がロシア製ワクチン接種国であり、10国でロシア製中国製ワクチンを接種したことがある。したがって、棄権した国だけでなく態度不明の国の多くがロシアあるいは中国との利害関係を持つものと考えられる。

3月7日に、タス通信がロシアの非友好国をリストした(https://tass.com/politics/1418197)が、アメリカ南、アフリカ、ほとんどのアジアの国々はリストに載っていなかった。同じくワクチン外交をしている可能性の高い中国と組んで、何かを企んでいるかもしれない。今は侵攻反対を表明している国のいくつかが、中立や賛成に変わる可能性もある。

B. 民主主義国は陽性件数が多い

22年9週(2/25-3/4)の世界の陽性件数は1039万6954件で、先週に比べ8.6%減少した。これで5週連続の減少である。しかし減少率は先週よりも下がった。徐々に下げ止まりの様相を見せている。感染再拡大となる可能性もある。22年全体の陽性件数は1億5427万1425件となった。これは昨年の4.3倍のペースである。今週の人口100万人あたりの陽性件数は1日平均187人になった。まだまだ危険領域である。

B1. 韓国は2年ぶりの世界1位

下の表は22年9週の陽性件数が多い20の国地域である。

韓国が世界1位になった。2020年9週以来ちょうど2年ぶりの1位である。韓国は実は世界で2番目に感染爆発が起こった国である。1週間の陽性件数で1位になったことがあるのは過去に、中国、韓国、スペイン、アメリカ、ブラジル、インド、ロシア、インドネシア、ドイツの9国あるが、その中で人口は最も少ない。韓国の22年9週の陽性件数は前週比42%増加した。これで7週連続の増加である。伸び率はここ3週間ほど小さくなってきているので、近いうちにピークを迎えると思われる。韓国は22年全体でも332万7488件で世界13位になった。来週には日本などを抜いて、10位以内に入ると思われる。

2位のドイツは前週比で6%減となった。これで3週連続の減少であるが、減少率が小さくなっている。下げ止まりとなる可能性がある。

ベトナムは今週95万9508件の陽性件数の確認があり、先週の8位から一気に3位に上昇した。先週比116.7%増で、4週連続の増加となった。伸び率が大きくなっているので、来週は、韓国を抜いて世界1位になる可能性が高い。

日本は今週45万9767件で先週の6位から一つ順位を上げた。しかし陽性件数は先週より9.6%減少した。ドイツ同様減少率が小さくなっているので、下げ止まりとなる可能性がある。

6位以下では、香港、タイ、ニュージーランドで養成件数が急増している。香港は伸び率が小さくなったがまだ200%以上あり、ニュージーランドは伸び率が300%なのに大きくなってきている。

次章で詳細を記すが、韓国、ベトナム、日本、香港、インドネシア、オーストラリア、マレーシア、タイ、ニュージーランドでは死者数も増加している。

40国地域で22年9週の陽性件数が先週より増加した。先週よりも4国地域減った。エルサルバドルなど7国で伸び率が無限大となった。いずれも、長期的には減少傾向である。無限大を除いて、伸び率最大はクック諸島の1620%増である。人数的には先週の5件から86件に増えたのだが、人口が少ないので、人口100万人あたりに換算すれば、1日平均で700件弱で、世界平均の約4倍である。ニュージーランド、香港、トンガ、ベトナム、マカオで伸び率が100%以上になった。本子に外は伸び率が大きくなっている。

ニュージーランド、クック諸島、トンガ、韓国、香港、ベトナム、タイ、ブルネイ、ブータン、リヒテンシュタインの10国地域で、陽性件数が過去最高となった。9国がアジア、オセアニアからである。

177の国地域で陽性件数が減少した。44国で先週比で50%以上減少した。ウクライナなど8国で陽性件数が0になった。そのうち5国がアフリカでいずれも中国製ワクチン接種国である。ウクライナに関しては新型コロナの統計を収集できていないと思われる。10万件前後の陽性患者が新たに確認された可能性が高い

サモア、マーシャル諸島、バチカンは陽性件数0を3週間以上続けている。また、ミクロネシア、ウォリスフツナ、セントヘレナは22年の陽性件数が0、西サハラは21~22年の陽性件数が0、北朝鮮など8国で20年からの陽性件数が0である。

次の表は22年の陽性件数の多い20国である。

チェコ、カナダ、スウェーデンで22年の陽性件数が100万件を超えた。これで32国地域で22年の要請件数が100万件以上となった。ドイツとインド、トルコとスペインで順位が入れ替わった。日本は陽性件数が減少したにもかかわらず順位を上げた。韓国は13位に上がった。ベトナムが先週の23位から16位にと韓国と同じような上昇の仕方をしている。上位20国では韓国とベトナムの他にイギリスとオランダで増加となっている。

全233国地域の22年1期第9週までの感染状況は下のファイルにまとめた、

下の表は22年9週の人口100万人あたりの1日平均の陽性件数が多い20の国地域である。

103国地域で100件以上(先週より19減)、34国地域で1000件以上(同8国減)となっている。最大はブルネイの9395件である。先週最大だったアイスランドは7270件で3位となった。韓国は約3600件で22年の陽性件数が100万件以上の国では最も大きい。

B2. ロシアのウクライナ侵攻に反対する国は陽性件数が多い


下のグラフは、ロシアのウクライナ侵攻に対する態度別の22年の人口100万人あたりの1日平均の陽性件数である。

侵攻に反対の国は、22年に1日平均で629件の陽性件数の確認があったが、侵攻に賛成の国では359件と約42%少ない。また中立の国では55.9件で10分の1以下になっている。中立と賛成を合わせると80.4件になる。

世間では民主主義の国ほど新型コロナの感染が大きいという噂がある。ロシアのウクライナ侵攻に反対する国は、アメリカなど民主主義をとる国が圧倒的に多い。反対に、賛成あるいは中立の国は中国など社会主義やイランなどの非キリスト系宗教主義が多い。この結果を見ると、確かに、西洋型民主主義の国は新型コロナ感染者数が、そうでない国に比べ多いと言える。

C. 民主主義国は死者数も多い

22年9週は5万2808人が亡くなった。前週比で18%の減少である。3週連続の減少となった。人口100万にナタリでは、1日平均一人がなくなっている。22年の死者数は55万3166人となった。これは昨年のペースよりも1割ほど低い。今季の致死率は0.36%である。

C1. ロシアの死者数は増加が止まった

下の表は22年8週の死者数が多い20の国地域である。

アメリカが今週も1万人以上の死者を出して1位をキープしている。人口100万人あたりの1日平均死者数は4.8人で、世界平均の5倍ほどである。これでも、4週連続で死者数が減少している。2位のロシアはアメリカの約半分の死者巣を出している。戦死者が陽性であったとしても、新型コロナが原因の死とはならないので、ロシアの死者数は来週以降かなり減少すると考えられる。

3位ブラジルは前週比40%減であるが、4位インドネシアは先週比30%増となった。5位メキシコは前週比26%減だった。日本は2%増の1594人で、先週の9位から6位に上がった。先週に引き続き死者数の記録を更新した。これで8週連続の増加である。ロシア、インドネシア、日本の他に、香港、韓国、ベトナム、チリで死者数が増えている。

世界では46国地域で死者数が増加した。先週より4国少なくなった。ドミニカなど9国地域で伸び率が無限大である。先々週死者数が急増し、コンゴ民主は先週死者数があったので、今週は0になった。伸び率無限大を除いて最も伸び率が高かったのはウガンダの400%(10人)増だった。香港は今週も342%増で1週間の死者数が1000人を超えた。伸び率100%以上はウガンダと香港を含めて13国地域あるが、香港以外は20人以下である。

132国地域で死者数が減少した。ガーナなど25国で死者数が0になった。アルーバなど27国地域で死者数が先週の半分以下となった。

ニカラグアなど9国は先週と同じ死者数であった。ニカラグアはこれで11週連続で死者数が1人である。

ブルキナファソやレソトなど24国地域で死者数0が2週間以上続いている。また、ブルンジなど7国地域で22年の死者数0が続いている。西サハラでは21~22年の死者数が0である。また、北朝鮮など16国地域で20年からの死者数が0である。

下の表は22年全体の死者数の多い20国地域である。

こちらもアメリカの死者数が桁違いに多い。22年に新型コロナで亡くなった方々の4人に1人はアメリカで亡くなっている。実は、ヨーロッパ西28国地域を全て合わせてもアメリカの方が死者数が多い。

C2. ロシアのウクライナ侵攻に賛成する国は死者数が多い

下のグラフは、ロシアのウクライナ侵攻に対する態度別の22年の人口100万人あたりの1日平均の死者数である。

侵攻に反対の国は、22年に1日平均で2人の死者が出ている。侵攻賛成の国では2.5人と少し多い。両者とも世界平均より多い。両者ともまた中立の国では0.3人非常に少ない。中立と賛成を合わせても0.4人である。

侵攻賛成の国で22年の人口100万人あたりの死者数が最も多いところはロシアの4.99人で世界で23番目に高い数字になっている。ヨーロッパ東の国々は侵攻反対であろうとなかろうと、人口100万人あたりの死者数が多いので、地域的な要因もあるかもしれない。ベラルーシが世界平均の1.1人より多く、イランが世界平均と同じであるが、キューバやベネズエラなどは0.25人以下である。中立の国々も24国中17国地域が世界平均より低い。

侵攻反対の国では、144国中60国で世界平均より低いので、侵攻反対の国のほうが死者数が多いと言える。なので、西洋型民主主義の国は新型コロナによる死者数も多いと言える。しかし、人口100万人あたりの死者数が10人以上のところは、ブルガリア、クロアチア、ボスニアヘルツェゴビナ、ジョージア、イエメンの5国あるが、前4者はヨーロッパ東にあるので、政治的主義主張よりも地理的な要因が高いかもしれない。

C3. 民主主義国は致死率が低い

22年の致死率は先週から 0.01ポイント上昇して0.36%となった。20年からの累計では1.35%である。致死率が最も高いのがイエメンの9.16%で先週より0.16ポイント大きくなった。致死率14国地域で致死率が2%以上になっている。そのうち9国地域がアフリカである。

次のグラフは22年1期の致死率の分布である。グレーは22年感染なし、青が致死率0%、緑が0.1%未満、黄色が0.1%以上~0.5%未満、橙色が0.5%以上1%未満、赤が1%以上2%未満、茶色が2%以上の国地域の数の割合を表す。

平均に近い0.1%以上~0.5%未満が最も多く世界の42%(96国地域)を占める。ついで0.5%以上1%未満が21%(48国地域)、0%以上0.1%未満が12%(27国地域)となっている。

次のグラフはロシア侵攻に対する態度別の22年の各国地域の致死率の分布図である。

各点が1国地域の致死率、三角がその態度を示す国地域全体での致死率で、各国致死率の平均ではない。ちなみに全体の致死率は各国致死率の中央値に近い。青い星はウクライナ、赤い星はロシアの致死率である。ロシア(0.73%)の致死率の方がウクライナ(0.84%)より低い。

ロシアのウクライナ侵攻に賛成する国全体の致死率が0.71%で最も高い。世界平均の約2倍である。国別に見れば、最も低いのがキューバで 0.17%で、賛成国で唯一世界平均を下回っていた。最高はシリアの4.1%だった。

中立国全体の致死率は0.48%で2番目に高かった。最も低いのは中国とバチカンの0.0%、最も高いのがナミビアの4.07%である。

反対国全体での致死率は0.33%で、5国地域で0.0%、最も高いのがイエメンの9.16%であるが、こあれは外れ値のようなもので、2番目に高いのがセントビンセントグレナディーンの2.80%であった。

賛成国と中立国は死者数が少なかったが、陽性件数も少ないので、致死率が反対国よりも高くなったのである。死者数が多いのは反対国だが、それは陽性患者が多いからである。むしろ、一旦感染したら、賛成国や中立国では死に至りやすいということになる。すなわち、民主主義の国では感染しやすいが、死にはあまり至らない。一方、民主主義でない国では、なかなか感染しないが、一旦感染すると死に至りやすい、と言える。民主主義を貧困国に変えても良い。

22年、21年、20年下半期でも同じような傾向が出る。しかし20年上半期を入れると、民主主義の国の方が致死率が大きくなる。理由は簡単で、20年上半期では新型コロナに対する対処法がなかったからである。また、WHOが全員検査を訴えたために、全く症状のないものが検査を受けよと殺到し、各地で病院が満杯になり、適切な処置を受けられなかった感染者が多くいたためである。このような時期が過ぎた、20年下半期からは民主主義の国の方が致死率は小さくなる。

ただし、致死率は、検査数が増えると減少する。なぜなら、検査数が減れば、養成件数が減るが死者数は変わらないからである。下のグラフのように、中立国の人口100万人あたりの1日平均の検査数は反対国の10分の1以下、賛成国では2分の1以下である。もし、反対国並みの検査をすれば、賛成国の陽性件数は反対国より多くなると計算されるので、致死率は同じくらいになるだろう。中立国の陽性件数も現在の約5倍ほどになると推測されるので、致死率はかなり下がるだろう。

D. 日本は第7波の可能性


日本の22年9週の陽性件数は45万9767件で、前週から8.6%の減少となった。これで、3週間連続で前週を下回ったが、減少率は小さくなった。22年全体の陽性件数は347万6938件となった。同週の死者数は1594人で先週に引き続き過去最高を更新した。死者数は8週連続で増加となったが、今週の伸び率は2.4%とやっと一桁台になった。死者数の伸び率は下がっているが、下がり方が少し鈍い。22年全体の死者数は5956人となり、致死率は0.17%と少し大きくなった。次のグラフは日本の感染図である。

陽性件数はピーク時から3割以上減少したが、まだ、昨年同期の3倍弱ある。

空港検疫での陽性件数は402件で先週に比べ2%の増加となった。伸び率は小さくなったが、2週連続の増加である。下のグラフは、日本の陽性件数と空港検疫での陽性件数の時系列グラフである。

空港検疫での陽性件数が増加が続いて、陽性件数の減少のペースが鈍くなっている。3月4日以降も毎日60件から70件の陽性件数が空港検疫で確認されているので、空港検疫での陽性件数は来週も増加する見込みである。日本政府は3月に入って続々と空港検疫の簡略化を打ち出している(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2022C024.html)。したがって、空港検疫での陽性件数は増加傾向になる可能性が高い。そうなれば、陽性件数の減少が止まる可能性も考えられる。実際、今週の空港検疫での陽性件数は、年初のピーク時から減ったとはいえ、まだ、21年の最高値の4倍弱ある。

E. 今週接種回数が激増した国はロシア製中国製ワクチン接種国が多い


22年9週は世界全体で 約1億5411万1709回ワクチンが接種された。前週比で0.2%増えた。人口100万人あたりで1日平均2780回接種している感情である。22年の接種回数は16億7416万回弱となった。今期は昨年の2.1倍のペースで接種されている。

2月25日以降、オーストリア、チェコ、ドイツ、ラトビアでノババックスの接種が始まった。これらの国では5種類目のワクチンである。今後、ヨーロッパを中心にノババックスの接種が増えると思われる。また、2月26日からキューバでソベラナプラスの接種が始まった。イランなど、ロシアのウクライナ侵攻に賛成する国に提供する可能性がある。

次の表は22年9週のワクチン接種回数の多い20国の接種状況である。

中国は先週増やしすぎた反動か、今週は前週比2.8%減少となったが1週間で3780万回弱の接種を実施した。先週3位のバングラデシュが前週比4倍増の2500万回以上接種し、インドを交わして2位に上がった。人口100万人あたりの1日平均で2万1000回と世界平均の約8倍のペースで実施している。もちろん、世界で最も多い。インドは前週比25%減の1548万回強の接種で、3位に下がった。

22年9週の接種回数上位20国では接種回数を増やしたところが8国、減らしたところ12国となった。増やしたところでは、バングラデシュの311%増ほか、フィリピンの594%増、ペルーが317%増、ルワンダとウガンダが無限大と伸び率の大きさが目立つ。

65の国地域(先週比−3)で先週より接種回数が増えた。28国で伸び率無限大であった。伸び率無限大の場合、施主回数自体はそう多くないのが普通だが、10万回以上接種を実施したところはウガンダやルワンダなど10国ある。無限大を除く伸び率最高はセントルシアの3138%増である。他に、伸び率1000%が4国地域あった。127国地域(先週比+17)で接種回数が減少した。

先週接種回数が0だった国地域のうち、ロシアなど19国地域で今週は接種が実施された。一方、ロシアのウクライナ侵攻反対国を中心に19国で今週の接種回数が0になった。25国地域で接種が2週間以上止まっている。トルクメニスタンなど11国で22年の接種回数が0、北朝鮮など14国地域で今までに接種を一回も実施していない。

ワクチン接種回数を減らした国の方が増加させた国よりも数が多いのに、全体の接種回数が増えたのは、一部の国で大きく接種回数が増えたからである。

伸び率無限大で接種回数が10万回以上なのは、ロシア*(賛成)、ガーナ*(反対)、ソマリア**(反対)、オーストリア(反対)、ベナン**(反対)、ギニア*(中立)、アルジェリア***(中立)、タジキスタン***(不明)、エルサルバドル*(不明)、ウガンダ**(不明)、ルワンダ***(不明)の11国、伸び率300%以上はジブラルタル(不明)、ケイマン諸島(不明)、セネガル*(不明)、仏領ポリネシア(不明)、セントビンセントグレナディーン(反対)、セントルシア(反対)、フィリピン***(反対)、ニジェール**(反対)、ペルー**(反対)、バングラデシュ**(中立)、シリア***(賛成)の11国地域、の計22国地域である。国名の後の * はロシア製ワクチン接種国、** は中国製kワクチン接種国、*** はロシア製、中国製両方を接種している国である。また( )内はロシアのウクライナ侵攻に対する態度である。

ギニアは従来よりロシア製ワクチンを接種していた、先週は接種回数が0であったが、今週は20万回以上の接種があった。(私が更新を確認した日時でのデータである。GitHubの日付ではそれぞれ1週間前のものとなっている)。22年1週以来の20万回以上である。先週の態度は不明だったけれども、今週は中立となった。ロシア製中国製ワクチンを接種している国は、ワクチンと一緒の経済援助をしていると考えられるので、ワクチン提供をふくも経済援助再開の交換条件が、ロシアのウクライナ侵攻に反対するな、であったとしても驚くにあたらない。

22国中15国がロシア製あるいは中国製ワクチン接種国である。この視点からすれば、今週は反対を表明した国地域のうち幾つかは、来週賛成に回ることも考えられる

次の表は22年のワクチン接種回数の多い20国の接種状況である。


世界の完了率は55.6%となった。次の表は22年の完了率の高い20国の接種状況である。


完了率と陽性件数などの相関は特にない。

22年9週は1億2300万回弱のブースターが行われた。前週の約3倍の回数で、3週間ぶりに1億回を超えたのだが、これは中国がブースター回数の更新を3週間ぶりにしたためである。したがって、実際のブースター回数は1億回行っていないと思われる。また、2月24日からフィジーで、3月4日からガボンでもブースターが始まった。シリアでも2月10日に一回だけブースターを実施していた。モルドバ、ジョージア、クウェート、オマーン、タジキスタンなどロシアに近い国では一回だけブースターをやるのが流行っているのだろうか。

ブースターした者の割合である過完了率は17.9%となった。次の表は22年の過完了率の高い20国の接種状況である。


完了率の高い20国は、賛成国、反対国、中立国がその割合に応じて入っているのだが、過完了率の高い20国では、反対国、中立国が入ってこない。一番高いキューバで22位にとどまる。反対国、中立国はブースターが遅れているといえる。


人口、陽性件数、死者数はWorldometer のものを、ワクチン接種回数などは Github のデータを利用している。Worldometer や Github で扱っていない国地域の統計は Google のデータを用いる。北キプロスの陽性件数と死者数は、政府の発表するデータを用いる(https://saglik.gov.ct.tr/COVID-19-GENEL-DURUM)。面積、GDP、地図、その他の情報はウィキペディアと外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html)を利用している。それ以外のもの、例えばニュースや論文に関しては出典を本文に記す。数値はアメリカ中部時間の3月9日22時時点で得られた最新の値を利用している。3月9日以降に修正あるいは追加されたデータは含めない。従って、他の新型コロナ統計サイトの数値とは異なることもある。3月9日以前に修正あるいは追加されたデータは過去の号の統計にも反映させている。今号の統計とは異なるものもある。データの違いが大きくなる修正は本文で言及している。テーマ地図は mapchart.net のサービスを利用して作成している。

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