新型コロナクォータリーリポート 9/17


初めに

9月からタイトルを新型コロナクォータリーリポートと改題しました。第3四半期だけなら、あららっ、なデータが多く、これは紹介すべきと、先週先々週と第3四半期の途中経過報告とその展望を投稿しました。第3四半期は来週で一区切りでになるので、10月に入ったら、改めて、第3期のデータを紹介したいと思います。

今週もいつものようにデータを集計していたところ、あららっ、なデータを発見したので、紹介したいと思います。新型コロナのデータは集計後しばしば変更されます。遅れて届いたデータの追加が主なものすが、中には陽性の定義の見直しなど、過去に遡って大掛かりに修正するところもあります。アメリカはデータ報告に電話連絡を使っているところもあるので、毎日のように過去のデータが変わります。その度に、基本データを修正する必要があり時間がかかります。本来なら木曜日あたりに新しい毛っっかを報告するはずが伸びてしまいました。



日本の第5波について

日本の第5波は7月10〜16日の週(第28週)から始まった。ピークは8月21〜27日の週平均して1日あたり2万3000件の陽性が確認された。この間の陽性件数の平均増加率は44.5%であった。現在は3週連続で減少中で、減少率は32.7%である。減少率は上昇傾向である。9月11〜17日の週の平均の1日あたりの陽性数は7026件となった。第5波が始まる直前の1日あたりの陽性数は1750件だったので、まだ4倍の陽性件数があるが、このままのペースでいけば、10月1〜7日の週には第5波以前の陽性件数にもどると思われる。

日本では、同じ長さの波が過去に二回発生している。一つは、第2四半期発生した第4波で、第5波に比べピーク時の陽性件数が約4分の1程度で、増加率も約半分の23.6%である。

二つ目は、20年第3四半期に発生した第2波である。ピーク時の陽性件数は第5波の約18分の1に過ぎないが、増加率は40.4%と第5波に近い。

下の表は日本で起こった5つの波についてその発生した時期、発生前と発生後の陽性件数、増加期間と増加率、減少期間と減少率を表したものである。

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偶然の一致か、第1波と第4波は第2四半期に、第2波と第5波は第3四半期に発生している。また第1波と第4波では減少が終了したときは陽性件数が発生前の水準とほぼ同じかそれ以下になったという点ででも同じである。

下のグラフは日本んで発生した5つの波の陽性件数をその発生時の陽性件数を100とした時の比率で表したものである。

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比率を使うのは陽性件数の差が大きく、第1波は第5波と同じスケールでグラフにすると全く波がなかったように見えてしまうからである。

第1波以外は発生してから6乃至8週間で、ピークに達している。第5波のピークは陽性件数の数からいけば一番多いが、発生時の陽性件数を100とした時の比率では第2波が一番大きく、第5波は2番目に当たる。第4波は実は一番小さい。

第3波はピーク時の大きさで言えば第1波と同じくらいであるが、ピークになるまでの期間が長い。また、第1波はピークが去った後の陽性件数は波が始まる前よりも低くなったが、第3波では十分に下がらなかったという違いがある。第3波の減少率は当初30%以上あったのだが、ワクチン接種を開始てから低下し、4月に入ってからは増加に転じ第4波となった。

世界で第3期に発生した波

世界全体での第3四半期の陽性件数は第2四半期に比べて33.8%減少していると先週、先々週とリポートしたが、第三四半期の陽性件数は7月1日から8月31日までの62日分で、通常の四半期より30日分、つまり33.3%足らない。従って33.8%減というのは、実は第2四半期とほぼ同じペースであると言える(註:9月20日で第3四半期は92日中80日が過ぎたわけだが、この時点で11%限なので、第2四半期とほぼ同じペースである)。

しかし、9月10〜17日の陽性件数は第2四半期の最終週(26週目、6月26日〜7月2日)よりも約110万人、率にして40%増加している。国地域の数で言えば、146の国と地域で9月10〜17日の陽性件数が第2四半期の最終週よりも増加している。これは、かなり多くの国で第3期に感染の波が発生してたことを意味している。下の地図は第3四半期に感染の波が発生した国と地域を表している。地図は mapchart.net を利用して作成した。

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赤く塗ったところは第3期に大きな波が発生している国地域である。大きな波とは、6週間以上連続で陽性件数が上昇した、あるいは、ピーク時の陽性件数が発生前と比べて6倍以上になったものを指す。桃色は大きな波が発生したが、9月に入ってからは減少傾向を示している国地域である。橙色は小さな波が発生している国地域、黄色は小さな波が発生したが、9月に入ってからは減少傾向を示している国地域である。緑は第2期に波が発生した波が第3期に入っても引き続き増加したが、8月以降は減少傾向になった国地域である。青は期間中新しい波が発生しなかった地域である。

第3期に大小問わず波が発生したところは171ヵ国に上る。このうち60ヵ国で波の上昇が第3期のうちに止まったようである。波の上昇が止まったといっても、現在の陽性件数が26週目よりも多いままところが多い。残りの111ヵ国では波の上昇が止まっていない。


波の地域的分布

地図を見てわかるように、第3期に波が発生した国地域は北半球にが多い。大きな波が発生した国は赤道ギニア、ガボン、オーストラリアを除いて、全て北半球である。特に北米と東欧に多い。大きな波が発生したが、今は減少傾向になっている国地域は北半球にしかない。こちらは西欧とアジアに多い。

下のグラフは地域別の波の発生国数である。

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アフリカの地域分類は国連などによるものと違い、次の地図のようにまず赤道で南北に分け、さらに北部を東経20度線で東西に分けた。アジアも次の地図のように通常とは違う形で地域分類をした。

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南アメリカでは13ヵ国中10ヵ国で波が発生していない。アフリカ南、中東、アジア中、オセアニアで陽性件数0のところも含めて約半数の国地域で波の発生していない。逆にカリブ海、東西ヨーロッパ、アフリカ西、アジア東では半数以上の国で波が発生した。西ヨーロッパでは80%以上、カリブ海と東ヨーロッパでは90%以上の国と地域で波が発生した。


ワクチンを接種しても波は発生する

西ヨーロッパではバチカン以外の全ての国と地域で第2期の終わりの頃には接種率が50%以上であったにもかかわらず、東では30%未満の国が多かった。従って、ワクチンの接種率と波の発生とは関係がないと考えられる。ワクチンを接種しようとしまいと、感染の波は発生する時には発生する。

世界で最も遅くワクチン接種を始め、接種率がいまだに1%に満たないハイチでは第3期に波が発生しなかった。接種率0のマルティニク、グアダルーペ、サンマルタン、サンバルテルミーは7月に人口100万人あたりで1日平均5,000件以上の陽性件数を出したことがあるにもかかわらず、現在は陽性件数が減少している。一方、アンギラ、キューバ、タークスカイコス、バミューダ、蘭領カリブ海、アルーバ、ケイマン諸島では、接種率60%を超えるが、アルーバ以外は発生した波がまだ収まっていない。今でも人口100万人あたりで1日平均100から1800件の陽性件数が確認されてる。今の日本が1日平均55人なのでいかに多いかがわかる。波がおさまりつつあるアルーバは陽性件数が5週連続で減少しているが、26週の陽性件数の900%増である。

アフリカ南部ではセーシェルとモーリシャスが60%以上であるが他の17ヵ国は20%未満である。レユニオン、マヨット、ブルンジは接種が始まっていない。大きな波が発生したのは接種率0%のブルンジとマヨット、1%未満のタンザニア、15%のエスワティニ、66%のモーリシャスである。ブルンジとマヨットは波の増加がおさまったが、減少しているとは言い難い。タンザニア、エスワティニ、モーリシャスは減少中である。

ブルンジとマヨット以外の接種率20%未満の国では、アンゴラを除いて、波が発生していないか、小さな波が発生したがすぐに減少傾向となったところばかりである。ワクチン接種率は接種率の高いモーリシャスは7月はじめの週から5週連続で増加し、5週目に1度減少したが、されに5週連続で増加した。平均増加率は46%で、ピーク時の陽性件数は1日平均360人であった。9月は減少傾向である。セーシェルは7月中は第2期に発生した波が減少していたが、8月になってその減少が止まってしまった。

また、人口100万人あたりの1日平均陽性件数は、接種率0.1%以上10%未満で30人以下、接種率10%から20%で60人台、接種率60%以上で150人以上で、むしろ、接種率の高い国地域の方が現状は悪い。それでも以前よりは良くなっている。


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