2021年7月9日時点で新型コロナウイルスの感染状況と予想


人口陽性数死者数はWorldometer のものを、ワクチン接種数はGithub のものを1次データとして利用して、陽性数、死者数、ワクチン接種数の2021年の累計、7月3日から9日までの合計とその増加率、連続増加週数、人口100万人あたりの数をリストしている。ランキングは2021年の累計陽性数を元に作成したが、増加具合などは別にベスト10を作成した。また、過去数週間分のデータを解析して、来週どうなるかを予想している。


A. ヨーロッパでは感染拡大が西から東へ移動している

7月3日から9日までの新規陽性数世界全部で300万人弱となり、2021年の累計感染数は、7/2 号で予想した通り1億人を超えた。7月9日の世界各国の2021年累計陽性数によるランキングは下の表のようになった。

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トップ10での順位の変動はなかったが、上位100カ国では、インドネシア*、南アフリカ、パキスタン*、バングラデシュ*、チュニジア*、タイ*、カザフスタン*、エクアドル*、スリランカ*、クウェート、キューバ、グアテマラ、オマーン、ザンビア*、ホンジュラス、ジョージア、サウジアラビア、モンゴル*、韓国、リビア*、モロッコ*、アフガニスタン*、ナミビア*、モザンビーク*、ミャンマー*の25ヶ国が順位を上げた、アジアが13ヶ国と半数以上を占め、アフリカが7、中南米が4、ヨーロッパが1である。ヨーロッパの1はジョージアであるが、ロシアの南部で、トルコやイラクに近いので実際はアジアといってもいいかもしれない。また、25ヶ国中* の付いた17ヶ国(78%)が中国製ワクチン使用国である。

一方、ポーランド、ペルー*、チリ*、ハンガリー*、ポルトガル、ヨルダン*、ルーマニア、アラブ首長国連邦*、パラグアイ*、ボリビア*、オーストリア、スイス、ブルガリア、スロバキア、パレスチナ、バーレーン*、ベネズエラ*、エチオピア、クロアチア、エジプト*、スロベニア、デンマーク、リトアニア、エストニア、ラトビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ*、ナイジェリア、カタール、アルバニア*、北マケドニア*、アルメニア*、モルジブ*の32ヶ国が順位を下げた。アジアが6、アフリカが3、中南米が5、ヨーロッパが18である。このうち15ヶ国(47%)が中国製ワクチン使用国である。

順位の下がったアジア6ヶ国中5ヶ国が中東である。そのうちアラブ首長国連邦、パレスチナ、バーレーン、カタールでは今週の新規陽性数は先週よりも減少している。順位の上がったが、サウジアラビア、オマーン、クウェートでも今週の新規陽性数は先週よりも減少している。

中南米では順位の下がった5ヶ国すべてが南米である。いずれの国も今週の新規陽性数は減少させている。順位の上がったエクアドルや順位の変わらないブラジル、アルゼンチン、コロンビア、ウルグアイなどでも新規陽性数は下げている。一方中米カリブ海の方は新規陽性数を増加させた国が多い。

ヨーロッパでは順位を下げた18ヶ国のうち14ヶ国が東ヨーロッパである。ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、スロバキア、ラトビア、ボスニア・ヘルツェゴビナでは、新規陽性数が減少しているが、クロアチア、スロベニア、リトアニア、エストニア、アルバニア、北マケドニア、アルメニアでは増加している。西ヨーロッパのポルトガルは9週間連続して新規陽性数が増加している。オーストリア、スイス、デンマークは今週あるいは先週から新規陽性数が増加に転じた。ヨーロッパではイギリス、スペインポルトガルの西端がすでに新規陽性数が増加傾向にある。順位は上がっていないが、フランス、イタリア、ドイツも今週から上昇に転じた。感染が西から東へと広がっているようである。

A2. ワクチン接種を完了したものはオリンピック感染をしてもいいのではないか

7月3日から9日の新規陽性数上位10ヶ国は次のようになった。( )内は2021年累計陽性数順位、新規陽性数、+ーは前週からの増加率、矢印一つで1個のランク変化

1。ブラジル(3位) 333,030、−8.7%、2週連続減少中
2。インド(1位) 293,567、−7.9%、9週連続減少中 
3。インドネシア(14位) 226,974、+45.4%、7週連続増加中 ↑
4。イギリス(9位) 203,362、+30.8%、9週連続増加中 ↑
5。コロンビア(7位) 174,320、−14.8%、6週連続増加でストップ ↓↓
6。ロシア(8位) 171,858、+12.9%、6週連続増加中 
7。南アフリカ(18位) 137,681、+11.2%、10週連続増加中 ↑
8。アメリカ(2位) 131,218、+32.5%、3週連続増加中 ↑
9。アルゼンチン(6位) 115,098、−16.5% ↓↓
10。イラン(11位) 111,426、+36.3、4週連続増加中 

31。日本(28位) 12,255、+15.2%、2週連続増加中 ↑↑↑↑↑


世界でな2,981,946件の新規陽性数があり、先週に比べて11.5%増加した。これで3週連続の増加である。7月3日から9日の新規陽性数が1万件以上あったのは37ヶ国と先週より1つ減ったが、このうち23ヶ国で先週よりも新規陽性数を増やしている。新規陽性数0の国も一つへり、20ヵ国になった。このうち4カ国は2021年を通して新規感染がない。

増加率がプラスの(新規陽性数が先週より増えた)国地域は先週より10増えて、118になった。またマイナスは先週から11ヶ国減って85ヶ国になった。大まかには西欧とアフリカの一部で増加、東欧と中南米で減少傾向にある。

先週の新規陽性数が0で今週が0でないなら新規陽性増加率は無限大(∞)になるが、サンマルタン、アンギラ、チャド、グリーンランド、マヨットの5国・地域で、増加率が∞であった。サンマルタンでは、時折新規陽性数が0になるが、その翌週は3桁の数字になる。平均すると毎週50件ほどの新規陽性数があるので、先週は報告をサボった可能性がある。一方、マヨットは4月5月は新規陽性数0を維持していたが、6月に入って再発生した模様である。グリーンランドはそれまで新規陽性数がほぼ0であったが、5月半ばから再発生した。いまのところ上昇傾向は見られないが、要注意かもしれない。アンギラは6週間ぶりに陽性者が出た。

増加率が100%以上、つまり、今週の新規陽性数が先週の2倍以上の国地域は28ある。内枠はヨーロッパが10、アフリカが8と多数派を占める。これらの国は、1ヶ月ほど前までは新規陽性数を長く減少させていたが、最近増え出したところが多い。また西ヨーロッパの国々は50%以上増加させたところが多い。

先週の新規陽性数が0でなく、今週が0なら新規陽性増加率は−100%となる。カメルーン、マルティニク、モーリシャスの3国が増加率−100%になった。カメルーンではサンマルたん同様時折新規陽性数が0になり、その翌週いつもより多くの新規陽性数が発表されるので、今週は発表をサボった可能性がある。マルティニク、モーリシャスはここ1ヶ月は増加傾向なので、発表漏れの可能性がある。

増加率−50%以上(今週の新規陽性数が先週の半分以下)となったのは、11ヶ国ある。このうち、コモロ、リベリア、南スーダン、レソトのアフリカ勢は、新規陽性数急増中のなかで今週だけ減少した。減少幅が多いのは、現地で混乱が生じているかもしれない。

7/2 号で述べたように、累計陽性数順位は変わらなかったものの、日本の新規陽性数は上昇した。オリンピックは無観客になるそうだが、これは感染対策の本質ではない。相撲や野球でも観客を入れているが、感染が広がった試しはない。感染は競技とは別のところ、宴会など人と人とが至近距離で会話をするところで起こっているからである。今からでも遅くはないので、アメリカでよくやるように、ワクチン接種を完了したものは観戦可能にしても良いのではないか。


A3. イギリス連邦で感染拡大

6月19日から25日の人口100万人あたりの新規陽性数上位10カ国は下のようになった。
( )内は累計陽性数順位、今週の人口100万人あたりの新規陽性数、先週からの増減、今週の陽性数

1。バージン諸島(195位) 2,013.6、+1,572.3、429、3週連続増加中 ↑↑↑↑
2。セーシェル(126位) 1,186.5、+116.8、822、2週連続減少でストップ ↓
3。フィジー(139位) 675.2、+299.5、4,268、7週連続増加中 ↑↑↑↑↑↑↑
4。キプロス+北キプロス(98位) 657.8、+362.3、5601、3週連続増加中 ランク外
5。モンゴル(74位) 597.3、ー64.8、13,931、3週連続減少中 ↓↓↓
6。チュニジア(42位) 585.7、+179.8、48,974、8週連続増加中 ↑
7。チャネル諸島(176位) 561.7、+319.9、690、5週連続増加中 ランク外
8。ナミビア(90位) 524.7、−115.9、9,504、2週連続増加でストップ ↓↓↓↓↓
9。コロンビア(7位) 484.2、ー84.1、174,320、6週連続増加でストップ ↓↓↓↓↓
10。イギリス(9位) 425.7、100.3、203,362、9週連続増加中 ランク外

127。日本(28位) 13.9、+1.8、12,255、2週連続増加中 ↓↓


世界の人口100万人あたりの新規陽性数は56.2人で、先週より7.6人増えた。先週100超えは43ヶ国あったが、バーレンだけが数を100以下に下げたが、新たに11ヶ国が100越えとなり、全部で53ヶ国に増えた。

先週1位のセーシェルは値が再び上昇したが、イギリスの海外領土であるバージン諸島が怒涛の勢いで追い抜いていった。バージン諸島はわずか3週間前はまでは新規陽性数0を長く続けていたのだが、今年の新規陽性数の70%がこの3週間で確認されている。同じイギリスの海外領土であるチャネル諸島も同じような勢いで増え、7位になった。本国イギリスも10位に入った。イギリスから大量の感染者がこの二つの海外領土に訪れたのであろうか。また、2位のセーシェル、3位のフィジー、4位のキプロス、8位のナミビアも旧イギリス領である。

B. 2021年のインドの死者数がアメリカの死者数を超えた。

7月3日から9日までの死者数は55,117人で、先週に比べて1,032人増加した。その結果7月9日までの2021年累計死者数は2,101,739人となった。2021年累計陽性数に対する、累計死者数の割合(致死率)は2.05%と先週より0.01%減少した。また、ボスニア・ヘルツェゴビナで死者ううの修正があり、過去3週間の死者数が減少した。

7月9日までの2021年累計死者数上位20ヶ国。( )内は2021年累計陽性数順位、死者数、今週の死者数、致死率

1。ブラジル(3位) 336,336、9,709、2.97%
2。インド(1位) 256,918、6,105、1.25% ↑
3。アメリカ(2位) 256,315、1,547、1.85% ↓
4。ペルー(19位) 93,343、1,222、8.83%
5。メキシコ(17位) 88,339、1,210、7.74%
6。ロシア(8位) 83,946、4,936、3.30%
7。コロンビア(7位) 68,236、4,008、2.42% 
8。ドイツ(12位) 57,221、167、2.89% 
9。アルゼンチン(6位) 54,829、2,766、1.83% ↑↑
10。イギリス(9位) 53,966、176、2.33%

 
11。イタリア(10位) 53,135、141、2.50% ↓
12。フランス(4位) 46,315、167、1.39% 
13。ポーランド(15位) 46,196、87、2.93% 
14。インドネシア(14位) 42,302、5,097、2.52% 
15。南アフリカ(18位) 34,534、2,541、3.38% ↑
16。ウクライナ(16位) 33,892、148、2.88% ↓
17。イラン(11位) 30,206、1,027、1.43% ↑
18。スペイン(13位) 30,048、92、1.54% ↓
19。トルコ(5位) 29,062、326、0.89% 
20。ハンガリー(31位) 20,337、12、4.21%

27。日本(28位) 11,457、−115、1.98%

今週の死者数が赤字になっているところは、先週よりも死者数が増えたところである。


B1. インドネシア、南アフリカ、バングラデシュで死者が倍増

6月26日から7月2日の死者数上位10ヶ国は次の通りである。( )は累計死者数の順位、今週の死者数、+ーは前週からの%増減、連続週数

1。ブラジル(1位) 9,709、−10.1%、3週連続減少中
2。インド(2位) 6,105、−6.7%、7週連続減少中 
3。インドネシア(14位) 5,097、+61.1%、6週連続増加中 ↑↑↑
4。ロシア(6位) 4,936、+9.7%、5週連続増加中 ↓
5。コロンビア(7位) 4,008、−9.0%、2週連続減少中 ↓
6。アルゼンチン(9位) 2,766、–18.7%、2週連続減少中 ↓
7。南アフリカ(15位) 2,541、+48.5%、5週連続増加中 ↑
8。アメリカ(2位) 1,547、−23.0%、5週連続減少中 ↓
9。バングラデシュ(34位)1,226、+52.9%、6週連続増加中 ランク外
10。ペルー(4位) 1,222、ー12.8% ↓

46。日本(26位) 115、−89、7週連続減少中 15位ダウン

インドネシア、南アフリカ、バングラデシュは先週の倍増で順位を上げた。この3国は新規陽性数でも増加が続いているので、死者数もおそらく同じようなペースで増加するであろう。

先週の死者数が0で、今週が0でないなら、増加率は無限大(∞)になる。死者増加率∞の国が23ヶ国ある。また死者増加率100%(死者数が先週の2倍)以上の国も12ヶ国ある。そのうちの31ヶ国では今週増加に転じた。半数以上はここ2、3ヶ月、0を含む一桁台の死者数を繰り返しており、先週は0だったが、今週は0でなかったケースである。今週の死者数が0であったところは8ヶ国あるが、全てそういう国なので、来週は増加率無限大となる国が出てくる可能性がある。キプロス、エストニア、イスラエルは死者数を減少させ続け、6月末に死者数0になったが、また死者が出たようだ。また、サンマルたんが26人、タジキスタンが10人、バージン諸島では2人の死亡があったが、今年初めての犠牲者であった。

ルーマニアは先週まで11週にわたって死者数を減少させていたが、今週は先週の8倍以上の死者を出した。陽性数は15週間減少し続けているので、特別な出来事があったか、エラーの可能性が高い。ベトナム、モザンビークは先週は減少させたが今週は増加に転じた。両国ともここ1ヶ月は増加傾向である。ジンバブエ、ウガンダ、フィジー、ミャンマーは長い間増加している。

ボスニア・ヘルツェゴビナでは先週の死者数が0になった。これは死者数が過去3週間にわたって下方修正されたのが原因で、実際は0では無いと思われる。


B2. 死者数が南米に多い不思議

世界の7月3日から9日までの人口100万人あたりの1日平均の死者数は1.00人で、前週より0.01人増加した。6月26日から7月2日までの人口100万人あたりの1日平均の死者数のランキングは次の通りである。( )内は累計死者数順位、今週の人口100万人あたりの1日平均死者数、先週との差、今週の死者数。

1。サンマルタン(175位) 94.42、+94.42、26 ランク外
2。ナミビア(82位) 16.40、+0.88、297  
3。パラグアイ(26位) 13.43、−4.69、679 ↓↓
4。コロンビア(7位) 11.13、−1.10、4,008 ↓↓
5。チュニジア(30位) 10.42、+2.17、871 ↑↑
6。バージン諸島(194位) 9.39、+9.39、2 ランク外
7。アルゼンチン(9位) 8.66、−2.00、2,766 ↓
8。スリナム(116位) 7.00、−3.86、29 ↓↓↓
9。トリニダード・トバゴ(104位) 6.51、−1.12、64 ↑
10。ブラジル(1位) 6.48、−0.72、9709、ランク外


121。日本(26位) 0.13、−0.10、115、25位ダウン

人口100万人あたりの死者数が2人以上の国は35ヶ国ある。先週よりも7ヶ国増えた。このうち19ヶ国が中南米であるが、ほとんど全てで数値は減少している。

この数値は人口が少ないと少ない数でも大きな数字になる。死者数が少ない国での要注意国を見つけるのに有効であるが、コロンビア。アルゼンチン、ブラジルは数も多ければ率も高く、死者数が多いということになる。


B3. どこのウイルスが一番怖いか

致死率とは、新型コロナウイルスに陽性で亡くなった人たちの、陽性数に対する割合である。この数値が高ければ、新型コロナに感染した時に死亡する確率が高くなる、ことを意味する。感染症などではその危なさを表す指標である。例えば、2021年死者数1位のブラジルの致死率は2.97%である。100人感染したら、3人が亡くなる計算である。一方、先ごろ死者数の数値を大幅に増加させたペルーの致死率は8.83%である。こちらは9人が亡くなる計算である。ペルーのウイルスは、ブラジルのウイルスよりも致死力が高い、と言えるかもしれない。

ただし、致死率は医療事情に左右されることが多い。国際統計格付けセンターによれば、ブラジルの人口千人あたりの病床数は2.40床、同じく医師数は1.8人あるのに対し、ペルーはそれぞれ1.50床、0.9人で、ブラジルとは倍近い差がある。その分、治療に遅れ等が出る可能性がある。いずれにせよ、ブラジルで新型コロナにかかるよりもペルーでかかる方がより危険である。

新型コロナの場合、2021年の7月9日までの致死率は世界で2.05%である。昨年同期の致死率は4.46%で、致死率は半減した。特にヨーロッパや南米は昨年の致死率が7から17%もあったが、今年の西欧の致死率は1から3%程度に、南米も2から8%に下がった。

昨年は新型コロナの病理がよく分かっておらず、それに対する薬もなく、また、急激に患者の数が増えたために、診察すら受けられないも場合もあり、いわゆる、手遅れになることが多かったと考えられる。それゆえに陽性者数の特に多かった、ヨーロッパや中南米では死者も増えたのであろう。


2021年致死率の高い国は下のとおりである。( )内は累計死者数順位、致死率、2021年死者数。

1。バヌアツ(201位) 33.33%、1
2。イエメン(107位) 15.62%、756
3。スーダン(85位) 9.58%、1,292
4。ペルー(4位) 8.83%、93,343
5。シリア(89位) 8.28%、1,179
6。メキシコ(5位) 7.74%、88,339
7。ソマリア(112位) 6.27%、645
8。エジプト(33位) 6.05%、8,681
9。ボスニア・ヘルツェゴビナ(44位) 5.99%、5,570
10。台湾(109位) 5.03%、723

11。スロバキア(31位) 4.95%、10,267
12。エスワティニ(114位) 4.95%、470
13。ブルガリア(30位) 4.97%、10,534
14。コモロ(136位) 4.31%、136
15。アフガニスタン(53位) 4.27%、3,427
16。ハンガリー(20位) 4.21%、20,337
17。ニジェール(142位) 4.13%、88位
18。北マケドニア(57位) 4.13%、2,977
19。ジブラルタル(143位) 3.97%、87
20。ルーマニア(23位) 3.70%、16,484

1位のバヌアツは三人が陽性になって、一人が亡くなった。これは例外として考えて良いだろう。アフリカと東欧が6ヶ国づつと多く、地域的な偏りが見られる。また赤字で記したところは、致死率が昨年同期を上回ったところであるが、やはり、アフリカと東欧が多い。


C. ワクチンは自分の国だけ接種していれば良いというものではない。

7月3日から9日までの間に、世界全体で少なくとも2億1200万回のワクチンが接種されたが、先週よりは約6800万回減少した。累計では3,165,539,660回となった。中国では先週より5700万回減らしている。中国以外でも1100万回減少させているので、世界的にも接種回数が減少したと言える。また今週新たにワクチン接種を開始した国はなかった。現在21カ国地域でワクチン接種が実施されていない。そのうち13カ国地域で2021年に陽性数が少なくとも1件確認されている。レユニオン、仏領ギアナ、マヨットのフランス海外領土は陽性数が1万件以上ある。


少なくとも一回ワクチンを接種した者の数は1,946,253,454人となった。その割合、つまり、真の接種率は25%を超えた。ワクチン完了者数は933,866,582人で、完了率は12%を超えた。接種人数と完了者数を公表していない国は接種人数=接種回数とし、完了者を0にして計算した。また過去に公表している場合はその数字を使った。接種人数は接種回数よりも少なくなるので、実際の接種人数はこの統計よりも少ない。また、完了者も0というわけではないと思われるので、実際の完了者数はこの統計よりも多い。

ワクチンを接種した人たちのうちの半分ほどが完了している計算になる。接種が一回ですむジョンソンのワクチンを接種している国や接種率の高い国は、完了している人の割合が高く、接種回数が少ない国では完了している人の割合は少ない。完了者が0であるところも17ヵ国あり、そのうち8ヵ国がアフリカで、5ヵ国が太平洋の島国である。ワクチン完了率が最も高いところはジブラルタルで115.39%になる。人口より多い住人がワクチン接種を完了している。また21カ国が完了率50%以上である。完了率10%未満は129国・地域もある。

ワクチン接種は地域的な偏りが大きい。西欧はバチカンを除いてどこも接種率が50%以上である。東欧は5%から50%である。ロシアを含む旧ソ連構成国でEUに加盟していない国が5%から25%と特に低くなっている。中東はアラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、イスラエル、サウジアラビア、以外はどこも接種率が25%に満たない。中東を除くアジアはシンガポール、モンゴル、ブータン、中国、香港、マカオ、韓国以外では25%未満となっている。中南米は地理やウルグアイなど70%近い接種率を持つが、約半数の国が25%未満となっている。オセアニアは最高がフィジーの36%で、半数以上の国で接種率が25%未満である。アフリカは90%以上の国が接種率10%未満である。

ワクチンは自国だけ接種率が高くても、周りが低ければあまり意味がない。D章で述べるように、接種率が低いと感染拡大が起こりやすい。そして、その感染が国境を超えて接種率の高い国にやってくることは珍しくない。アメリカのトランプ大統領がメキシコとの国境を強化した理由の一つである。


C1. ワクチンの再開は中国製ワクチンで

先週2週間以上ワクチン接種が滞っている可能性があるとした16ヶ国のうち、次の3ヶ国カ国で接種が再開された。国名の後の数字は再開後の接種率(* は推計)、人口100万人あたりの1日平均の陽性数、直近5週間の新規陽性数の増減、接種ワクチン。

コモロ 4.86%*、3.5、+175.0% アストラゼネカ、バーラト、シノファーム
レソト 1.70%、6.7、+537.5% アストラゼネカ
ルワンダ 2.96%、65.0、+137.6% モデルナ、アストラゼネカ、ファイザー

7/2 号で予測した通り、コモロは4週間ぶりにワクチン接種が再開された。ただし中国製のBBIBPは使われておらず、シノファーム(北京製)のままである。7月2日に時点でBBIBPの接種国は26ヶ国あったが、7月9日の時点で0になり、全てシノファーム(北京製)になっていた。BBIBPを使って接種を再開したが、他の国と同様にシノファームに変更したか、BBIBPを使わずに、シノファーム(北京製)で接種を再開したか、あるいはレソトやルワンダのようにアストラゼネカの供給があって再開したかのいずれかである。

レソトとルワンダも予想通り、中国製ワクチンを使わずに接種が再開された。レソトは7週間ぶり、ルワンダは4週間ぶりである。おそらくコバックスを通じたアストラゼネカの供給再開のおかげであろう。

しかし、アルジェリア、ベラルーシ、トーゴ、ニカラグア、北キプロス、トルクメニスタン、ツバル、オランダ領カリブ海、フォークランド諸島、セントヘレナ、パラオ、ピトケアンでは接種再開とはいかなかった。また、ジブチ、キルギス、モーリシャス、シリア、トンガで接種がストップしたようである。

アストラゼネカ接種国のレソトとルワンダで接種再開したので、来週中にトーゴで接し再開され雨かもしれない。トーゴは接種率が3.19%、人口100万人あたりの新規陽性数が3.0と低いので、中国がシノファームを売り込む可能性がある。増産体制が整ったと思われるでスプートニク接種国であるアルジェリア、ベラルーシ、ニカラグア、キルギス、シリアでも接種再開があるかもしれない。セントヘレナ、ピトケアン、フォークランド諸島は接種をほぼ完了したと思われる。また、トンガ、パラオ、トルクメニスタンはとりあえず新規陽性数0件を長い間続けているので、ワクチン接種を始めた途端に感染再発したタジキスタンなどの様子を見て躊躇しているのではないか。

C2. 中国のBBIBPワクチンは接種したらまずい?

7/2 号で、26ヶ国が北京製シノファームから BBIBP に変更されたあるいは BBIBP が追加された。ほとんどがワクチン接種率が4%未満で、人口100万人あたりの新規陽性数が五人以下である。アフリカが17ヶ国を占め、ファイザーなどがうまく集めることのできなかった黒人のデータを集めるのに最適なところなので、治験的な意味が強いのではないかと書いた。すると、7月10日までには、Github のワクチンページの国別統計から BBIBP の名前が跡形もなく消えた。BBIBP の部分は、過去の分も含め全てシノファーム(北京製)に置き換わっていた。過去に Github のワクチンページにアクセスしたことのない人が見れば、BBIBPは全く使われていなかったと判断するだろう。一部でも証拠を残しておけばよかったと悔やまれる。

今の所、変更の理由は不明である。Wikipedia の情報が正しければ、50ヶ国以上でBBIBPの提供が約束されているので、供給不能になったわけではないであろう。BBIBP が何らかの理由で使用不能になった場合、過去の使用歴は消す必要がない。過去の使用歴までも全て消したのは、BBIBPを使用したことが判明すれば、相当な不都合が生じるからではないか、と考えられる。


最新のワクチンブランド別勢力は次の通りである。複数のブランドを接種していることがあるので合計は217にはならない。赤字は増加、青字は減少を表す

アストラゼネカ 172
ファイザー 100
モデルナ 51
スプートニク 47
シノファーム(北京) 59
シノバック 34
シノファーム(BBIBP) 0
その他中国製 8
ジョンソン 26
バーラト 6
その他 5

中国製ワクチンを接種している国は、中国を除いて84ヶ国ある。内分けは。アジア31、アフリカ26、中南米15、東欧10、オセアニア2である。アフリカではシノファームまたは BBIBPが、中南米ではシノバックが多い。


C3. インドが世界2位の接種国に

7月2日のワクチン総接種数上位20ヶ国は次の通りである。()内は2021年累計陽性数順位。接種数、少なくとも一回接種を受けた人の割合、ワクチンを完了したものの割合、接種ワクチンの種類数とその開始日。* は推定

1。中国(157位)    1,365,463,000、43.21%*、15.51%*、4(12/15~)
2。インド(1位)    368,991,222、21.43%、 5.04%、3(1/15~)
3。アメリカ(2位)   332,966,409、55.12%、47.64%、3(12/15~)
4。ブラジル(3位)   112,774,302、39.80%、13.97%、3(1/16~)
5。ドイツ(12位)    81,333,461、 57.60%、41.45%、4(12/27~)↑
6。イギリス(9位)   80,072,121、 66.96%、50.37%、3(12/23~)↓
7。フランス(4位)    59,124,911、 54.02%、37.28% 、4(12/27~)
8。日本(28位)     57,305,224、 28.60%、16.89%、2(2/17~)↑↑↑
9。トルコ(5位)     57,248,834、 44.02%、19.81%、2(1/13~)
10。イタリア(10位)    55,903,170、 57.87%、36.82% 、4(12/24~) ↓↓


11。インドネシア(14位) 50,644,144 12.94%、 5.38%、2(1/12~)↑
12。メキシコ(17位)   49,857,020、 26.57%、15.77%、5(12/24~)↓↓
13。ロシア(8位)    46,626,243、 19.11%、12.83%、2(12/15~)↑
14。スペイン(13位)   46,612,489、 58.87%、44.90%、4(1/4~)↓
15。カナダ(24位)    41,859,123、 68.66%、41.27%、3(12/14~)
16。ポーランド(14位)  31,258,249、 45.96%、39.51% 4(12/28~) 
17。アルゼンチン(6位)  24,048,381、 42.01%、10.71%、3(12/29~)↑
18。チリ(21位)     23,695,994、 67.71%、57.60%、4(12/24~)↓
19。韓国(79位)     20,245,627、 30.35%、11.31%、4(2/25~)
20。コロンビア(7位)  20,198,661、 24.39%、15.67%、2(1/6~)↑


ドイツでは7月3日から9日の間にイギリスの3倍以上の接種を行ない、イギリスを抜いて5位に上がった。また、ドイツのワクチン完了者も先週より350万人以上増えた。イギリスはワクチン接種数を先週よりも下げた。しかし接種件数の60%以上をワクチン接種完了者に向けた結果、完了率は50%以上になった。

日本は今週1100万回を超えるワクチンを接種して、順位が再び3ランク上がった。ワクチン完了者は2000万人を超えた。完了率も17%近くになった。替わって、イタリアとメキシコがが順位を2つづつ下げた。両国とも接種回数を先週より300万回以上減らしている。

トルコとインドネシアはイタリア以上に接種回数を減らしたが、トルコの順位は変わらず、またインドネシアは順位を一つあげた。ロシアは先週より接種回数を増やしたが、スペインは減らしたので、両国の順以外入れ替わった。同様にアルゼンチンとチリも順位が入れ替わった。コロンビアは接種回数を減らしたが、順位を上げた。

C4. BBIBPに不都合か

7月3日から9日までのワクチン接種数上位10ヶ国は次の通りである。
()内はワクチン接種数順位。+ーは前週からの増減

1。中国(1位) 82,288,000、 −57,082,000
2。インド(2位) 33,319,428、 +4,309,162 
3。日本(8位) 11,101,252、+2,066,480 ↑
4。ブラジル(4位) 9,994,206、+131,384 ↓
5。インドネシア(11位) 5,982,216、−285,053 ↑
6。ドイツ(6位) 5,552,057、+1,208,167 ↑↑
7。トルコ(9位) 5,144,116、−326,626
8。ロシア(13位) 4,804,449、+585,740 ↑
9。フランス(7位) 4,641,568、+1,147,079 ↑ ↑
10。アメリカ(3位) 4,159,939、−3,453152 ↓↓↓↓↓

世界では、2億13万回以上の接種が行われた。これは先週よりも6600万回以上少ない。中国で5700万回以上接種を減らしたことが大きい。接種回数は1億回を大きく下回り、世界のワクチン摂取回数の40%以下になった。おそらく、新しいワクチンであるBBIBP あるいはシノファームの製造に何らかの不具合があったと思われる。全てのワクチンがBBIBPとは限らないが、先週までのBBIBP接種26ヵ国中10ヶ国で今週のワクチン接種数が0であった。また7ヶ国でワクチン接種回数が前回よりも減少した。ワクチン接種回数が増加しているところは全て、他のブランドも合わせて接種しているので、そちらのせいで接種回数が増えた可能性がある。また、BBIBPでないシノファーム接種国でも33ヶ国中13ヶ国で今週の接種回数が0か先週より減少している。

また、85ヵ国でワクチン接種回数が先週よりも増加した。一方、113カ国で接種回数が先週よりも減少した。


D. 収まったかなと思って自由に行動し始めると、再び発生する。


この表からは接種率が上がるにつれ、新規陽性数が減少傾向となる国の割合が多くなる。接種率が1%から10%の国の中では、34%の国が減少傾向になっている。10%から30%になると51%、30%ら50%では70%と増加している。しかし50%を超えると49%と減少する。

接種率が50から70%の国の中で、20ヵ国がここ1ヶ月の新規陽性数を減少させているが、ドイツなど西ヨーロッパの9カ国はここ1、2週間は新規陽性数を上昇させている。増え方も30%から350%と大きいので、来週には増加傾向の国に分類される可能性がある。

また、接種率が低過ぎても減少傾向の国が増える。彼らはワクチンに頼れないので、例えば、国境封鎖などのような自衛手段を用いて対抗していると思われる。

アメリカではニューヨークやカリフォルニアなどの州が接種率50%以上(発表は18歳以上の接種率70%以上だが、18歳以上の人口が州人口の約75%に当たるので、州人口に対しては50%以上になる)で規制緩和をし始めている。日常生活がほぼコロナ前の状態に戻りつつある。スーパーマーケットでも、ワクチン接種が完了していないものだけが、マスクの着用義務を負っている。しかし、案の定、規制緩和をした地域では新規陽性数が上昇し始めている。

ここから考えられることは、新しい変種が流行し始めたのではないか、ということである。ワクチンを接種した人でも感染しているケースが報告されており、これらの変種には既存のワクチンに耐性がある可能性が高い。街にはマスクをしていない人が増え、しかも集近閉を構成している。

2ヶ月ほど前、セーシェルで陽性数急増のニュースがあった(https://www.cnn.co.jp/world/35170786.html)。セーシェルでは5月半ばに接種率が60%を超えていたにもかかわらず、感染拡大があった。下のグラフは、セーシェルの毎週の新規陽性数を青の折線に、ワクチン接種回数を緑の棒グラフにしたものである。

画像13

4月までは平均して1週間に2万回のワクチンを接種していた。接種率が60%を超えたとなると、接種を受けることのできる人の数が減るので、必然的に毎週の接種回数が減少する。アメリカで接種回数が減少しているのと同じ理屈である。一方、4月までは毎週平均して330件の新規感染があったが、5月8日から14日の週だけ2,800件に膨れ上がり、それ以降、以前通りの数に戻っている。これは5月始め頃に、大量の感染者が入国した結果と思われる。セーシェルではシノバックとアストラゼネカを接種しているが、それらに耐性のある変種に感染したものたちであろう。入国した感染者は観光客かもしれないし、集団でやってきたビジネスマンの可能性もある。セーシェルでは、ワクチンを接種していれば自由に行動ができる(https://www.fortynine.co.jp/news/detail.php?nid=384)ので、ワクチンを接種しても、感染する新型コロナウイルスの変種があると考えた方が良さそうである。





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