新型コロナクォータリーリポート 21年3期その1


初めに

2021年第3四半期の新型コロナの状況がある程度まとまったので報告する。長くなるので数回に分け、今回はA. 概要、B.トップ20の変遷と、C. 大陸別の報告をする。

基本的に人口、陽性件数、死者数はWorldometer のものを、ワクチン接種回数などは Github のデータを利用している。Worldometer や Github で扱っていない国地域の統計は Google を用いる。北キプロスの陽性件数と死者数は、政府の発表するデータを用いる(https://saglik.gov.ct.tr/COVID-19-GENEL-DURUM)。面積、GDP、その他の情報はウィキペディアとと外務省の各国紹介ページ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html)を利用している。数値はアメリカ中部時間の10月10日時点で得られた最新の値を利用している。10月11日以降に10月10日以前の数値も含め修正する国地域もあるが、その分は含めない。従って、他の新型コロナ統計サイトの数値とは異なることもある。地図は mapchart.net のサービスを利用して作成している。


A. 世界全体では微減となった。

世界全体では21年第3期(7月1日から9月30日)の間に、5105万3868件の陽性件数と82万2057人の死者があった。前期(21年4月1日から6月30日まで)に比べ、陽性件数は225万1022件(4.2%)、死者数は20万3743人(19.9%)の減少である。死者数の減少が陽性件数に比べて非常に大きい。致死率は前期に比べ0.3ポイント減の1.6%となった。累計では2億3452万8606件の陽性が確認され、479万6504の死者があり、致死率は2.0%である。

次のグラフは世界の四半期ごとの陽性件数のグラフである。

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21年3期の陽性件数は2期に比べ4.2%減少したものの、20年4期よりも上回った。

次のグラフは世界の四半期ごとの死者数のグラフである。

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死者数はずっと増加を続けてきたが、21年3期は初めて減少となった。2期に比べ約20%減少し、20年4期よりも少なくなった。

次のグラフは世界の四半期ごとの致死率のグラフである。

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致死率は減少傾向である。21年3期は20年4期を下回り過去最低となった。


21年第3期に世界全体で31億8815万6091回のワクチン接種が行われた。前期に比べ28.4%増加した。累計では62億9089万9399回の接種が行われた事になる。次にグラフは世界の四半期ごとのワクチンの接種人数と完了人数である。

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第3期に17億2624万2324人が少なくとも一回ワクチンを接種し、17億9612万8677人がワクチン接種を完了した。それぞれ、25.9%、147.0%の伸びである。この3ヶ月でワクチン接種完了者の伸びが大きい。累計では35億8358万5346人が少なくとも一回ワクチンを接種し、26億6123万5485人が接種を完了した。先進国を中心にワクチン接種完了がを目指しているようである。接種率は45.4%、完了率は33.7%となった。


接種完了から半年経つとワクチンの効果が薄れるということからブースターがイスラエルなど20カ国で始まった。ワクチン接種が始まったのは20年12月なので、本来ならブースターは6月から始めるべきであるが、フランスやドイツなど20年5月以前からブースターを始めているところもある。

ハイチ、タンザニア、キリバスの3国とニウエ、トケラウの2つの地域が第3期にワクチン接種を開始した。始まったばかりなので、接種率は3期末でハイチが0.4%、タンザニアが0.6%と低いが、人口ん少ないキリバスは24.6%、ニウエは80.0%、トケラウは71.3%になった。これで、ワクチン接種を実施していない国は北朝鮮など15国となった。一方、フォークランド諸島(73%、49%)、パラオ(17%、0%)、セントヘレナ(72%、58%)、トルクメニスタン(0.5%、0%)は第3期の接種回数が0であった。註:トルクメニスタンは第40週(10月2日から8日)に接種回数の更新があった。

世界では現在19種類のワクチンが接種されている。第3期には新たにイランでコブイラン、台湾でメディガン、シリアでスプートニクライトの接種が始まった。前2者は自国開発ワクチンである。種類別の接種内訳は一部の国しか発表していないので、どのワクチンが世界で一番多く接種されているかは不明である。次のグラフは各社のワクチンがどのくらいの国で接種されているかを表している。赤い部分が第3期に増えた分である。

ワクチン jk-ブランド別


アストラゼネカは世界の181の国と地域で接種されており、最も広く接種されている。これはコバックスプログラムを通じで途上国にワクチンを供給しているからである。次でファイザーが126の国と地域で接種されている。ファイザー接種国地域はは第3期に新たに25カ国地域で接種されるようになった。モデルナは20カ国、ジョンソンも16カ国で新たに供給を開始した。おそらく先進国などで接種率が高まり、それほどの接種回数を必要としなくなったので、余った分がワクチン接種のあまり進んでいない国に提供されたものであると考えられる。


B. トップ20の変遷

B1. 陽性件数はアジアが急増

下の表は21年2期及び3期の陽性件数の上位20カ国である。陽性件数の単位は千人である。赤字順位は上昇、青字順位は下降を意味する。赤字国名は前期ランク外であったことを示す。

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C章で触れるが、ここでは世界を12の地域に分けた。地域の略号は下の表の通りである。

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20年からの累計では2期も3期もトップ3はアメリカ、インド、ブラジルの順であるが、四半期ごとでは2期はインド、ブラジル、アメリカ、3期はアメリカ、インド、イギリスの順になった。陽性件数はアメリカが3倍増、イギリスが6倍増であるが、インドは6分の1、ブラジルは半減している。

21年2期ではインドネシアとフィリピンの2国しかランクしていなかったアジア東が、3期では6国と最大勢力となった。インドネシアが12位から6位(3倍増)、マレーシアは24位から9位(3倍増)、タイは32位から11位(6倍増)、日本が26位から17位(2.8倍増)、ベトナムは108位から19位(54倍増)と大幅なランクアップと陽性件数の大幅増が目立つ。フィリピンは順位は2つ下げたが、陽性件数が1.7倍になった。いかにアジア東で陽性件数が急増したかがわかる。

2期では、アメリカ南とヨーロッパ西から5国づつリストされ、最大勢力であったが、3期では、それぞれ3国、4国と減少した。3期にトップ20に残ったアメリカ南のブラジル、アルゼンチン、コロンビアは全て陽性件数が減少した。ランク外になったペルーとチリも減少した。しかし、ヨーロッパ西では、イギリスだけでなく、イタリアとスペインで陽性件数が倍増したが、フランスとドイツは減少した。ロシアも増加しているので、ヨーロッパは、周囲が増加、中が減少という形になっている。毎週の変化も合わせると、外からの増加が、だんだん中へ入り込んでいく兵糧攻めのようでもある。

2期はトップ3で全陽性件数の54%を占めていたが、3期は32%に下がった。上陽性件数が100万件以上あった国は15国あり、2期の8国からほぼ倍増した。い、2国に集中して発生していた感染が多くの国に広まった様子である。

B2. 死者数もアジアが急増

下の表は21年2期及び3期の死者数の上位20カ国である。死者数の単位は千人である。赤字順位は上昇、青字順位は下降を意味する。赤字国名は前期ランク外であったことを示す。

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1ヶ月前の中間リポートではインドネシアが死者数トップであったが、その後インドネシアは減少、アメリカは増加となり順位が逆転した。累計の死者数では、アメリカ、ブラジル、インドがトップ3で、インドネシアは14位である。アジア東から5カ国、アジア中から4カ国、アジア西から2カ国とアジアでの死者が多い。インドは約80%、トルコは約20%減少させたが、他のアジアの国々は大幅に増加させている。特にベトナムが420倍、ミャンマーが112倍、タイが7倍、インドネシアが5倍、スリランカが4倍と伸び率が非常に高い。ヨーロッパは西も東もロシアを除いてランク外となった。ロシア75%増である。また、西からイギリスが5倍増となった。イタリアとスペインは陽性件数は増加したが、死者数は減少した。


B3. ワクチン接種回数もアジアで急増

下の表は21年2期及び3期のワクチン接種回数の上位20カ国である。単位は百万回である。赤字順位は上昇、青字順位は下降を意味する。赤字国名は前期ランク外であったことを示す。

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この数字は第3期だけのものである。中国は10億回近く接種しているが、2期よりも14%減らしている。第38週はついに接種回数でインドに抜かされてしまった。一方、インドは2期よりも倍増させて約6億回接種した。アジア東が3国から8国に、アジア中が1国から3国に増えている。アジアでは感染急増を受けて、ワクチン接種回数を増加させたものと考えられる。一方欧米は接種回数を減らしているか、あまり増えていないかのどちらかなので、相対的に順位が下がっている。




C. 陽性件数が増加した国は増えた

トップ20の考察から、同じ大陸内ではおなじような感染状況になる傾向がある。また地域は違っても近い国同士はやはり感染状況が似てくる。そこで。世界を下の地図の通りに12の地域に分け、感染状況とワクチンの接種状況を調べた。ここでの地域分類は通常のものとちっと違っているが、新型コロナの感染状況を考えると、意外としっくりくる。

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C1. アジア東、オセアニア、カリブ海では陽性件数の50%以上が21年3期に確認された。

下の図は21年3期の大陸別の陽性件数グラフである。

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21年3期1位の陽性件数を持つアメリカを含むアメリカ北が1番陽性件数が多かった。第3期陽性件数トップ20に4国抱えているヨーロッパ西が2番目に、同じく6国を擁するアジア東が3番目に多かった。21年3期2位のインドを含むアジア中は5番目、同4位のブラジルを含むアメリカ南は6番目である。同5位のイラン、8位のトルコを抱えているアジア西は4番目で、アジア中よりも多い。以下、ヨーロッパ東、アフリカ南、アフリカ西、カリブ海、アフリカ東、オセアニアの順序となっている。

次の図は21年3期の大陸別の陽性件数の累計陽性件数に対する割合である。

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アジア東の陽性件数は60%以上が21年3期に確認されたものである。オセアニアとカリブ海も50%以上で、これらの地域で21年3期に陽性件数が急増したことがわかる。3地域に共通している点は、島が多いということである。国の数としては少ないが、アジア東は日本はもとより、フィリピン、インドネシア、マレーシアは多くの島々からなっている。カリブ海は島国ばかり、オセアニアもオーストラリア以外は島国ばかりである。その多くはリゾート島国として、観光に力を入れている。リゾート島国がいくつかあるアフリカ南や西では21年3期の陽性件数の割合が高くなっている。

C2. 21年の陽性件数の変化

次の図は21年1期から3期の大陸別の陽性件数の変化である。

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アメリカ北の2期は1期に比べ64%の減少となったが、3期は逆に2期の2.5倍増となり、1期とほぼ同じくらいに戻ってしまった。ヨーロッパ西も2期は1期のほぼ半分に減らしたが、3期では60%増の揺り戻しとなった。

アジア東は2期が1期の50%増、3期が2期の3倍増となった。アメリカ北、ヨーロッパ西とは全く違う感染状況となっている。陽性件数が少ないので、このグラフからはわかりにくいが、カリブ海とオセアニアがアジア東と同じような変化をしている。

アジア中は2期が1期の8倍増で、3期は2期から70%減となったが、それでもまだ1期の2.5倍ある。アメリカ南は2期が1期の50%増であったが、3期は60%減で、1期の約5分の3程度にまで減らした。

アジア西も21年は陽性件数が増加しっぱなしだが、アジア東ほど増えてはいない。アフリカ東はアジア西とおなじような変化をしている。ヨーロッパ東は2期でほぼ半減したが、3期で微増となった。アフリカ西と南は2期は減少したが、3期は大幅増加している。


C3. 感染状況の比較

カリブ海やオセアニアは人口の少ない国地域が多いので、陽性件数自体も少なくなり、他の地域と比較できない。次のグラフは人口100万人あたりの平均の1日の陽性件数である。

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アメリカ北は陽性件数も多いが人口も多いので、235.3件で2位になる。ヨーロッパ西も227.7件で3位に下がる。1位は239.0件のカリブ海である。アジア東は39.0件でオセアニア(39.2件)やアフリカ南(41.3件)よりも低く9位になる。これは世界最大の人口を抱える中国では人口100万人あたりの平均の陽性件数0件になるためで、中国を除くアジア東だと104.3件で7位相当になる。アジア中は10位、アメリカ南は5位、アジア西が4位となる。

次のグラフは面積1000㎢あたりの平均の1日の陽性件数である。

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カリブ海は43.0件でダントツの1位で、2位のヨーロッパ西の約1.7倍になる。ヨーロッパ西は感染規模が今でも大きく、どこへ行っても陽性患者に出くわす確率が高いのだが、カリブ海はそれ以上に高い。アメリカ北はカナダなど広大な無人の地域を多く含むのでそれほど大きな数字にはならない。アジア東は5.7件で5位であるが、中国を除けば14.7件と2.5倍になり、3位に浮上する。


C4. 死者数はアジア東

下の図は21年3期の大陸別死者数である。

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陽性件数では3位であったアジア東の死者数が一番多い。陽性件数が1位のアメリカ北は2番目で、6位のアメリカ南は3番目であった。ついで、アジア中、ヨーロッパ東、アジア西の順である。ヨーロッパは8番目と少ない。

次の図は2021年1期から3期の大陸別の死者数の変化である。

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アジア東では21年は増加しっぱなしである。2期は1期の41%増、3期は2期の約4倍増である。特に3期は死者数の伸び率が陽性件数の伸び率よりも大きい。従って、致死率も大きくなっている。カリブ海、オセアニアも東アジア同様の変化をしている。特にオセアニアでは3期の死者数は2期の10倍以上となった。アジア西も21年は増加しっぱなしであるが、東ほどではない。

アメリカ北の2期は1期に比べ74%の減少となったが、3期は2期の倍増となった。アメリカ南は2期に70%増になったが、3期では62%減であった。アジア中も2期は12倍増であったが、3期は60%以上減らした。

ヨーロッパ西の3期の陽性件数は60%増であったが、死者数は逆に50%以上減少した。ヨーロッパは東西ともに21年の死者数は減少している。アフリカでは東で死者数が減少したものの、西、南では増加している。

次のグラフは人口100万人あたりの平均の1日の死者数である。

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 アメリカ南が一番の多いのだが、2番目はヨーロッパ東である。アメリカ北が3番目で、カリブ海が4番目となっている。アジア東が8位と下がるのは中国で死者が0だからである。地位国を除いたアジア東は2.0となって、5位になる。

次のグラフは面積1000㎢あたりの平均の1日の死者数である。

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この数字は人のいない広大な地域を含む国があれば、数値が低くなる。例えば、サハラ砂漠のあるアフリカ東西ではほぼ0になる。中国の奥地や中央アジア、アラビア半島など砂漠地帯を抱えるアジアも低い。そういったところのないカリブ海で極端に大きな数字になる。ヨーロッパ西はそのようなところは少ないのにもかかわらず、数値が低い。これは死者数がかなり減っている証拠である。

C5. 致死率は南米が相変わらず高い

人口100万人あたり、面積1000㎢あたりの死者数は数が小さくなりすぎるので、ここでは省略する。代わりに致死率を取り上げる。世界全体では21年3期は1.6%である。2020年からの平均で2.0%である。

次のグラフは大陸別の致死率である。

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致死率が一番高いのはアメリカ南で3.0%となっている。次がヨーロッパ東で2.631%である。3、4、5位はアフリカで、南、西、東の順になっており、いずれも2.0%以上である。アジア東アジア中はそれぞれ1.9%、1.8%で、ここまでは平均よりも上である。アメリカ北、アジア西、カリブ海、オセアニア、ヨーロッパ西が平均以下である。

C6. ワクチン接種はアジアで大幅に進んだ

下の図は21年3期の大陸別の接種回数である。

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ワクチン接種回数はトップ20に6国を連ねるアジア東が一番多く、接種回数2位のインドを擁するアジア中が2位である。以下、アメリカ南、ヨーロッパ西、アメリカ北と続く。アフリカやカリブ海、オセアニアは微々たるものである。

次の図は3期の接種回数の伸び率である

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アジア東は接種回数上位20国に8国あるのに伸び率は10%と少ない。これは、中国で大幅に接種回数が減少したためである。アジア東では日本、台湾、韓国以外は中国からのワクチンを接種している。まるで、そこでの接種回数を捻出するかのように中国本土で接種回数を減らしている感じである。伸び率が一番高いのは、アフリカ南で3期は2期の約4倍増である。次がオセアニアで3倍増、アジア中、アフリカ西とつづき、アフリカ東とアジア西と続く。アメリカ北とヨーロッパ西は減少した。


次のグラフは人口100万人あたりの平均の1日の接種回数である。

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世界平均では約4440回となっている。この数字ではオセアニアが一番多く接種を実施している。オセアニアの総接種回数が少ないのは人口が少ないからで、人口比例では決して少ない。ついで、アジア東が2番目に多く、アメリカ南が3番目、カリブ海が4番目、ヨーロッパ西は5番目になる。接種回数では2番目に多いアジア中は平均よりも少ない。接種回数を減らしたアメリカは平均よりも少なくなった。アフリカはどこもこの数字が小さい。


次のグラフは面積1000㎢あたりの平均の1日の陽性件数である。

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カリブ海は1013.4回で一番多い。ついで、アジア東、アジア中、ヨーロッパ西と続く。アメリカ北、オセアニア、ヨーロッパ東は、アフリカ並みに少ない。これは、カナダ、オーストラリア中部、シベリアなど人のいない広大な地域があるためで、当然これらの地域ではワクチン接種の必要が少ないからである。人口100万人あたりの数字と比較すれば、接種すべきところではきちんと接種していることがわかる。一方アフリカもサハラ砂漠など人のいない広大な地域はあるが、こちらは接種すべきところでも接種が進んでいない。アジアも少なくなるはずだが、3期での感染増を受けて大幅に接種回数を増やしたので、数値が大きくなった。


下の図は21年の大陸別の接種回数の変化である。

アジア東とアジア中の接種回数の多さがよくわかる。これら4本の棒グラフを合わせたものが総接種回数である。WHOからワクチンを独占していると非難されている、アメリカやヨーロッパの接種回数は、アジアに比べればむしろ少ない方である。

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次のグラフは各地域の3期のワクチン接種回数と人口も割合を比較したものである。

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例えばアジア東は世界の人口の約30%を占めているが、ワクチンは世界の45%を占めている。一方アフリカは3地域合わせて約20%の人口がるが、ワクチンはほんの5%に過ぎない。他の地域はそれぞれ人口と同じくらいの割合でワクチンが接種されている。ここからすれば、本来アフリカに配分するはずのワクチンがアジア東に配給されていると考えることができる。ところで、アジア東では中国が圧倒的なワクチン接種回数を持つ。次のグラフは各地域の3期のワクチン接種回数と人口も割合を比較したもののアジア東から中国を分離したものである。

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アジア東の中でも中国に特に多く配分されていると考えられる。中国を除くアジア東もやや多めだが、感染大爆発が起こっており、大量のワクチンが必要であったことを考えれば、やむを得ない。しかし中国の3期の陽性件数は僅かに4348件で、順位では158位、人口100万人あたりでは0.0人である。コンゴ民主共和国ではワクチンの数が少ないので、感染状況の特にひどい地区から接種を開始していくと報道されていた。

D. 新型コロナはワクチン接種者を通じて広がる

3期にアジア東、オセアニア、カリブ海で大きな感染拡大があった。ところがこれらの地域では割とワクチン接種が進んでいる。これらの地域に共通する点は観光が主産業である国地域が多いというと頃である。しかし、2020年は新型コロナ観光業は特に大打撃を受けた。例えば、カリブ海諸国のGDPが3%から25%減少する見込みである(International Monetary Fund, World Economic Outlook Database, October 2021)。一方世界的なワクチン接種率の増加を受けて、各国はワクチン接種を条件に観光目的での入国の許可し始めている。

WHOはアフリカでの要請巣件数を報告数の7倍以上と見積もっているというニュースが出た(https://news.yahoo.co.jp/pickup/6407091)。この記事の中で、「WHOのモエティ・アフリカ地域事務局長は「検査のほとんどは症状がある人を対象に実施されているが、感染は無症状の人を通じてより拡大している。目に見えているのは氷山の一角だ」と述べた」とある。何度も指摘しているように、ワクチンを接種したからといって、新型コロナに感染しないという保証は全くない。しかし、ワクチンを接種したら新型コロナに感染しても症状が軽くなると言われている。今はワクチンを接種していれば、その証明を示すことで、どこでもフリーパスである。モエティ氏の言葉に従えば、ワクチンを接種した人を通して感染がより拡大していることになる。

従って、カリブ海での感染爆発は世界各地からワクチン接種者がウイルスを運んできたものが広まったと言える。カリブ海は面積の狭い島国が多いので、感染者がいれば、多くに人々がその濃厚接触者となる。感染者がマスクをするなどの予防をしていれば良いが、もし、ワクチンを接種してたとすれば、おそらく何もしないだろう。なので、感染が広がる。

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