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新型コロナクォータリーリポート 12/10 2021年まとめ ワクチン編



今年も残すところあとわずか。そこで、今回を含めてあと三回、2021年の新型コロナ感染状況を報告する。今回は、ワクチン接種を開始してから1年が経ったので、ワクチンの接種状況を報告する。その前に、オミクロン株について、49週(12/4-10)にあららっな変化が見られたので、報告したいと思う。次の地図は、21年49週(11/27-12/3)時点での陽性件数が増加中の国減少中の国を表している。


まず、アフリカ南でアンゴラとザンビアが青から黄色になった。両国は陽性件数の減少が続いていたが、ここ2週間は前週よりも増えた。また、ナミビア、モザンビークでは黄色から赤になった。つまり、陽性件数が3週以上増加し、増加率も伸びている。アフリカ南全体でも49週の陽性件数は前週比で2.5倍に増えた。特にアフリカ大陸上の国での増加が大きい。伸び率が高いのはコンゴ民主が前週比7.5倍増、レソトが7.4倍増、エスワティニが6.3倍増となっている。南アフリカは前週比2.2倍増だが、数にすると6万件の増加で、アフリカ南の陽性件数の70%を占める。ボツワナは前週まで長らく減少中だったので、この地図ではまだ青色に塗られているが、49週は前週比2倍増となった。

アフリカ西でも同様に陽性件数の減少が止まったり、増加傾向に転じるところが増えた。全体の増加率は30%で、アフリカ南よりはずっと少ない。今週は今までの動向とは逆に、海沿いの国で増加し、内陸国で減少という形になった。アフリカ東は全体では6%の減少となったが、アフリカ西や南に隣接する国では増加傾向となった。

オミクロン株は今やアフリカ全土に広がったのではないかと思われる。

ヨーロッパ東では、チェコ、ハンガリー、スロベニアが茶色から橙色に変わった。これの国は今まで陽性件数が増加を続けていたが、ここ2週間の陽性件数が前週を下回っている。ボスニアヘルツェゴビナとスロベニアではは橙色から青色に変わった。つまり、陽性件数は3週以上減少となり、減少率m大きくなっている。ポーランドとスロバキアではまだ増加が続いているが、伸び率は小さくなった。ヨーロッパ東は全体的に減少傾向になったといえる。


ヨーロッパ西ではオーストリア、オランダ、アイルランドで陽性件件数の増加が止まった。また、ドイツでは8週間ぶり、ベルギーとルクセンブルグでは10週間ぶりの減少となった。他の国では陽性件数が増加傾向が続いているが、ヨーロッパ西全体では0.03%とわずかながら減少となった。陽性件数増加中に多少の減少はよくあることであるので、このまま減少傾向になるかどうかはわからない。


アメリカ北ではアメリカとカナダが引き続き増加中であるが、パナマでは増加傾向がおさまった。49週はグアテマラとホンジュラスで増加となり、全体では1%の増加となった。一方アメリカ南では、コロンビア、ペルー、パラグアイで増加が止まり、全体としては約5%の減少となった。カリブ海では、トリニダートトバゴは以前増加中であるが、その勢いが少し弱まった。また。ドミニカ共和国でも2.5%の増加となったが、ケイマン諸島、バルバドス、キューバでは大幅減少となり、全体としても8%減である。

アジアではアフガニスタンやベトナムなどこれまで増加中だった国々で増加が止まった。アジア西と中では今週の陽性件数が下がった。しかし、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、オマーンでは今週は先週比で30%から50%の増加となった。アジア東は1%の増加となった。これは韓国と台湾で感染拡大が続いていることに加え、中国、香港、日本でも陽性件数が増えたことが原因である。


オセアニアでは、オーストラリアが再び増加傾向に戻り、他の国は減少が続いている。


A. オミクロン株は死者数が少ないかもしれない


アフリカ南で陽性件数が倍増したが、ヨーロッパでは徐々に収まってきている

A1. 8週間ぶりに世界の陽性件数が減少


世界の21年48週(12/4-10)の陽性件数は424万7307件であった。48週に比べ0.9%の減少で、7週連続の増加が止まった。オミクロン株の危険性が宣伝され、各国が入国禁止などの措置をが徹底したためと思われる。

これで21年4期の陽性件数は3432万5075件となった。昨年同期に比べ4%の減少、前期と比べ12%の減少である。このペースでいけば4期の陽性件数はおそらく5000万件弱となって、3期の陽性件数(5115万3030件)を若干下回るくらいになると予測される。また、21年の総陽性件数は1億8000万件を超えた。また21年の陽性件数は最終的に2億件を超えると見込まれる。

次のグラフは大陸別の4期の陽性件数の推移である。


アフリカ南での陽性件数が指数関数的に増加している。49週の陽性件数は、アメリカ南よりも多くなった。このグラフでは分かりにくいが、アフリカ西は増加率がアフリカ東に次いで、世界で2番目に高い。アジア東、アメリカ北で微増となった。ヨーロッパ東は順調に減少し、ヨーロッパ西も今週は微減である。

A2. 日本の1週間の死者数は1年5ヶ月ぶりの一桁台


21年49週の死者数は5万3700人であった。48週に比べ5%の増加となった。オミクロン株による死者がソロソロ出てくる頃であるが、陽性件数の伸びと比べれば小さい。

これで21年4期の死者数は50万6018人となった。昨年同期に比べ13%の減少、前期と比べ18%の減少である。このペースなら、最終的に4期の死者数は65万人ほどと予想される。先週は、ヨーロッパ西での死者数急増の可能性を考え、4期の死者数は70万人前後に増える可能性もあるとしたが、49週の死者数からはそこまでいかないかもしれない。

次のグラフは大陸別の4期の死者数の推移である。


オミクロン株で陽性件数が指数関数的に増加したアフリカ南では、死者数が今週は9%減少した。南アフリカでも死者数は11%減となった。オミクロン株に指定されていないモーリシャスでは32%の減少となった。49週に死者数が増えた国は8国地域があるが、いずれも一桁台の増加なのでモーリシャスと南アフリカの減少分に消されてしまった形になった。アフリカ南の49週の死者数は281人で世界全体の0.5%と非常に小さい。オミクロン株による死者は出始めている頃である。しかし、死者数はむしろ減少傾向なので。オミクロン株の致死率は今までのものより低い可能性がある。

アフリカ西も陽性件数は増加したが、死者数は微減となった。死者数の多いチュニジアでは死者数が4%増えたが、アルジェリアやモロッコでは前週と変わらなかった。死者数の増加したところはいくつかあるが、いずれも一桁台である。アフリカ西全体の49週の死者数は163人で、世界全体の死者数の0.3%に過ぎない。

アフリカ東は前週比で17%の大幅減少となった。


ヨーロッパ東は死者数の減少率が徐々に大きくなっている。チェコは9週間ぶりに死者数が減少となった。ポーランド、ハンガリー、スロバキアは増加しているが伸び率は小さくなった。ベラルーシ、エストニア、コソボで今週の死者数が増えたが、他は死者数が順調に減少している。ヨーロッパ西では死者数の増加が続いているが、伸び率が少し小さくなった。オーストリアでは7週間ぶり、デンマークでは5週間ぶりに死者数が減少となった。また、スペイン、イタリア、フランスでは伸び率が減少した。

アメリカ北も死者数が増えている。アメリカ、カナダ、パナマでは増加傾向であることに加え、メキシコで今週は死者数が増加になった。アメリカ南は微増となった。ブラジルやアルゼンチンなどは減少しているが、エクアドルで急上昇中である。エクアドルは、他の南米とは違って陽性件数も増加中なので、新たな変異株(オミクロンの次はパイ(π))とならなければ良いが。カリブ海では17%の大幅減である。

アジアでは東は韓国で31%増、ベトナムで18%増となり、全体としては8%増えた。ベトナムは増加率が減少しているが、韓国では増えている。日本は今週の死者数が8人と一桁台になった。これは2020年27週以来、1年5ヶ月ぶりである。


アジア中はインド、バングラデシュ、アフガニスタンで死者数がほぼ倍増し、全体でも91%増となった。46週にインドの陽性件数は前週比で15%(1万件)増えたことがある。時期的に今週はその時感染した者が亡くなったと考えられる。しかし死者数の増え方が陽性件数の増えアタよりも大きい点が気にかかる。

アジア西の死者数は2%の減少となった。ヨルダンとレバノンで増加傾向であるが、他の国は減少が続いている。

オセアニアでは49週にオーストラリア、パプアニューギニア、ニューカレドニアで死者があった。フィジーとニュージランドでは死者数が0になった。全体としては28%の上昇となった。

A3. ワクチン接種回数は3ヶ月ぶりの大幅増となった


21年49週(12/3-10)のワクチン接種回数は2億791万2197回であった。接種回数は48週に比べ15%の減少となった。次のグラフは大陸別の4期のワクチン接種回数の推移である。


今週はアジア中での接種回数の増加が目立つ。48週に比べ38%の増加で、大まかに指数関数的に増加している。もちろん接種回数はインドが49週に5000万回以上の接種を行い最多であるが、先週からは若干減少させている。一方、バングラデシュで2000万回以上、パキスタンで500万回以上、スリランカでやく100万回、接種回数を増やし、アジア中全体として、2500万回(前週比37%)近く増やした。バングラデシュは1週間の接種回数としては過去最高である。

アジア東では前週より21%減少させ、47週の接種回数と同じくらいになった。増加傾向の止まったベトナム、フィリピン、マレーシアで60%以上の大幅減少があった。インドネシア、タイ、日本でも30%以上の減少となった。いずれの国も陽性件数が減少傾向なので、摂取回数を減らしたと思われる。反対に、陽性件数が増え続けている韓国では接種回数が36%増加となった。

アジア西も49週の接種回数を48週から17%減らした。48週のアジア西の接種回数はクウェートが14週間溜め込んできたものを一気に発表した分を含んでいるので、48週の実際の接種回数は発表分よりも30%ほど少ないと思われる。したがって、実質的にはアジア未市の接種回数は増えている。

基本的に陽性件数が減少しているところでは接種回数が減り、そうで無いところでは接種回数を増やしている。これは大陸レベルでも、国レベルでも同じである。しかし、アフリカは逆で、陽性件数の減った西や東では接種回数が増えたが、陽性件数が急増している南では微増になっている。モザンビークとアンゴラで25%、43%減少している。しかし、ルワンダでは20%増、タンザニアは4週間ぶりに接種が再開された。アフリカ東でもスーダンとウガンダで摂取が再開され、全体として48週より50%増となった。アフリカ西ではシエラレオネ、カメルーン、ニジェール、赤道ギニアで接種回数が減少し、ガーナでは接種が止まったままであるが、その他の国では大幅に増え、全体としては先週の2.7倍の接種回数となった。

これで21年4期のワクチン接種回数は21億1126万5048回となった。前期と比べ13%の減少である。接種率は55.9%、完了率は45.3%となった。ブースターは、フィンランド、リヒテンシュタイン、セントクリストファーネビス、スリランカ、台湾で新たに開始され、ホンジュラスで再開された。これで70の国地域でブースターが始まったことになる。

B. 2021年のワクチン接種状況


12月は2021年の新型コロナの感染状況を、20年と比較しながら振り返ってみる。20年の12月13日にイギリスが世界で初めてのワクチンの一般接種を始めた。今号を公開する頃にはワクチン接種を開始してからちょうど1年経ったことになる。そこで、今号でははワクチンの接種状況を紹介する。

B1. 21年のワクチンカーブ

次のグラフはワクチン接種回数の時系列グラフである。

ワクチンカーブ


縦軸は世界の異臭化のワクチン接種回数である。1週間の最大接種回数は31週(7/31-8/6)の2億9225万回である。また、25週(6/19-25)にも31週と同じくらいの接種回数があった。この頃は、日本での第5波などアジアでの感染爆発があった。日本、ベトナム、タイ、インドネシア、バングラデシュ、ネパールなどでこの時期に過去最多の陽性件数を記録し、対策としてワクチンの接種回数が大幅に増えたからである。この時期、世界のワクチンの75%がアジア中と東で接種された。26~28週に接種回数大きく減少させているが、25週に接種をやりすぎて、ワクチンの在庫が少なくなったからではないかと推測される。また、アジア東での感染爆発の終焉に伴って、31週以降接種回数が減少した。

25週以前は増加傾向であるが、3~4月と5~6月の二回、グラフの傾きが急になることがあった。3~4月はインドでの感染爆発の頃ではあるが、インドやアジア中での接種回数はそれほど増えなかった。しかし中国では接種回数を3倍に増やした。また、アメリカきたやヨーロッパ西もデルタ株に備えて、接種回数を大幅に増やした。

5~6月はヨーロッパとアメリカ北では、接種率が高まり接種回数が減少し始めたが、アジア、アメリカ南で接種回数が大幅に増加し、アフリカの多くの国で接種が始まった。日本も18週(5/1-7)以降接種回数を急増させていった。この時はインドやブラジルでの感染爆発がピークを超えたところで、世界的には陽性件数が大幅に減少していった時期である。ワクチン接種率の高まりとともに、世界で規制緩和が行われた。しかし、その結果が3期のほぼ世界規模での感染爆発につながった。

21年4期に入ってから、再び接種回数が増加になった。ヨーロッパやアメリカでの伸び率が高いので、ブースターが始まったと考えられる。一度減少したがオミクロン株の流行に伴い11月中旬から接種回数が増加し始めた。

B2. 最初の43カ国


20年12月からワクチン接種を始めた国は以下の43カ国である。( )は接種開始日である。


カタール、ベラルーシ、ケイマン諸島は12月中からGithub に接種回数が掲載されていたが、カタールは1月28日まで、ベラルーシは2月18日まで、ケイマン諸島は2月4日まで接種回数の更新はなかった。アジア中、アフリカ、オセアニアでは12月中の接種はなかった。

ちなみに、アジア中で一番早かったのはインドの1月15日、アフリカ東ではエジプトの1月24日、アフリカ西ではモロッコの1月28日、アフリカ南ではセーシェルの1月9日、オセアニアではパラオの1月2日である。日本は2月17日である。

次の表はいつ頃どのくらいの国でワクチン接種を始めたのかを大陸別に表したものである。


キプロスと北キプロス、セルビアとコソボは、ワクチン接種時期も違えば、接種ワクチンも違うので、別の国として数えている。世界的には21年の1期、つまり3月末、までに、178の国地域でワクチン接種が始まった。ヨーロッパ西とアメリカ南は2月末までにそれぞれ1国(ヴァチカンと仏領ギアナ)を除いて、全ての国でワクチンの接種が始まった。一方、アフリカで2月末までに接種が始まったのは10カ国である。

いまだにワクチン接種を開始していないところは下の表のように14の国地域がある。


このうちフランスの海外領土(*がついているところ)が7つと半分を占める。フランス領は感染状況がひどいが、フランス領以外ではほとんど感染が起こっていない。フランスは海外領土でもオセアニアにあるニューカレドニアと仏領ポリネシアではワクチンを接種している。この差はどこから来るのだろうか。

また、ワクチン接種をもう10週間以上も停止したままの国地域も下の表のように8の国地域がある。

モナコを除いて人口の少ない島国である。最終接種日の接種率を見れば、パラオ以外はワクチン接種をできる人の接種が全員終わったという感じであろうか。また、ワクチンを停止した国では、オランダ領カリブ海とモナコ以外では陽性件数がほぼ0である。

B3. ワクチンの種類


現在接種されているワクチンには以下の19種類のブランドがある。

欧米系:ファイザー*、モデルナ*、アストラゼネカ*、ジョンソン*、バーラト*

中国系:シノファーム*(北京、武漢、ハヤット)、シノバック*、カンシノ、ZF2001

ロシア系:スプートニク、エピバック、スプートニクライト

その他:アブデラ、ソベラノ(キューバ)、カスバック(カザフスタン)、コブイラン(イラン)、メディガン(台湾)

シノファームは製造場所別に、北京、武漢、ハヤットの少なくとも3種類がある。また、シノファームは21年6月にBBIBPというワクチンを開発した。カメルーンやコンゴなどアフリカ西を中心に26カ国でシノファームからBBIBPに切り替わった。しかし、7月10日頃には全てシノファーム(北京)に戻り、その名は消えた。バーラトはアストラゼネカのインドでのライセンス生産なので、欧米系に含めた。ノババックス、サノフィ、キュアバックなどの欧米系ワクチンは結構な数が注文されていたようだが、今のところ接種されたという報告はない。

欧米系、中国系、ロシア系は世界各地で接種されている。シノファーム(ハヤット)はカザフスタンのみで接種されている。その他に分類されるワクチンは独自開発でその国でしか接種されていなかった。しかし、キューバ製ワクチンは10月にイランとベネズエラ、11月にニカラグアでも接種され始めた。いずれも新ロシア国である。

上に挙げたワクチンのうち*のついた7つのブランドはその接種証明がアメリカで有効なものである。ロシア製のスプートニクを接種完了したものは、アメリカではワクチン完了者とは認められないということである。ただし、シノファームは北京だけなのか、武漢なども含めるのかは不明である。

GitHub では複数のワクチンを接種している国ではどのワクチンが一番接種されているかについては、一部の国しか提供されていない。下の表はどのブランドが世界の何ヵ国で使われているかを示す。青は昨年12月、赤は現在である。


ワクチン接種を開始した当初はファイザー製が最も多くの国で接種されていた。しかし今ではアストラゼネカが最も多くの国で接種されている。途上国にワクチン供給をする目的で作られたコバックスプログラムではアストラゼネカを供給していることが原因である。

ヨーロッパ西では欧米系のワクチンしか使われていない。サンマリノだけはスプートニクを使っている。どういう関係があるのだろう。アメリカ南、アジア西、アフリカは中国製を使うところが多い。カリブ海では独立国は中国製ワクチンを接種する。本国が面倒を見てくれる海外領土とは違って、独立国は、自力でワクチンを調達しなければならない。おそらく中国は何かの見返りとして、これらの国々にワクチンを提供していると思われる。

多くの国では複数のブランドを接種している。最も多くのブランドを接種しているのがパキスタンとパレスチナで、それぞれ8種類を接種している。パキスタンは当初中国製ロシア製のみを接種していたが、5月にアストラゼネカ、8月にモデルナとファイザーの欧米製を接種開始した。パレスチナはパキスタンとは逆に欧米製を接ししていたが、4月から中国製ロシア製を接種し始めた。7種類接種しているところはメキシコやフィリピンなど8国、6種類はアルゼンチンやエジプトなど7国、5種類は中国やインドネシアなど23国ある。欧米系は4種類しかないので、5種類以上のワクチンを接種している国は必ず中国製、ロシア製、あるいは両方を接種している。ヨーロッパは大多数が4種類のワクチンを接種している。日本やアメリカは3種類である。人口の少ない国は1種類しか接種していないことも多い。ブランドの種類が多いからといって、接種回数が多かったりや接種率が高いというわけではない。ワクチン接種に関して上位に顔を出すことの少ないアフリカの国々が多く見られる。


下の表は5種類以上のワクチンを接種している40カ国の感染状況である。

ワクチンブランド数1〜20位
ワクチンブランド数21〜40位


B4. 接種回数のベストワースト

下の表はワクチン接種回数の多い60国地域である。

ワクチン接種回数1〜20位
ワクチン接種回数21〜40位
ワクチン接種回数41〜60位


世界では21年12月10日までに累計で84億回のワクチン接種が行われた。世界の人口の79億人を超えた。最多は中国で26億回近い。世界のワクチンの30%は中国で接種されたことになる。2位のインドも13億回になる。17位のイタリアまでが1億回以上となっている。1000万回以上1億回未満は51国地域ある。

接種回数が多い国は接種率も完了率も高くなることが多いが、そうでない国もいくつか見られる。インドでは世界2位の接種回数であるが完了率は30%そこそこと低い。

下の表はワクチン接種回数の少ない国地域である。


接種回数の少ない国



1万回未満が8国地域、1万回以上10万回未満が19カ国ある。一番少ないピトケアンは94回しかない。しかし人口は56人なので、完了率は83.9%とすこぶる高い。9月7日以来3ヶ月以上接種が行われていない。接種が可能な人全てに接種を完了したからではないかと思われる。

ここにリストされた20の国と地域はブルンジを除いていずれも人口が10万人未満のところばかりである。したがって、人口が少ないので、接種回数も必然的に少なくなる。接種回数の多い60国は全て人口が100万人以上である。

B5. 接種率、完了率のベストワースト


人口の多寡によらない接種状況を表す指標として一回でもワクチンを接種した者の割合(接種率)をよく使う。最近はワクチンを完了した者の割合(完了率)を用いることが多い。次の表は接種率の高い60国地域である。

接種率1〜20位
接種率21〜40位
接種率41〜60位


接種率の世界平均は55.9%である。90%以上が5国、80%以上90%未満が17国地域ある。世界平均の55.9%より高い国地域は111ある。接種回数と違って人口の少ない国も上位にリストされる。接種率が一番滝のはジブラルタルで121%になる。多くのジブラルタル籍以外の者がジブラルタルで接種しているということになる。イギリス軍の基地があるので、イギリス軍の関係者であると考えられる。


次の表は接種率の低い20国地域である。

接種率の低い国


20の国地域の中でアフリカが17を占める。接種率が10%に満たない国は地域は31あるが、そのうち28がアフリカである。逆にいうとアフリカでは、半数以上の国で接種率が10%未満である。接種率の最も低いところはブルンジでいまだに0.1%に満たない。これはブルンジで接種を開始したのが10月と遅いために、まだ接種が国民に浸透していないと思われる。アフリカでは接種を開始したのが21年3月以降と遅いことも、アフリカの接種率が低い一因である。


完了率は接種率よりも低くなる。接種率が低い国では、一人でも多くのものにワクチンを接種するという傾向になりがちなので、完了率が接種率に比べて極端に低くなるところも出てくる。次の表は完了率の高い60国地域である。

完了率1〜20位
完了率21〜40位
完了率41〜60位


完了率が一番高いのは接種率が一番高いジブラルタルである。メンツは大体接種率と同じである。次の表は完了率の高い20国地域である。

完了率の低い国


完了率が一番低いのはパラオである。Githubの報告ではワクチン完了者は0となっている。1月に接種を一度やったきりでそれ以降全く接種をしていない。




B6. 接種の速い国遅い国


接種率完了率の表からはヨーロッパ西の国を多く見るが、ヨーロッパ東の国はあまり見かけることはない。実際、ヨーロッパ西ではヴァチカン以外の全ての国地域で接種率が67%以上になっている。一方、ヨーロッパ東では、67%以上はリトアニアとラトビアしかない。ヨーロッパは東も西も世界で最も早く20年12月から接種を開始しているが、現在の接種率に差が出てるのは、ヨーロッパ西の方が毎日より多く接種しているつまり、接種が速い、からである。ここでは、人口100万人あたりの1日の平均接種回数で接種の速さを表す。回数が多いほど、接種が速いので、短期間で接種率が高くなる。下の表は接種の速い60国と地域である。

接種の速い国1〜20位
接種の速い国21〜40位
接種の速い国41〜60位


世界平均は2942回である。接種の最も速いところはニウエで1日平均3万回以上となっている。しかし、ニウエでは今までに2352回しか接種を行っていない。このように、人口が100万人未満だと、この数字は実際の接種回数よりも多くなることがある。そこで、人口が100万人以上の国に限定すると、次の表のようになる。

接種の速い国(人口100万人以上)1〜20位
接種の速い国(人口100万人以上)21〜40位
接種の速い国(人口100万人以上)41〜60位


人口100万人以上の国で接種が最も速いのはキューバで、1日平均1万2千回の接種を行っている。アジア、ヨーロッパ西、アメリカ南で接種の速い。ヨーロッパ東では24位のハンガリーが最も速い。

下の表は接種の遅い20国と地域である。

接種の遅い国



一番遅いのはブルンジで、1日平均5人しか接種していない。ブルンジは接種を開始したのも遅いが、毎日数人にしか接種を実施していない。それゆえに接種率が低いままである。接種の速さが低い理由は、ワクチンの製造数が少ない、ワクチンが十分に供給されない、接種を実施する医療関係者、施設が少ないなどが考えられる。したがって、人口の少ない国はこの表には出てこない。

B7. ブースター


既にワクチンが完了した人でも、半年経つとその効力が鈍ると言われており、完了率の高い国では、高齢者を中心に3回目の接種を始めた。ブースターはその3回目以降の接種である。12月10日の時点では欧米を中心に69カ国で実施されている。最多は中国で、既に1億回近いブースターを実施した。ロシアなど完了率の高くない国でもブースターが始まっている。日本では公式には始まっていうないが、すでに三回以上接種したものが何人もいる。WHOは2ヶ月ほど前まで、ブースターを実施したあるいは計画していた欧米を非難していたが、中国の開始とともにその非難をピタリとやめた。


B8. ワクチンと陽性件数の関係


次のグラフは、21年のワクチン接種回数(赤)と陽性件数(青)の時系列グラフである。


2月の半ばまではワクチン接種回数が増えるにつれ、陽性件数が減少していった。しかしその後2月半ばから、4月半ばまでは、ワクチン接種回数が増えても、陽性件数が増加した。この時期、ワクチン接種の速かった、ヨーロッパ西やアメリカ南では陽性件数は減少を続けていた。しかし、ワクチン接種は遅く、接種率も10%程度にとどまっていたインドではその減少を全く無にする勢いで陽性件数が増えた。したがって、多くの者がワクチンを接種すれば陽性件数を抑えることができると考え、接種率を上げるように動き出し、5月以降のワクチン接種回数の急増に現れる。インドでも接種回数が増え、その結果インドでの感染爆発もピークを迎え、以降、世界の陽性件数は長期的な減少に入った。


しかし、陽性件数が減り、ワクチン接種率が高まった、欧米各国では6月末から規制緩和を実施した。しかし、クォータリーリポートと名乗る前の7月頃から、規制緩和によって陽性件数が上昇傾向となったことを報告した。21年8月以降は、接種回数を増やせば、陽性件数が増え、接種回数を減らせば、陽性件数も減る、という具合に推移している。このことから、現在接種されているワクチンでは感染を止めることは難しい考えられる。なぜなら、ワクチンを接種していても新型コロナ、特に新しい変異株には感染するというからである。また、ワクチンを接種していればレストランや公共施設に入場できるという規制も観戦を拡大させる。


C. 新型コロナが感染拡大する仕組み


東京都では16日に空港検疫以外で初めてのオミクロン株の感が確認されたことを発表した(https://mainichi.jp/articles/20211216/k00/00m/040/145000c など)。記事をまとめれば、8日にアメリカから帰国した女性が自宅待機中に行った検査で陽性となり、16日にそれがオミクロン株であったことが判明した。また、この女性と濃厚接触をしていた男性も新型コロナに感染したことも判明した。さらに、この男性は咳や発熱などの症状があったにもかかわらず、サッカー感染に出掛けてしまった。このニュースが、国内で新型コロナの感染がどのようにして広がっていくかを教えてくれる。そこには3つの誤解がw流。

C1. ワクチン接種すれば新型コロナに感染しないという誤解


ポイントは3つある。まずは一つ目はワクチン接種を完了していても、新型コロナには感染する可能性が高いということ。実際この女性は、モデルナのワクチンを2回接種していた。ワクチンは原種株をもとに開発されているので、変異株に対して効果があるかどうかは全く不明である。


この女性と濃厚接触しオミクロン株に感染した男性もワクチン接種を完了していたという報道がある。おそらく、自分は接種完了したので感染しないはず、なので発熱も別な病気が原因であると考えて、サッカー観戦に行ったと考えられる。ワクチン接種を完了していても新型コロナには感染する、という考えを持っていれば、おそらくサッカー感染には行かなかったのではないか。そもそも、女性との濃厚接触もなかったのではないか。



C2. 入国拒否や検疫所での待機で変異株は入ってこないという誤解


オミクロン株に感染した女性はテキサス州からの帰国であった。日本政府は12月16日からテキサス州をオミクロン株の指定地域とし、12月16日から検疫所での3日間の待機を義務付けた(https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/pdf2/1213_list.pdf)。この女性が帰国したのは12月8日なので、この規制は実施されておらず、入国後すぐに自宅待機となった。


また、この女性は日本到着後の空港検査でも陰性であったことも確認されている。しかし、自宅待機中に陽性になった。通常は帰国後3日目にも検査をするので、この時に陽性となったのなら、感染後3~4日経っている。したがって、この女性は、アメリカ出国前のPCR検査を受けた直後から日本に到着するまでの間に感染した可能性が高い。となれば、時間的に見て空港内で感染した可能性が高い。


日本では21年10月に日本国籍外国製合わせて205人の陽性患者を確認した。入国審査の時この人たちと同じ空間にいるわけなので、マスク等をしていなかったら、感染するの可能性は高まる。空港利用者全てが感染している可能性を考えた方が良い。したがって、現在のように特定の国からの渡航者のみを入国拒否したり、隔離したりというやり方は得策ではない。やるのなら、入校者全員一律に入国拒否あるいは検疫所での待機にしないと意味がない。



C3. PCR検査を幅広くすれば感染者を見つけ出せるという誤解


第3はPCR検査である。PCR検査で陰性というのは、体内に他人にうつすことができるくらい多くのウイルスを持っていないということであって、ウイルスを持っていないといことではならない。この女性も羽田到着時には既に感染していたと推測される。しかし、感染したばかりなので、体内に十分な数のウイルスはなく、帰国時の検査では陰性であった。また、潜伏期間で症状もない。空港検査で陰性だから自分が感染しているとは思わず、男性と濃厚接触をした。しかし、この時体内のウイルスは他人にうつすには十分な量に増幅されていたというわけである。その後、体内でウイルスが十分な数に増え、発熱し、待機中の検査で陽性になった。この女性は自宅待機中に検査を受けたので陽性であることがわかったが、もし、検査をしなかったら、ずっと自分は陰性であると思っていたことであろう。男性との濃厚接触以外は一応隔離のルールを守っていたみたいなので、この女性からのこれ以上の感染拡大はないだろうが、もし、4月に日本で流行していたような隔離ルールを無視するような人であったら、感染はもっと広範囲になっていたと思われる。


帰国者にかぎらず、PCR検査で陰性となった者の中に、この女性と同じ、感染直後のためウイルスを持っていたにも関わらず少なすぎて陰性と判定された、つまり、陰性の感染者がいる。新型コロナでは感染してから2~3日後に陽性となり、5日後に症状が出るので、100人の無症状の陽性患者がいれば、60~70人の陰性の感染者がいることになる。


そもそも新型コロナが発症をしたら入院などするし、発症しなくても陽性と判定されれば大抵は自主隔離をする。なので、陽性患者からは感染することはあまりないのではないか。理論的には、入院や自宅待機をしている陽性患者からは医師、看護師、同居家族にしか感染しない。

茨城県の土浦保健所は新型コロナに感染して自宅待機をしている236名からは125人の同居家族に(2次)感染したと報告している。新型コロナ受け入れ病院やホテルでの感染はほとんど聞かないので、隔離患者に限れば、実効再生産値は0.5を切るであるう。つまり、きちんと隔離すれば、新規陽性件数は減少するのである。しかし現実の実行再生産値は1に近く、陽性患者は増えるばかりでなかなか減らない。感染は感染者からしか広がらない。したがって、隔離要請に従わない陽性患者から広まる。また、陰性の感染者は隔離要請されないので、ここから広まる可能性も高い。また、PCR検査を多くすると、陰性の感染者も増える。したがって、新型コロナがいつまでも終わらないのはルール違反をする感染者と、陰性の感染者が原因である。したがって、必要以上のPCR検査を実施していることが、感染拡大の原因である。

思い起こせばアメリカでの感染爆発はクオモニューヨーク州知事が全員検査を打ち出してから始まった。日本でも、昨年夏野党の要求通りに検査数を増やしたら、第2波が発生した。










人口、陽性件数、死者数はWorldometer のものを、ワクチン接種回数などは Github のデータを利用している。Worldometer や Github で扱っていない国地域の統計は Google のデータを用いる。北キプロスの陽性件数と死者数は、政府の発表するデータを用いる(https://saglik.gov.ct.tr/COVID-19-GENEL-DURUM)。面積、GDP、地図、その他の情報はウィキペディアと外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html)を利用している。それ以外のもの、例えばニュース、に関しては出典を本文に記す。数値はアメリカ中部時間の11月27日22時時点で得られた最新の値を利用している。11月28日以降に修正あるいは追加する国地域もあるが、その分は含めない。従って、他の新型コロナ統計サイトの数値とは異なることもある。毎月初のレポートではこの修正されたデータを跳ねいさせている。したがって、過去のものとは異なったものとなる場合もある。テーマ地図は mapchart.net のサービスを利用して作成している。

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